第292話 特異なモブ、ゴブリンマリーダ
―――――――――――――――――黎桜館:外周
ムクロを回復させている間、ファムはゴブリンマリーダに攻撃しつつ注意を惹いてムクロたちから距離を離すが・・・ゴブリンは再び赤黒くオーラを纏い。
自慢のイカリをファムに投げつけていた。
「私には、飛行能力がある!!!!
コレは、ムクロの分の攻撃だよ!!!
――――――――――ブレイクランス!!!!」
「ぬぅ・・・主殿ぉ・・・早く回復させるから待っててほしいのじゃ・・・ほいさほいさ――――――
あと、主殿・・・こんなことになって本当に申し訳ないと思って――――」
「いや、ユキシロのせいじゃない。
アレは本来ここにいるべきモブじゃないんだ・・・・・
きっとアップデートで消えたはずの特殊な動きをするモブの生き残りというところだろう。
それに、体力もこれくらいあれば十分だ。
さぁ、ファムの援護に行こう。」
「え?でも、まだ黄色バーまでしか回復で来てないよ??
それに、あの攻撃をまた受けたら・・・・」
最近行われた複数回のアップデートによって奇怪な動きをするモブや特殊能力を持つモブをある程度まで再編集したという話は聞いていたが、未だに奇怪な能力か行動を持つモブがいるとは予想できずでいたが。
ムクロは黄色バーでも大丈夫とユリハたちに言い聞かせ・・・ファムの攻撃に乱入した。
「ゼイアッ!!!
助かった、ファム・・・ここからはみんあでやろう。
――――――――――これはさっきの釣りだ!!!
――――――――――ブレイブダンス!!!!」
「さすが主殿名のじゃ!!!
アタイも負けてはおれぬの!!!
―――――――牙狼脚・瞬撃!!!」
「攻撃の相殺は任せて!!!
皆に攻撃はさせない!!!
―――――――――テイヤッ!!!!!」
ゴブリンマリーダはイカリの後尾の剣で攻撃を仕掛けるが、ユリハとの攻撃相殺で怒りゲージが溜まり・・・再び赤黒いオーラを纏ってイカリを引き寄せてチャージを開始していた。
「ぐぅ・・・あと少しというところじゃったのにのぉ・・・で、主殿。
このスキル攻撃はどうするのじゃ??」
「この攻撃にはある程度のスキがある。
そのスキって言うのもあのスキル自体がプレイヤー1人にしか狙いを定めて発動できないところにあるからだ。
くるッ・・・ユキシロに投げつけるつもりだ!!!気を付けろ!!!」
「・・・・・・・・・ッッッグアァァァァァアアァ!!!!!!」
「きたッ!!!ユキシロ避けて!!!」
「当たらないって知っててもこのイカリが過ぎ去る瞬間の風は何だかヤダなぁ・・・」
ユキシロに投げつけられたイカリは先ほどと同様に赤黒く当たれば致命傷を避けられない威力なのだが、ユキシロはニヤリと笑い・・・避けることはしなかった。
「くるとわかっておるのじゃろ??
じゃったら・・・全力でスキルを崩すのみなのじゃ!!!
―――――――――牙狼拳・
「ひゅ~~さすがユキシロだ!!!
街で剛拳って言われるだけの拳なだけはあるな!!!」
「え!?ユキシロって剛拳って言われてるの!?初耳なんだけど!!!」
「うん・・・真っ向からユキシロが拳で何でも粉々に殴り壊すとこからそういう二つ名が付いちゃってたんだよ・・・ユキシロ本人はカッコイイとかで喜んで受け入れてたけど・・・ん~カッコいいのかな??剛拳って・・・・」
ユキシロの放った渾身のスキルによって砕かれたイカリはすでに使い物になるモノではなくなり・・・ゴブリンマリーダはムクロたちと最後まで退くことなく戦い消滅すると・・・・
「あ、レアドロップボーナスで奇妙な腕輪って言うアイテムがドロップしたんだけど・・・これってどうなのかな??」
「効果が書いてないって事は装備して初めて能力が解除される類だろうな。
装備してからアビリティが良くなかったら売却するとかクーリアに上げるとかすればいいんじゃないか??」
「ぬぅ~アタイはそこまでいいアイテムはドロップなしなのじゃ・・・・」
「私も無しだったよ。
レアドロップのバフがかかっても希少アイテムはやっぱりドロップしにくいんだね。」
4人の中でレアドロップしたのはユリハのみで、ムクロたちはいつも通りのアイテムばかりあった。
そして、ユリハは腕輪を装備するとアビリティが解放され・・・・
「すごい・・・強化のアビリティが限界の5つまで入ってる!!!
