第282話 ヴァニスの知らない2人の過去
――――――――――――――――プライベートホーム
ユリハはムクロの回答に満足したのかニコニコとしながら席をヴァニスと交代し。
ヴァニスはビクビクしながらムクロの隣に座ると・・・エリが気になることがあればどうぞと言って質問する権利をヴァニスに与えると――――――
「私はあんまり質問したいことがあるわけじゃないけど・・・あ、そうだ。
ムクロとエリが戦った中で何が手強かったの??
すっごく気になるところなんだけど!」
「あぁ~エリ、覚えているか??あの・・・巨大なレビデントサーペント戦・・・あの戦いは本当にダメかと思った戦いだったな。」
「あの戦いね・・・レイドボス戦なのに他のプレイヤーがすぐにやられちゃって私たちだけでレイドを倒したアレね。
あの戦いがあの頃にいた私たちの最大の戦いだったわね。
あの最後のアレがくるまでは―――――」
「レイをクーリアに任せて戻ってきたが・・・どうしたんだ??
空気が少し重いような気が・・・・何かあったのか?」
「ううん・・・ヴァニスの質問からエラーモンスターの一件になっちゃって。
少し・・・辛い過去が―――――」
ヴァニスは詳しく知らないエラーモンスターの件について2人に尋ねると・・・ユリハとミストが待ったをかけようとした時―――――――
「いいの・・・ユリハ。
そうね、いい機会だから話そうかしら・・・辛い話の1つや2つ話しておいた方が今後聞かれずに済むものね。
でも、私じゃなくて・・・ムクロが辛い事になるかもしれないけれど。」
「俺は・・・そうだな・・・あんな経験は二度としたくないな。」
エリは昔に戦ったレイドボス戦の事や、エラーモンスターの事件解決までのことを話すと・・・ヴァニスは大変な事を聞いてしまったと言う顔で凍り付いていた。
「どう?これがムクロと私のすべてではないけれど、ある程度の経歴よ。
それに・・・昔は2人で本当に色んな所に行ったわね。
でも、私の知るグロリアは大きく変わってしまった・・・でも、ムクロがいればそんなことはどうでもいいのだけれど。」
「あはは・・・エリと行ってたクエストとかフィールドは使用される頻度が少ないって言う事から統合されたり削除されたからな・・・
だが、話しに出て来たレイドボスはまだあるらしい。
それに、フィールドも全部なくなったわけじゃないからな。」
「2人の話は何度聞いてもすごい事ばっかりだよねぇ~~
2人でレイドとかムクロッちの鍛錬にナイフ1本でモブ狩りとか。
2人はある意味で師弟関係であり仲間であり友・・・で、実際何なの??」
「クーリア!?それはその・・・聞いちゃダメな所じゃない??
だって・・・その・・・ね??わかるでしょ???」
ユリハが慌てて話を変えようとすると・・・エリは焦るユリハたちに言い返した。
「そうね、ムクロはユリハに取られちゃったけど・・・私はあの頃のまま、ムクロと一緒にいられるのが好きだったわ。
いつでも楽しそうにするムクロの顔を見ているだけでグロリアに来る楽しみがあるもの。
それに、まだ・・・この戦いは完璧に負けてもないと思うから――――――」
と、エリは言う事だけ言って席から立つと・・・クエストに行くと言ってからホームから出て行ってしまった。
「えっと・・・大丈夫かな??その・・・私が必要以上に聞いちゃったからこうなったのかな??」
「きっと大丈夫だよ・・・だって、話している時のエリちゃんは笑ってたから。
きっと、ムクロ君と一緒に過ごした思い出が本当にいい思い出で一杯なんだと思う。」
「そうだね、あんな顔して話されたらツッコミも何も言えないよね。
それに・・・間違いなくエリは思い出のクエストに向かったよね~」
「だろうな・・・ムクロの言ったフィールドの幾つかを回る気じゃないか??
