第302話 山のような大きな亀
―――――――――――――始まりの都:商店街
男達は武器を取り出し、ムクロを囲み・・・・暴行されたくなかったらリムドを渡して消えろと吐き散らすと。
ヴァニスはリムドを取り出そうとアイテムカーソルを触り始めるが――――――
「ヴァニス、こんなのに俺がやられると思っているのか???
それに、俺の命はリムドを払う価値はない。
さぁ、ヤリたけりゃやれよ・・・・」
「でも、私のせいでムクロを巻き込みたくない・・・・私の過ちにムクロを・・・巻き込みたく・・・ない――――――」
「何をごちゃごちゃ言ってんだ???
金を払わねぇのなら・・・このクソ生意気な男を・・・・」
「・・・・・なぁ、そこで見てるだけのヴァニスよぉ・・・・この大切なお友達が傷ついてもいいのかよぉ??
それにそこの珍しくヴァニスに付きまとうアンタ、ヴァニスにどうして人が寄り付かねぇのか知ってるか??
まぁ、こうなったから言うが・・・毎回俺たちにこうやってやられるのを嫌って誰もヴァニスに近づこうとしねぇからだよ!!!」
「ホイホイヴァニスにつられたプレイヤーを俺たちが脅してヴァニスから金を巻き上げる作戦は毎回大成功!!!大金がっぽりで最高なクエストだぜ!!!」
ヴァニスは聞いて欲しくなかった内容に耳を塞ぎ込み、小さくなると・・・ムクロに突き付けられた剣が次第に近くなり。
ヴァニスは再び要求額を支払うから暴行は止めろと言うと・・・・
「これは暴行じゃねぇよ・・・タダの気まぐれなゲームだ。」
「ヴァニス、少しだけ暴れるから3つ数え終わるまで目を閉じてろ・・・・」
「何をこいつ・・・この状況でフザケタことを――――――――――」
「もぅ我慢できねぇ!!!やっちまえ!!!!」
ヴァニスはムクロに言われるがまま目を閉じるとムクロがカウントを口ずさみ・・・・
数字が増えていく毎に男たちは悲鳴と恐怖に駆られた声を漏らし、数字を言い切りヴァニスが目を開くと。
体力バーが赤色になってボロボロな姿の男たちが転がっていた。
「ヴァニス、大丈夫だったか??
ケガとかしてないか??」
「うん・・・ごめんあさい・・・私がいたからこんなことに・・・・」
「そうだぜ・・・ヴァニスがいる限り、俺たちの追跡は終わらねぇ!!!
永遠にお前から金をむしり取って・・・・」
男の1人が無駄口をたたくと、ムクロは男の喉を握りながら耳元で呟いた。
「これは俺のタダの独り言だ・・・・
これ以上俺たちにかかわるな・・・かかわると言うのならお前たちをどんな手段を使ってでも見つけ出してやる。
で、知ってるか???体力はダメージによって減るが・・・こうやって喉を握れば現実でも同じように苦しいはずだ・・・・どうだ?意味が分かったか??」
「おい!?お前!!ヤメロ!!!!
わかった!!もぅヴァニスには手を出さねぇから!!!」
「そいつが死んだらお前も困るだろ!?」
最後の男の発言にムクロはため息をつきながらこう言い返した。
「それはお前たちの言い分だろ??
俺には関係ない・・・お前たちがヴァニスにかかわったから起こったただのイベントだ。」
「ぐが・・・ワガッダ・・・
―――――――――ゲホッ!ゲホゲホッ・・・・ぐぅ・・・いぐぞ・・・」
「お、おう・・・・」
「アイツは一体何だったんだ・・・・くそが・・・・」
「ムクロ・・・ごめんなさい・・・私のせいで・・・やっぱりあの洞窟城から出るんじゃなかった。
本当にごめんなさい・・・私、あの城に戻るわね―――――
いままでありがとう・・・・」
ヴァニスがどこかへ行こうとした時、ヴァニスの手を握って引き留め―――――
「気にするな、コレは帽子の代金の代わりって言ったら変かもしれないが。
ヴァニスは俺にとっては大切な仲間なんだ。
何も気にすることなんか何もない。
ただ、あぁ言う連中はキツイぐらいの事をしないと消えてくれないからな。
それに・・・俺の方こそもっと早くあのプレイヤー達を倒していればよかったな。
ごめん・・・・だから、洞窟城に戻るとか言うのは取り消してくれないか?」
「いいの?私・・・また、迷惑かけちゃうかもしれないよ???