いいものをドロップしちゃったな・・・・」
「良かったじゃないか、コレでまた少しステータスアップだな。」
「じゃが、デザインがちと名の通り奇妙じゃが・・・・」
「それならガヘリスに頼んで見た目だけ変えてもらえばいいんじゃないのかな??
できなかったらそのまま使うしかないけど・・・聞いてみる価値はあると思うよ?」
ファムの提案にユリハは今度話しに行くと言い・・・ムクロたちは残した2人が気になると、ユリハ達と共に旅館に戻ると。
2人は旅館の受付前でムクロたちの帰りを待っていた。
「で、これはどういうことなのムクロッちぃ!!!
4人でレアドロップ祭りでもしてたんでしょ!!!どうして私たちも誘ってくれなかったの!?」
「本当ですよ、クーリアはともかく私を置き去りにするとは・・・・ご主人様。
私というモノがありながら・・・およよ。」
「いや、その・・・ゴメン。
2人の話が熱くなってたから割って入るのは止めたんだが・・・逆効果だったな。」
「レイちゃんにクーリア・・・本当にごめんね。
ワザとじゃなくて・・・ただバフの効果が知りたくてこの辺りの低級モブを倒しただけだから。」
「そ、そうなのじゃ!!!アタイたちはバフの効果を調べに行っただけなのじゃ~」
「だから、次はクーリアたちをちゃんと誘うから許して欲しいなぁ~なんて・・・」
ファムやユリハ達も同じように謝ると・・・レイとクーリアは今回だけは特別と言って許し各自、部屋に戻って行った。
「それにしてもゴブリンマリーダがこんな山奥に出てくるなんてな・・・・
この一例があったって事は他にも地形に合わないモブもいそうだし。
アステリオンに連絡を送っておくか・・・・」
今日戦ったマリーダの件をアステリオンに送ると・・・ムクロの部屋に誰かがノックして入ってきた。
「のじゃ~ヒック・・・・
主殿ぉ~何しておったのじゃ??」
「あぁ、さっきのマリーダの件についてこのグロリアのGMに内容を書いて送っていたんだ。
まだどこかにいるかもしれないし、慣れたプレイヤーでも油断してイレギュラーな行動でやられるなんてこともありうるからって・・・ユキシロ、飲み過ぎじゃないのか??」
ムクロが話している途中にユキシロはムクロの膝にごろんと転がりながら果実酒のビンを加えて赤ちゃんがミルクを飲む用にぐびぐびと飲んでいた。
「あぁ~~主殿ぉ~それはアタイの果実酒なのじゃ~~~
取ったらダメなのじゃ~」
「そういうわけにもいかないだろ。
それにユキシロもすでにフラフラで目を閉じて・・・って、寝たか・・・
さて、これをどうするかだよな――――――」
膝にもたれたまま寝入ってしまったユキシロをムクロの布団に寝かせると、ムクロはユリハ達にチャットでログアウトすると言うと。
ユリハ達からおやすみと返事を確認してからログアウトしてムクロもベッドで眠りについた。
そして、翌朝・・・由里達にあれからどうなったのかを聞くと。
「耀子もすぐにログアウトして、コトハちゃんもあれからすぐに落ちるって連絡が来たけど。
最終的に涼孤さんがログインしてこなかったけど・・・何かあったんですか??」
「いや、昨日はちょっと色々あってな。
だが今日はちゃんとログインするから安心してくれ。」
「でもでも~~昨日の事を涼孤さんが知ったら何て言うかなぁ~~むふふ。」
「その件については私も黙っていられない事なのだけれど・・・それもこれも悠一が悪いと言う事にしておこうかしらね。」
ごちゃごちゃ話しているうちに学校に着き、各自の教室で授業を受け終わり。
屋上で集合した―――――――――
――――――――――――――学校:屋上
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