第293話 仲間を追う者たち
――――――――――――――学校:屋上
屋上で由里達と合流すると・・・まず一発目に姉さんから悠一に昨日の温泉の件についての話しを聞かされてないと怒り狂いながら詰め寄っていた。
「どういうことなんだ!?由里たちと裸同然の付き合いをしたと耀子さんから聞いたぞ!!!!どうなんだッ!?」
「いや、その・・・・耀子はそう言う変な言い方が多いからそう聞こえただけで。
グロリアの仕様から湯気で見えなくなるシステムが―――――
姉さん聞いてる??」
「悠一、それはフォローではなく言い訳にしか聞こえないと思うよ??」
耀子の発言から姉さんを見直すと・・・姉さんから昨日のゴブリンマリーダのようなオーラが見え。
今日はその温泉で一緒に入るとガッツりと言われ・・・由里たちも仕方ないと言って納得していると・・・
「涼孤さんがいくのなら私もその温泉に同行してもOKって事よね??
ぬけぬけと悠一と温泉だなんて・・・みんな下心しかないキツネの化かし合い。
でも、大丈夫よ悠一・・・私は文句も何も言わないから・・・・でも、あまりジロジロ見るのは禁止よ??」
「でも、私たちもあの旅館に行くまですごく苦労したんだけど・・・
2人で大丈夫かな??」
「姉さんとコトハが一緒なら特に心配することないだろうな。
何せ、2人とも何かをする際に光った時が一番すごいからな。」
「あぁ・・・なるほど・・・それは納得の意見だよ・・・・
でもね悠一、狙われてるのは悠一だと思うよ??」
「いや!?私は・・・その・・・その温泉のバフに興味が湧いただけだ!!!
ただ、1人で入るのはあれだし??悠一もみんなも・・・一緒なら楽しいかなって・・・ただそれだけだ!!!それ以上でも以下でもないんだからな!!」
耀子は姉さんをからかっていると。
コトハは姉さんと今日の予定の調整に入り出し・・・いつものクエスト攻略よりも真剣な顔で目的地までの距離と時間を割り出して伝えた。
「えぇ!?この旅館まで20分足らずでいけるの!?
うっそだぁ~それに・・・この内容少し無茶じゃない??」
「ん~私も少し無茶だと思うけど・・・2人ならやりそうで怖いな・・・あはは。」
「俺は2人ならどんな作戦でもやれそうな気がしたが・・・・
割と手を抜いたルート設計なように見えるな。
ここをこうやって・・・モブとの遭遇を無視するか秒で消せば・・・・
後4分くらいは短縮できる。」
「いや、そんな無謀というか死に身をさらす行為は駄目だと思うんだが。
悠一はいつもこんな無茶なことを考えているのか??
姉さんは少し心配になってきた・・・・」
「涼子さん、悠一はいつもこんなモノよ?
私と昔行動してた時は大人し過ぎて面白くないくらいよ?
今のくらいにワイルドにいかないと昔はやっていられなかったもの。
だから、こうしてたくましく育った悠一がいるのよ?
でも、さすがにこれは今の私にもできそうにないルートね。
ここで加速すると言ったけれど私たちにはそこまで強化維持できるスキルはないからこのルートは駄目ね。」
コトハに悠一の考えた安全性を無視した超ショートカットルートが却下され、最終的に先ほどコトハと姉さんが考え出したルートに決まり。
昼を食べ終えて戻り、午後の授業が始まった。
そして、本日の授業が終わると・・・悠一たちは寄り道せずにまっすぐ家に帰ると。
悠一のブロッサムに如水さんからの連絡メールが届いていた。
その内容はと言うと・・・女神ことGMからの通達が如水さんを通じて来たという内容であったが。
あの黎桜館に現れたゴブリンマリーダは悠一が思っていた通りの特異モブで。
ゴブリンマリーダをキルしたムクロたちのデータを確認してみた所・・・・間違いなく倒したモブはゴブリンマリーダであり上級層のイカリ装備で出現する事もなく。
その場所にも存在するはずがないと書いてあり、これらの情報から再度他の地域を調べ何かあればムクロたちに対処の依頼を頼みたいと言う内容であった。
その内容に悠一は由里達に話を聞くことなく独断で受けると如水さんに返信すると。
玄関先でブロッサムに集中している悠一に姉さんが肩を叩いてから手でジェスチャーしてブロッサムを取るように伝えると・・・
「そんな所でブロッサムに集中していないで服を着替えて一緒にお茶でもどう??」
「あ、あはは・・・ごめん・・・つい集中してて・・・すぐに着替えるから。」
悠一は姉さんに何をしていたのか話さずに自室で着替えて台所に向かうと。
姉さんがお湯が早くできないか鼻歌を歌って待っていた。
「今日の姉さんは何だかご機嫌だけど・・・何かいい事でもあった??」
「ゆ、悠ちゃん!?び、びっくりした・・・急に声掛けたらだめよ?
