第269話 射的屋のリニューアル・・・

――――――――――――――始まりの都:射的屋


金のリンゴに喜び、ムクロにぎゅっとハグして離れないクーリアにレイとユリハがさすがに我慢の限界と引き剥がすと、ユリハとレイにもハグをして喜んでいると・・・・・・


「ムクロ~それに皆も、そろそろ夕食にしようと思うのだが・・・ん?クーリアたちは一体何をしているんだ???

ハグして・・・それも射的屋の前で。」

「ミストが来たって事は晩御飯の用意ができたって事だな。

そう言う事なら俺たちは一度現実に戻るとするか。」

「そうだね、今日の話題もできた事だし私は先にログアウトするかな。」

「アタイたちはホームでごろんごろんして待ってるのじゃ~~~」

「バイバイみんな!!また後でね。」

「皆さんお疲れさまでした・・・それでは。」

レイたちの言葉を聞きながらログアウトし・・・現実に戻ると部屋にはカレーの匂いが広がり、テーブルにはサラダが並んでいた。


「みんなお帰り、夕食はできてるから手を洗って食べましょうか。」

「たっだいま!!!いやぁ~悠一のシューティングはすごかったね!!!

涼孤さんにも見せてあげたかったくらいだよ!!!

ねぇ?由里??」

「そうだね、悠一君の撃ち方は独特でマネとかできないけど・・・やっぱり上手な人は動きが違うよね。」

「そうね、熟練者は特に戦闘フォームが不自然に見えたり独特だったりもするわ。

でも、この談義をするにしても・・・まずは手を洗いった方がよさそうね。」

姉さんの無言の圧を感じたのか、コトハと一緒に手を洗って戻ってくると・・・全員で挨拶をして姉さんの手作りカレーを食べながら今日の出来事をざっと話すと・・・・


「あぁ、あの喜びようはそう言う事だったのか。

宝くじにでもあったかのような喜び方だったからな。」

「涼孤さん!!!グロリアで言う金のリンゴは宝くじよりも価値のある貴重なモノなんですよ!!!

ん~この価値がわからないかなぁ・・・・悠一は分かってくれるよね??ね??」

「あぁ、あれは1年に数回あるかないかくらいの珍しい品だな。

だから、競売でもそれなりに高値が付いているんだ。」

「でも、耀子はその金のリンゴをコレクション用に置いておくんだよね??

だとしたら・・・フェムやユキシロたちに食べられないようにしないとだね。」

「そうね・・・あの2人ならやりかねないから厳重に保管しておかないと危ないわよ?」

2人に信用がないとかそう言うことよりも・・・食べ物を目の前に出されたケモノが我慢できるわけもなく、簡単にどういう事態になるのかが安易に想像でき・・・耀子はカレーを食べるのを止めて真剣に悩みだしていた。


「それにしても今日のカレーはまた格別だな・・・姉さんおかわり。」

「あぁ・・・悠ちゃ・・・悠一はカレーが好きだからな、たんと食べるがいい。」

「あ、あのぉ・・・私もおかわりいいですか??」

「え!?由里・・・最近太ったとか・・・・ぐふッ――――――」

「それは言ったらダメなワードね・・・こればっかりは耀子が悪い。」

耀子の発言に由里は鋭い一撃を背に捻じ込むと・・・由里は何も無かった風にカレーを食べていた。


「で、カレーを食べて解散した後・・・どうするんだ??

また何か新しいトコロでも回るのか???」

「そのことなんだけど・・・修学旅行まであと2週間だから涼孤さんと回るプランを決める約束してるから今日は少し遅れるかもしれないかな?」

「そういうことだ、3人で仲良くクエストでも好きにしてくれて構わない。」

「了解~それじゃ、今日はこれから悠一とデートだね~~」

「大体はオマケが付くのが見えてるけど・・・・あと、ご馳走様。

私はコレを洗って先に帰らせてもらおうかしらね。」

コトハが皿を洗いに行くと・・・耀子と由里も一緒に帰ると言って皿を持っていき、パパッと洗うと3人は帰る準備をし―――――――


「それじゃ、悠一君。

プランが決まり次第にログインするから。」

「あぁ、了解だ。

3人とも気をつけてな。」

「あいあい~~~そんじゃ、涼孤さんごちそうさま~~~んじゃまたね~~」

「2人ともそれじゃ、ご馳走様。」

「気をつけて寄り道せずに帰るんだぞ~~」

と、3人は家から帰って行き・・・悠一も自分の食べた皿を洗って風呂に向かう途中に姉さんに呼び止められ・・・・


「悠ちゃん、その・・・ハワイのお土産は決まった??

