第268話 仕掛けられた景品
――――――――――――――始まりの都:射的屋
落ちてきた景品をクーリアがジッと見つめ・・・指をくわえて見てるのが気になり、ムクロは落とした景品を全部クーリアに上げようとした時―――――
「すみません、その景品・・・私たちももらう事は出来ますか???」
「ちょッ!?割り込みは駄目だよ!!!このレアアイテムは私がムクロッちから貰ったモノなんだよ!?」
「クーリア・・・皆で協力して取ったんだろ?
だったら、レイたちに上げても問題ないんじゃないのか??
それに、クーリアの目指してる景品はあれだろ?アレに比べたら問題ないんじゃないのか??」
「もぅ・・・ムクロ君は・・・全然わかってないんだから。
こういうモノはムクロ君からその・・・もらったものだから―――――」
「そう?なら・・・ユリハはいらないのね??」
エリはユリハにそう聞き尋ねると・・・悩みに悩み、慌ててアイテムの中から1つを取って喜んでいた。
「ハイハイ、それは上げるけど・・・
だけど!!あのリンゴは私が取って私のモノにするんだからね!!!」
「わかってる、それじゃ・・・続きを取って行くか。
だが、あのあたりからちょっと暗い感じがするな。」
ムクロの狙っていた景品の辺りから照明が見えにくく、うまく照準が合わずにギリギリ弾が逸れていくといった状態で苦戦していると・・・また店の主がお節介を入れに来た。
「おぅ、既にそこまで来たのか・・・アンタたちやっぱり普通のプレイヤーじゃねぇな???
もしかして上級層のプレイヤー達かい??」
「いや、俺たちはこの下級層で程よく遊んでるプレイヤーさ。
で、ここからあんまり先に進まないんだがどうしたらいいんだ??」
ムクロの問いに店の主は奥からスナイパー用の銃を取り出し・・・別途払えば貸し出すと言い、値段を聞くと・・・
「100万リムドだ。
こっちも商売だからな・・・それに、この料金で取れたら儲けもんだろ?
だったら・・・迷う事なんてないんじゃないか??」
「クーリア、どうする?決めるのはリムドを出してるクーリアだ・・・俺はクーリアに従うだけだ。」
「うぐぅ・・・このおっさん・・・絶対に稼ぐつもりだろうけど・・・私にだって負けられない意地って言うのがあるから、ソレを使うからちょっと待っててよ!!!
誰にも渡さないようにしてよ!!!」
「あぁ~あ・・・クーリア走ってお金を取りにに行ったのぉ。
これは長い戦いになりそうなのじゃ~~」
「ですが、ご主人様の顔からすると・・・この銃で終わらせる気でしょう。
そう言う顔をしています。」
「ムクロ君・・・大丈夫???銃を変えてもそこまで変わらないんじゃないの??」
ユリハの心配を吹き飛ばすかのようにムクロはただ一言・・・「大丈夫」と言うと、クーリアが戻ってきてリムドを払い銃を受け取ると。
今度はその銃に付けるスコープがどうとか言い始めたが、ムクロは必要ないとスナイパーを構え・・・狙い撃った。
「スコープなしで・・・アイアンサイトで狙ったのか??
いや・・・まさか感覚で狙い撃ったのか!?
こりゃ、とんでもねぇ奴に銃を貸したもんだ・・・・」
「す・・・すすすすっごいじゃん!!!ムクロッち!!!
―――――――――どうやったのソレ!!」
「この撃ち方はアヤカも驚いてたな・・・
まぁ、俺の感覚撃ちってところだ。」
「さすがご主人様です!!!この勢いのままあの金のリンゴをGETしましょう!!」
「私もちょっと頑張ってやってみよっと・・・・えいッ!!」
「あんなすごいの見せられたらアタイもちょっと頑張ろって気になるのじゃ。
ファムもエリもガンガン狙い撃つのじゃ!!!」
「ハイハイ・・・やればいいんでしょ??
でも、私・・・そこまで射的は上手じゃないんだけれど。」
「とか言いながら結構当ててると思うよ??
ムクロの教え方がうまいのかな???」
ムクロがどんどんと狙い撃ち・・・レアアイテムがどんどんと落ちてくる中・・・とうとう金のリンゴまでの差がアイテム1個となっていたところで・・・・
「ヤッターコレであとは金のリンゴを狙い撃つだけじゃん!!!
かれこれ結構なリムドを投資して来たけど・・・これなら安い買い物だよ!!!