それに私は喜んでなんかいないけど??そんな顔してたかしら??」
姉さんは自分では自覚がないようで、ニコニコしていたと伝えると・・・顔を少しポッと赤く染めながらお湯をティーポットに注いで2人は席に着いた。
「あぁ~姉さんの淹れる紅茶は本当に美味しい。
で、今日はいつからコトハと出発するんだ??」
「ん~コトハさんが家の用事とグロリアで少し用があると言ってたから。
16時に開始だから・・・あと30分は時間はあるわね。
だから、それまでは悠ちゃんとティータイムね。」
そう言って姉さんは小包された茶菓子の入った皿から1つ取って食べると。
悠一にも1つ手渡してきた。
「これがこの中でおススメなんだけど・・・悠ちゃんの口に合うかな??」
「ん?チョコレートココナッツ?なんだか面白い味だな・・・
でも、俺もこの味は好きかもしれないな。
他にも色々あるけど姉さんは他にどれが好きなんだ??」
悠一は色とりどりのお菓子中かから姉さんの個人的なお気に入りを聞くと・・・ブルーベリーサンドと書かれたカステラ生地にブルーベリーのクリームが挟んであるお菓子で、悠一はそのお菓子を取ってひと口で食べると。
姉さんが好きになるのがわかる美味しさだと評価すると・・・姉さんはニコニコしながら同じようにサンドを取って食べ。
そろそろ時間となり、悠一は部屋に戻ってグロリアにログインすると・・・黎桜館の自室に転送された。
「そう言えば泊りの場合はここに飛んでこれるんだったな。
えっと、クーリアにユリハ達はまだきていないみたいだし先にレイ達と合流するか。」
ムクロはフレンドのログインアイコンを見てからレイ達のいる部屋にノックして入ると・・・レイ達がお茶を飲んで寛いでいた。
「いらっしゃいませご主人様。
ご主人様もお茶を飲まれますか??」
「あぁ、折角だし貰おうかな。
で・・・何でユキシロは伸びているんだ??」
「えっと・・・温泉に入って来るって言ってからなかなか帰って来ないと思って見に行ったら。
ユキシロがサウナ室で蒸し焼きになりそうになってて・・・・」
「うぅぅ・・・ここの温泉には人を・・・人を干からびさせる部屋があるのじゃ・・・・主殿ォ・・・あの部屋に入る前は用心されたしなのじゃ・・・・ガクッ・・・」
ユキシロが力尽きたかのように地面に伸び切ると・・・部屋にユリハとクーリアが転送されてくると。
先程聞いた内容を2人はユキシロにすると・・・同じことを言う気力もないのかユキシロは無言のまま倒れており。
代わりにファムが説明すると―――――――――
「つまりユキシロは干物狼になっちゃったってわけだね?
それはそれでいいんだけどさぁ~~ムクロッちィ~ミストとエリが来るまでのもう一回一緒に温泉入らない??」
「今の時間は男女別々だろ??」
「そうだよ!!クーリアはすぐにムクロ君を変なことに巻き込むんだから~」
ユリハはクーリアに注意をしてから代わりに自分が温泉に付き合うと言うと・・・クーリアは仕方ないと言って妥協する形で入ることとなり。
それにつられるようにレイにファムも入ると言うと。
部屋で休んでいると言ったユキシロを布団に寝かせてからムクロたちは入り口前で別れて温泉に入って行った―――――――――
――――――――――――――――黎桜館:温泉内
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