だが、エリはムクロよりも長いプレイ歴があるから問題はないと思うから心配はないとして・・・・ファムとユキシロは今どこにいるんだ??」
「あぁ・・・2人ならジャカルゥ小屋で世話をしています。
そろそろ戻ってくるはずですが・・・・」
ファムとユキシロの話をしていると・・・ジャカルゥ小屋とつながっている扉が開き、2人が戻ってきた。
「あれ、みんな・・・勢ぞろいで何してるの???
私たちはさっきまでジャカルゥの世話をしてたんだよ。
でね、今日もジャカルゥたちは元気いっぱいで庭を駆け回ってたよ。」
「うむうむ・・・アタイもいつものようにジャカルゥたちとぐるぐる走ったのじゃが・・・やはりジャカルゥたちは早いのじゃ。」
「まぁ、走るのに特化したのがジャカルゥだからな・・・
とりあえず2人ともお疲れ、ソファーに座ってお茶でも飲むか??」
ムクロが立ち上がってお茶を淹れに行こうとすると・・・レイが代わりに行くと言ったが、たまには手伝うと言ってムクロが台所に行くと・・・・・
「あ、ムクロッちが何か割った音がしたね・・・・ムクロッちってあぁ言うのは不器用なの??」
「ん~あまり家事をやらせた覚えはないから・・・不器用さがでても仕方ないと言えば仕方ないが。」
「そうですか・・・では、私がご主人様に手ほどきをしてまいります。
少々お待ちを・・・」
「何だかレイさん・・・すごいにやってしてたけど大丈夫かな??
ムクロにすごい好意を感じるんだけど・・・私だけじゃないよね??」
「ヴァニスも感づいておったか・・・レイレイは主殿にメロメロなのじゃ。
そりゃもう・・・主殿が火の中水の中、闇の中でもどこにだって一緒に行くと譲らない程に主殿を溺愛しているのじゃ。」
「でも、レイも同じNPCだけどすごいステータスと豪快な装備をしているよね。
あれってオリジナル仕様の装備なのかな??」
レイについての疑問が出ると・・・ミストたちはレイについてある程度話し、装備の事を話すと・・・天使と言うワードにファムは世界が違えば見た目も装備も違うことを受け入れると。
ヴァニスはあの剛腕装甲のリーチとか変形システムに不満を持っているらしく・・・
「あの剛腕装甲は武器的には何になるの??
それに、あの武器は・・・正規品じゃないんでしょ??だったら使ったらダメなんじゃ・・・・」
「ん~それはそうだが、NPCの装備にはある程度の自由設定というモノがあるから私たちがとやかく言う事が出来ないんだ。
だが、あの剛腕装甲は相手にすれば相当苦戦するだろうが仲間となれば話は別だ。
あれほど頼りになる装備を持つモノはプレイヤーでもそうそう見つからないだろう。」
「うん、それに・・・レイちゃんとは何度か戦った事があるけど。
ある程度の加減もしてくれるし、レイちゃん自体が勝敗にあまり興味はないって感じかな??
いつもムクロ君の事ばかり考えてるから・・・・あはは・・・」
「だねぇ~~口を開けばご主人様ぁ~だからね・・・・
あとあと・・・剛腕装甲でたまにツッコミを入れる時もあるから気をつけた方がいいよ。
あのツッコミを喰らうと地面にめり込んだり吹っ飛ばされたりするから。」
「皆さん??何を愉快なお話をされているのでしょうか??
私のお話なら・・・私に直接聞いてくれればよろしいですのに。
で、何を聞きたいのですか??
それとも・・・剛腕装甲の錆になりたいのでしょうか??」
レイが先に戻ってくると・・・後ろの方からトレーにカップとポットを乗せたムクロが現れ・・・その動きは不安しか感じさせず、グラグラカタカタと揺らしながらテーブルに向かってきていた。
「えっと・・・みんなの分のお茶のおかわりとファムとユキシロの分のお茶を持って来た・・・よいしょ―――――」
ムクロは無事にテーブルに辿り着くと・・・みんなに紅茶を淹れて手渡し、再びお茶を飲んでホッと一息ついた。
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