第283話 デーモンの素材を求めて
――――――――――――――――プライベートホーム
そして、お茶を飲みながら疑問に感じていたレイの昔話が済んだ所でこれからどうしようかと考えながらお茶を再び飲んでいると・・・ムクロの頭に何かがよぎり・・・
「えっと・・・俺たちもこれからクエに行かないか???
特に何か狩るって言うわけじゃないが・・・あ・・・・そう言えば皆でやっていない事があったな。」
「ん?やっていなかったコトとは何だ??
私たちのやる事は特にないはずだが・・・」
「ん~何か特別なクエストをし損ねているとかかな??」
「そうかな??特に損しているようなクエストがあるようにも思えないし・・・
この情報バンクのクーリアちゃんの知らない情報はないはず。
それに・・・こういうパターンのムクロッちの内容ってロクな事じゃないんだよね・・・・」
「そうですね、ご主人様が口を濁らせる時は大概無茶なことが多いですから・・・今回もキケンな香りが漂っております。」
皆の怪しむ表情にムクロは苦笑いをしながら本題に入った。
その内容と言うと・・・ムクロはこのグロリアを初めてクリアしたプレイヤーであり・・・1人でのクリアは達成感の余りなかったクリアであったことを話し、再びユリハ達と一緒にラスボスを倒しクリアを目指すと言う内容であった。
「ほらね?って・・・・えぇぇぇ!?今なんてったの!?
私の耳かイヤホンかスピーカーが悪くなかったら、ムクロッちは私たちとゲームクリアを目指すとか言わなかった!?」
「聞き直さなくてもそう言っておりました。
それに・・・ご主人様のあの目はいわゆるガチをいう目をしています。」
「うん、でも・・・私たちなんかが一緒だと足手まといにならないかな??
ムクロ君は1人の方が強かったりするし・・・私たちがいたらクリアまで何日かかるかわからないよ??」
「それでもいい・・・ソロでのクリアは何というか。
虚しいって言えばいいのか?笑いあえる仲間も達成感に浸る間も何もないモノだったんだ・・・あのクリアは俺の思い願った真のクリアとは言いたくない。
俺が真に望む本当のクリアは・・・大切な仲間たちと共に勝ち取ったクリアだ。
だから・・・これは俺のワガママだ・・・あはは。」
「久々にムクロの燃えが聞こえた気がするな。
よし、私はムクロの提案に賛成だ。
それに・・・ムクロの真のエンディングに私がいないと花がないだろ??」
「なッ!?だったらこの高貴な私、ヴァニスの花も貸してあげるわ!!
べ、別に勘違いしないでよ!これは・・・私の名をグロリアに轟かせたいだけなんだから!!!今まで私をさんざん財布代わりにしてきた奴らに目にモノを見せてやりたいし!!!」
ヴァニスやミストが参加すると名乗りを上げると・・・クーリアたちも我慢できずに参加すると言って手を上げると・・・・
「その話・・・私も当然参加しても大丈夫よね??
ユリハ達がOKで私がダメってことはないでしょ??」
「もちろんアタイとファムもアヤカに同意見なのじゃ。」
「うんうん、楽しい事は皆でした方がいいよね~
だったらこのグロリアの冒険もみんなでしないとだね。」
「で、攻略はいつから行うんだ??」
「そうだな・・・みんなに話をしてからだな。
それに、急に話しておいてなんだが・・・ユリハとミストは近くログインできないだろ??
だから2人が戻って来てから本格的に開始しようかと思っているんだ。」
「そうだね、今から始めちゃうと・・・ムクロ君たちがすぐに攻略しちゃうかもしれないし・・・そうしてくれた方が私たちも焦らずにできるし。
現実でも楽しめるしね、ね?ミスト?」
ユリハがミストに尋ねると、ミストはユリハの意見に賛成し・・・ひとまずこの件についてエリにメールを送ると、すぐに返信が着て・・・参加するとコメントされていた。
「それじゃ、今日はこの辺で私は落ちようかな。
今日は遊び疲れてすごく眠たくなってたんだ・・・えへへ。」
「あぁ、わかった・・・お疲れ。」
「ユリハオツオツ~~んじゃ、ムクロッち~私たち起きてる組は何かクエスト回さない??」
「お疲れさまでした・・・ですが、ご主人様はユリハと一緒に行動されてたはずでしたが・・・眠たくならないのでしょうか??」
「ムクロはゲームをやっている時は起きているし・・・眠るときはしっかりと眠っているな。
それに・・・寝顔もかわ・・・いや、何でもない。」
「何かミストさんが言いかけたような気がしたけど・・・まぁいいわ。
ムクロ!!!これから私たちと一緒にクエストに行くのよ!!