何か欲しいモノとか聞いてたと思うんだけど・・・・」

「ん~何回も考えたけどやっぱりよくわかんなくてさ。

姉さんの好きなものでいいよ。」

姉さんの質問に軽く返すと・・・姉さんもにっこりと笑顔で返し、悠一は風呂に入りながら耀子たちとグロリアで何をしようかと考え。

何も思いつかないまま風呂から上がって自分の部屋に入り、グロリアの中で考えることにした。


「ただいまっと・・・・ん?この菓子の残骸は一体・・・・」

「モシャモシャモシャ・・・・おぉ~主殿~おかえりなのじゃ!!!

これかのぉ??コレは先ほどの景品のお菓子なのじゃ~~~主殿も食べるかの??」

「コレとか中々美味しいよ???

現実のお菓子をモチーフにしたモノだって!!!」

「お帰りなさいませご主人様・・・その、帰ってきて急なのですが、この細い棒状の焼き菓子は伝説のゲームができるアレでございますでしょうか??」

ユキシロたちはお菓子を開けてはバクバクと食い散らかし・・・空き箱や包装をゴミ箱に捨てずに転がしており、レイはと言うと・・・細い焼き菓子を見つめながらこちらに近づきながら端をくちにセットしていた。


「ま、待て!!!レイ!!!そのゲームはレイがやったらマズイ・・・これは肝を試すゲームなんだ・・・2人とも止めてくれないか??」

「ん~この先がどうなるのか気になるからのぅ・・・ん~主殿には悪いのじゃがもう少しだけ見させてもらうのじゃ。」

「私も~~~レイがちょっとずつ食べていってるけど・・・あのままじゃムクロとチュウしちゃうんじゃないのかな???

ん?もしかして???」

段々と近づくレイの唇を前に・・・がっしりと手で固定され、逃げることができない状況でムクロは覚悟を決めて目をつむると・・・・


「って・・・何やってんのよ・・・・2人とも・・・エイッ・・・これでゲーム終了っと。」

「た、助かった・・・・アヤカ・・・・あと少しでレイにやられるところだった。」

「チッ・・・・あと少しの所で・・・ですが、私も少し助かったかもしれません・・・もしあのままご主人様とキスをしてしまったら冷静でいられたかどうか。」

「ん~~アヤカのカットが入ったのじゃ~~~あの後どうなるのかが気になって仕方ないのじゃ~~~」

「それじゃ、私とやってみようよ!!!!

ハイ、これを口にセットして!!!

いっくょ!!!!」

ユキシロの口に焼き菓子を突っ込み、ファムは開始の合図とともにパクパクと食べ・・・すごい速さでユキシロの唇と重なっていた。


「あぁならずに済んで良かった・・・・・」

「それはそうと・・・ムクロたちはあの射的屋の目玉商品盗ったんでしょ??

意外とやるじゃない!!さすがはムクロね。

あの店は前から目を付けてたんだけど・・・どうも何かを匂いがプンプンでさ?

で、さっき街をぶらぶらしてたらその店がしたとかで・・・何でも、誰でも取れる射的屋とか言ってて・・・並んでた景品のほとんどがお菓子なんだけど、本当に簡単に取れるらしくて今じゃすごい人気店になってるわよ。

ん?どうしてムクロたちが取ったのを知ってるかって顔ね・・・・それはコレよ。」

アヤカは1枚の記事の切り抜き画像をムクロに見せると・・・・


「あ・・・あのおっさん・・・そう来たか。」

その記事には・・・店の主が全プレイヤーに呟いた内容で。

店の目玉商品が獲得されて無くなったことや、誰がゲットしたのかが書いてあり。

それから店のリニューアルの事や内容の告知が事細かく宣伝してあった。


「ん・・・・んむぅ!!!ぷはぁッ!?・・・・どうしたのじゃ2人とも??

ファムの唇はねっとりしていて甘いのじゃ・・・・」

「だって、さっきまでねばねばしてたキャンデー食べてたからね。

で、さっきまでの射的屋がどうしたの???」

「2人とも・・・全然話を聞いてなかったのですね。

それ程までに互いの味の確認をしていたのですか?」

レイが2人に言うと・・・2人は照れて再び何の話かを聞き尋ね、アヤカはムクロに見せた紙を見せながら説明をした――――――――――


―――――――――――――――プライベートホーム

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