第279話 デートと尾行・・・

―――――――――――――――商店街:映画館


由里と映画館まで互いに好きな映画を話していると・・・(主に由里が話していたが)映画館に到着し、2人でチケットを購入し入場までに時間があると言って。

劇場限定と書かれたグッズショップに立ち寄った。


「へぇ~このアニメ、まだ映画してたんだな。

俺が小学生の時に昔見たな・・・」

「私もこれ見たことあるよ。

懐かしいなぁ~~あ、これだよ悠一君!!

今回の映画に出てくる主人公の持ってるブレードだよ!!!

こういうの見てたらグロリアでも作れたり同じ動きができるんじゃないかって感じちゃうよね!?」

久々に目をキラキラと輝かせる由里を見ながら、敵役の剣なのか黒い剣を持つと。

由里はくすくすと笑い始め――――――


「それ、敵の剣だけど・・・黒い剣だからか悠一君にすごく似合ってるよ。

――――――――黒騎士さん♪」

「やっぱりか・・・まぁそう言われると思った。

そういう由里の持つ剣だって白百合の剣士と同じじゃないのか?」

悠一は負けじと由里に言い返すと・・・由里は照れながら否定し2人は剣を戻してパンフレットコーナーに移動した。


「悠一君・・・このパンフレットは映画を見終わるまで中を見たらだめだよ?」

「え?どうしてだ??中がすごい気になるんだが・・・・」

由里にどうして見たらだめなのか問いかけると、由里は違う映画のパンフレットを開きながらどうして見たらダメなのかを説明し始めた。


「悠一君、パンフレットって言うのはね・・・ココ!!

ホラ、最後の内容まで思い出せるように書いてあるんだよ。

だから・・・今回見る映画のパンフレットは絶対に見たらだめだからね!?」

「あはは・・・あぁわかった。

だが、今までパンフレットを見たり買ったりしたことなかったから・・・そういう作りになっているんだな。」

パンフレットコーナーを2人で楽しげに話しているところを・・・遠くからのぞき見る影が2つ―――――――


・・・悠一と由里の2人が楽しそうにパンフレットコーナーで話をしているわ。

「で、その・・・さん・・・これってストーキングって言う悪いコトなんじゃないかしら??」

アイリスとコトハは悠一たちにばれないようにサングラスを付けて店の外から覗き込んでいた。


「いい??コレはストーカー行為じゃないの。

コレはそう・・・2人が危険な行為をしないか見守る保護者の目と言うモノよ。

いついかなる時も2人から目を放さないようにしないと・・・・」

「その・・・コトハさん・・・2人が奥の部屋に入っちゃったけどいいの??」

コトハが目を離したスキに由里と悠一は劇場内へ入ってしまっており・・・コトハ達は仕方なく近くの喫茶店で映画館の出入り口が見える席で待つこととなった。


「悠一君・・・ポップコーン食べる??」

「あぁ・・・でも、映画が始まっていないのに食べたら無くならないか??」

と、由里に問いかけると・・・映画の予告が始まり、由里はシーっとジェスチャーをすると。

そのまま本編までノンストップで流れて行き―――――――――


「ん~~悠一君、面白かったね。」

「あぁ、あの激しいアクションには目を見張るものがあるな。

それにポップコーンも見事にカラになったな。」

そう言って2人はごみを捨てた後、再び売店でパンフレットを買って外に出ると・・・外でお茶をすることとなり、近くの喫茶店に入り注文すると―――――


「いい・・・アイリス・・・絶対に後ろを振り返ったり大きな声で話したら駄目よ??」

「どうして??何かあったの??」

アイリスの質問に対して話しているとバレるリスクがあると感じたコトハはサングラスをかけ直してブロッサムでアイリスに連絡を取り合っていると・・・・


「ここのパンケーキはすごく美味しいって評判なんだよ??