これはクーリアと私たちの命令よ!!」
ユリハが苦笑いしながら手を振ってログアウトして消えると・・・ヴァニスとクーリアたちに腕を引っ張られながらクエスト掲示板前にやって来ると。
クーリアとヴァニスが同時に行きたいクエストをもってやってきた。
と、思いきや・・・ミストも手に何かクエストを持っていたが、前に出ようとせずにクーリアとヴァニスの後ろでいつでようかと待っていた。
「ねぇムクロッち!!!この黄金クワガタの討伐に行こうよ!!!
金の上あごが5個足りないんだよ~~」
「ねぇ、ムクロ・・・こ、この・・・バレットシュリンプの甲殻が欲しいのだけれど・・・付いて行ってくれないかしら??」
「あ~ミストは何か行きたいクエストがあるのか???
何か・・・持っているのが見えたんだが。」
「あ・・・その・・・2人が欲しいクエストの後でもいいんだ。
私は我慢するぞ?」
「ミストはこういう時に押さないからご主人様に逃げられてしまうのですよ??」
「うむ、レイレイの言う通りじゃが・・・ミストのその気配りは嫌いじゃないのじゃ。」
「でも、ミストも何か行きたくて持って来たのなら見せた方がいいと思うよ??
それに・・・2人のクエストは割とすぐに集まるけど癖のあるモブだからムクロにやってもらおうとしているんだと思うしね~」
ファムの言葉にミストは覚悟を決め・・・ムクロに行きたいクエストを差し出し。
ムクロたちがその内容に目を通すと――――――
「ミストの持って来たクエストはレッドスカルデーモンの討伐・・・あ~上級クエストだな。
何か欲しい素材でもあるのか??」
「あぁ・・・私の新しい装備にこのデーモンの角が欲しくてな。
だが、私1人では歯が立たない・・・だから皆の力を貸して欲しい。
ダメだろうか??」
「ミスト1人で戦って大変なのならば・・・よほどの強敵とみたのじゃ。
主殿、ここはミストのデーモン狩りを手伝ってはどうじゃ??」
「ん~でも、ユキシロ・・・協力するのはいいんだけど。
どうしてそんなに目がキラキラしているの??
もしかして・・・強敵と戦えるからワクワクしてない??」
ファムの指摘にユキシロは冷や汗をかきながら否定するが・・・ユキシロの慌てようから見て図星であった。
そして、クーリアたちは自分たちのクエストよりも珍しく自分から選んできたミストのクエストに協力すると言いすぐにクエストに出発した。
―――――――――――――古びた城跡フィールド
「ん~いかにも出ますよってところに来たね。
で、ミストの狙ってるデーモンはアレ??」
「あぁ、空を飛び魔法と物理が強いモブだ。
それに頭もいいときた・・・みんな、十分に注意して戦ってくれ。」
「うんむ!!さぁ!!久々の骨太な強敵なのじゃ!!!腕が鳴る鳴る!!」
「それじゃ、私は空を飛んで引きつけるから・・・地上近くまで来たら撃ち落としてね!!」
「や、やってやろうじゃないの!?悪魔の1匹や2匹・・・怖くなんかないんだからね!?」
剣をプルプルと震えながら構えるヴァニスにたいしてムクロは冷静にゆっくりと狙えば大丈夫と伝えると。
ヴァニスの手と足の震えが止まりコクリと頷くと・・・上空からファムがデーモンを連れてきていた。
――――――――――――――――古びた城跡フィールド
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