さぁ、ムクロッち!!!やっちゃって!!!」
「あいよ・・・これで最後だ・・・いけ・・・
――――――――――――なッ!?」
「何・・・弾が当たった瞬間、何かと相殺した!?」
「はぁ~~俺の話を聞く前に撃つヤツがあるか。
そのシールドは最後の壁・・・横から盗られないようにするための防御と考えてくれ。
たまにいるんだよ・・・最後の最後で取れるところで横取りするヤツがな。
そう言うのから守るためにあれを設置したんだ。
ただ、言っておくと・・・ズルとか金稼ぎしたいとかじゃないからな!?」
「いいからあのシールドの突破方法を教えなさいよ。
貴方にコレを撃ち込むわよ??」
エリは店の主に銃を当てながら話すと・・・店の主は銃を払いのけて特別な弾じゃないとアレを貫通しないと言って5つの他とは違う弾を出して話を続けた。
「この弾は言った通り・・・ちゃんと当たればシールドを貫通してヒットするが。
この弾はたけぇぞ??それでもやるのなら・・・金と引き換えに撃つといいさ。」
「その、肝心な値段はいくらなんだ??」
「うぅぅぅ・・・最後の最後でまた出費がぁ~~くぅぅ~~あと少しで金のリンゴちゃんが手に入るって言うのに!あと少しが届かないなんて・・・・」
ムクロの言葉を待っていたかのように・・・店の主は計算機を出して金額を書いてムクロたちに提示してきた。
「なっ!?5つで700万リムド!?普通のプレイヤーには払えねぇ額だぞ・・・」
「うわぁぁぁぁ!!!!私のお財布の中がもうすっからかんだよぉ!?!?」
「最後の最後でこの店主は無茶を言うわね・・・撃ってあげようかしら??」
「いいですね、クーリアの代わりにやってやりましょうか??」
「ふ、2人とも落ち着いて!?そんなことしたら本当に今まで次ぎ込んだリムドが無駄になっちゃうよ!!!ここは手を考えるしか・・・・」
「そうだね、私も・・・できる限りお金を上げたいところだけど・・・食費と武具の手入れににほとんど使っちゃったし・・・・こういう時にどうしたら。」
どうにもこうにもクーリアは手も足も出ないと言う所でムクロは銃をクーリアに渡すと走り去り・・・またすぐに戻ってくると・・・・
「おっちゃん待たせたな・・・700万リムドだ間違いないな??」
「あ、あぁ・・・お前さんこの金額・・・一体どこから・・・・下級層には到底稼ぐことのできない額だぞ??何か売ってきたのか??」
「ムクロッち~~~ありがとね!!!やっぱりこういう時はムクロッちが本当に頼りになるよ!!!さぁ・・・ムクロッち!!!気を取り直してやっちゃって!!!」
「ぬぅ・・・主殿の総資産は一体いくらあるのじゃ???簡単に700万リムドを払えるとは・・・・」
「ご主人様のデータから見てみましても・・・700万リムドではご主人様の総資産にダメージはほぼありません。」
「ムクロは一度クリアをしてるから・・・ボスとの戦闘報酬金額とかボスを1人で攻略するのが日課だったらしいから相当ありそうね。
今度何か買ってもらおうかしらね。」
「あはは・・・でも、こういう時にすぐ動けるムクロ君ってやっぱりすごい・・・きっとムクロ君ならお金が足りなくてもどうにかしてお金を作って戻って来たんだと思うけどね。」
戻ってきたムクロから店の主は700万リムドを受け取ると・・・5発の弾をムクロに渡し、ムクロは弾を装填し・・・金のリンゴに向けて1発を撃ち込むと、シールドにひびが入り・・・どうやらシールドのシステムは耐久性でどうして5発の弾を渡したのかが気になっていたが、これで納得したと感じると・・・・同じ場所に4発捻じ込み、最後の一発に全てを込めて・・・クーリアや皆の声に乗せて撃ち込むと・・・・シールドの砕け散る音と共に金のリンゴの交換プレートにヒットし、クーリアの報酬ボックスには金のりんごが入っていた。
「や、やや・・・ヤッター!!!ヤッターヤッター!!!ありがと!!ムクロッち!!!ほんとにほんとにありがとう!!!」
「ちょッ!?クーリア・・・そんなに抱き着くなって・・・あぁ・・わかったから。」
「あぁ~あ・・・ついに目玉を取られちまったか~
次はこういう仕掛けをナシでフリーで景品を飾るとするか。」
「その方がいいわ・・・きっと怒る客とか私みたいにあなたを撃ち狙おうとする客が増えるわよ??」
エリの一言に店の主は肝に銘じると言って喜びに舞うクーリアたちを見て素直に笑みをこぼしていた―――――――――――
――――――――――――――始まりの都:射的屋
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