――――――――ハイ、悠一君・・・あ~ん♪」

「いや・・・ここだと恥ずかしいんだが・・・

由里は仕方ないな・・・・」

「ダメッ!!?あ・・・コホンコホン・・・・・・」

「びっくりした・・・その、コトハさん・・・何を見たの??」

コトハ達のテーブル辺りが一瞬だけザワっとしたが・・・何もなかったように時は流れ始め、離れていた由里達には聞こえてはいなかったが。

しっかりとコトハは悠一のパンケーキを頬張る姿を目に焼き付けていた。


「悠一ってば・・・あんなにデレデレしちゃって・・・ズズズズズ・・・」

「コトハさん・・・紅茶からすごい音がしてるよ??大丈夫??冷静にだよ??落ち着いて・・・」

「ん~~それにしても今日もいい天気だね。」

「そうだな、天気はいいし由里とこうやってのんびりできていい休日だ。」

2人は食事を済ませた後、少しの間だけ話すと・・・席を立とうとした時、コトハはまずいとアイリスにお金を渡しながら「払っておいて」とひとこと言うと。

悠一と由里の歩く後方からちょっとずつ尾行していると・・・支払い終えたアイリスはコトハと合流して移動し始めた。


「今度は2人で本屋さんに入るようね・・・で、コトハさん・・・どうする??

本屋さんだと見つかる可能性も高いけど。」

「入るわよ・・・これ以上のドキドキ展開はダメゼッタイよ!!」

コトハは本屋で起こりうる悠一と由里のドジコンビのイメージから入らなければ何か嫌な予感がすると感じ、アイリスを連れて店内に入ると・・・まずは悠一を探すことにして、ゲーム雑誌の多く並ぶ付近を確かめると・・・


「どうして2人仲良くゲーム雑誌呼んでるのよ・・・あぁ、そうだった・・・2人とも結構なゲーマーだったわね・・・」

「コトハさん・・・ここからだとバレるかもしれないのでもう少し角度を変えて観察しましょう。

でも、2人は本当にグロリアがお好きなのね・・・今見てるゲーム雑誌は今週発売されたばかりのグロリアだけの雑誌だったはず。」

アイリスは2人の呼んでいる雑誌を一目で見抜き・・・コトハはアイリスも結構ドップリとグロリアにのめり込んでいることに触れず、見続けていたが――――――


「2人とも情報を読み漁っていて会話もロクにナシといった所ね。

コトハさんは本を読んでいる時は無言で読む??」

「そうね・・・話をされても気が付かない時はあるけれど・・・あそこまで2人仲良く本に集中して無言は無いかもしれないわ。」

コトハは無言のままペラペラと本をめくって読み進める2人に嫌気がさし・・・目を放した瞬間―――――


「あ、悠一君・・・これ、見て見て!!

あのヴィーチェの特集が書いてあるよ。」

「どれどれ・・・名前は出していないが。

この書き方だと俺たちと出会った事で更に腕に磨きをかけるってさ。」

そう言って由里に雑誌を返すと・・・由里もヴィーチェの記事を呼んでくすくすと笑って再び、由里は記事のとある部分を指さして見せてきた。


「ほら、ココ・・・悠一君の事がもう少し細かく書いてあるよ。

すっごくお気に入りにされちゃったみたいだね。」

「えぇ・・・どれどれ――――――

私を打ち負かした日本の黒い剣を扱うプレイヤーを私は正式に好敵手ライバルとして認め、このプレイヤーを横取りしようとする者は私が直々にねじ伏せる!?

あはは・・・本当に厄介なヤツを相手にしてしまったな・・・・」

悠一と由里は笑いながら雑誌を置いて・・・違うコーナーに向かうと。

由里は衣類のコーナーで足が止まり、ペラペラと雑誌を読んでいると。

悠一は由里の見ている雑誌の隙間からのぞき見していると・・・・


「ねぇ、これ何てどうかな??派手かな??」

「いや、由里ならどんな服でも似合うだろ・・・俺はあんまり服のセンスとかないからうまい事いえないが。

由里の服のセンスは俺は好きだ。」

悠一のコメントに由里は嬉しそうにコクリと頷き・・・また今度、2人で服屋に行こうと約束すると。

本屋を出て行き、それを見たアイリスとコトハも尾行を再開した。


―――――――――――――――商店街

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