同じような奴が出てきちゃうかもしれないよ??それでも本当に一緒にいてもいいの??迷惑じゃないの??」
ヴァニスの質問ごとにNOと答えると、ヴァニスは泣きながらムクロに抱き着き・・・ムクロはヴァニスが泣き止むまで抱きしめていると――――――
「やはりこう言う事でしたか・・・・・
2人はショッピングと言いつつ抱きしめ合いながら愛の確認を行っていたのですね??」
「あ・・・レイ・・・この事は内密に頼む。
ちょっと訳ありでさ・・・」
妙な所から覗き込むレイを呼びつけ・・・この状況に至るまでの経緯を話すと。
レイは何も見なかったことにすると言って立ち去り、ヴァニスは涙を拭いてムクロから離れると・・・・
「い、いい!?この事は2人だけの・・・レイと3人だけの秘密だからね!!
もし誰かに話してでもしたら・・・・」
「大丈夫だ、レイも俺もヴァニスや人の嫌がることをネタに話すことは趣味じゃないからな。
それに・・・この件は笑えるネタじゃないからな。
で、このままショッピング続行か??」
ムクロはヴァニスにどうするのか尋ねると、ヴァニスは気晴らしもかねてファムとユキシロのクエストに同伴できないかと聞き返してくると。
ムクロはヴァニスの手を握ってホームに戻ると・・・
「あ、ムクロッち~って・・・ヴァニスと手なんか繋いで・・・どったの??」
「クーリアにはまだ伝えていなかったのじゃ・・・
その、ヴァニスと主殿は先ほどまで2人っきりでショッピングに出かけておったのじゃ。
この前の温泉の穴埋めとかで・・・・」
「そうそう、で戻って来たって事は私たちとクエストに行ってくれるって事だよね?」
「えっと、まぁ・・・2人が話してくれた通りだ。
ヴァニスには連絡したんだが・・・アヤカと同じように連れていけなかっただろ??
だから、代わりに何かできたらなって思ってさ・・・・」
「そう言う事よ、だから・・・ホラ。
ムクロとお揃いの帽子を買って来たんだけどどうかしら??
この高貴な私とムクロのペアルック!!」
ヴァニスの帽子に目もくれず、クーリアはそっとムクロの肩に手を置いて・・・・何でもかんでも穴埋めと言って好き放題にさせるのは良くないと注意され。
クーリアはロシアサーバーに面白いものがあるか探してくると言ってホームから出て行き。
ユキシロとファムは何やらコソコソと相談しながらクエストに行く内容を決めると。
スルーされてしょんぼりするヴァニスを連れてユキシロとファムのクエストに出発した。
――――――――――――砂漠フィールド中層:荒れた荒野
「ぬぅ・・・このカピカピした空気に埃っぽさは相も変わらずじゃのぉ・・・・」
「で、2人は何のクエストを受注したんだ??
すぐに出発したのは良いんだが・・・荒野に珍しいモブがいたかどうか覚えがないんだが。」
「ん~そこまでレアモブとか何かあるってわけじゃないよ??
ただ・・・・おっきなモブが出るんだって。」
「大きなモブ??それって・・・・アレの事かしら??」
ヴァニスは目を凝らしてみた先に巨大な甲羅を持つ、マウンテンタートルがドシンドシンと移動していた。
「そうそうアレなのじゃ!!!
硬いモブと聞いて、アタイの拳を鍛えるのに持って来いなモブなのじゃ!!!」
「それに、私も弱点をうまくつく練習もできるし。
一石二鳥でしょ??
ん~でも、ムクロが来たらすぐに終わっちゃうと思うから。
ムクロはそこで見てて!!」
「そう言う事なら私も頑張らないといけないわね・・・まぁ?私程の熟練者になればあんなのソロで1匹や2匹くらいどってことないわよ!!!
さぁ、行くわよ!!!!」
ヴァニスは2人に先輩風をふかしながらマウンテンタートルに向かうと、あまりの大きさに驚き・・・声も出ずに立ち尽くしていた――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます