第254話 撃ち貫くは慟哭の先に

―――――――――――――――ガンフィールド:銃の領域


アヤカから銃を受け取り・・・弾も予備の中から貰うと、ロックが幾つか解除され・・・弾の作成や新たな銃の作成が可能となったところで、アヤカはそれじゃと言って森の中に消えて行った。


この、ガンフィールドは森や砂漠と言ったステージが複数入り混じったフィールドで・・・PVP等の個人的な試合はできないが、代わりに一部の安全ポイントを除くすべてのフィールドでPKが許可されている数少ないフィールドでもあり。

PKを単純に楽しむものや、他のフィールドではできない多人数での銃撃戦をしたいプレイヤーたちがこのガンフィールドを多く利用している。


そして、アヤカを追って同じ森の中に入って行くと・・・木の陰から誰かがムクロの背に銃を突きつけ、手を上げるように指示を出したのだが・・・・


「ムクロさぁ・・・私の後を追ってくるのはいいんだけど・・・それじゃ、2秒も生き残れないわよ?」

「俺、イマイチ銃撃戦をしたことないからさ・・・どうやればいいのかさっぱりでさ?」

2人で話していると・・・遠くから発砲音が聞こえ、その瞬間アヤカはムクロを突き飛ばすと・・・近くの木に弾が命中していた。


「すでに誰かに目を付けられていたって感じね・・・

ムクロ、ここはひとまず協力してこの場を抜けるわよ?いい?

それに、こういったFPSや銃撃戦は私の方が大先輩だから・・・言う事を聞くのよ?」

「あぁ・・・で、何をすればいいんだ?」

アヤカに何をすればいいのかを尋ねるが・・・アヤカはシーッとジェスチャーをしてから一言だけ喋った。


「ここで待機。」

「おい、アヤカッ!そっちは逆方向―――――――――」

アヤカはムクロを木の下に置き去りにして逆方向へ走り去り・・・再びいくつかの発砲音が聞こえ、近くの木に弾が当たり・・・こちらに少しずつ照準しょうじゅんを絞って狙ってきていることは確かであった。


「アヤカ・・・一体、どうするつもりなんだ??

本当に俺を置き去りに・・・・いや、こうなった以上こので・・・・」

先程アヤカに作ってもらったハンドガンをリロードして隠れていると・・・撃ってきた方向から1人のスナイパーがゆっくりとライフルを構えて近づいてきた。


「獲物発見~そんな木下に隠れて・・・初心者って感じだが、悪く思うなよ?

これもこのガンフィールドの厳しいルールなんだ。

そういう世界なん―――――――」

「へぇ・・・奇遇ね、私もそう思うわ――――――

――――――――Freezeフリーズ!!そう、動かないで。

で、大丈夫だった??」

「おいおい、アヤカ遅いぞ・・・もしかすると俺よりもアヤカの方がスパルタ教育なんじゃないのか?」

アヤカは男に銃を向けながら、武器を捨てさせ・・・それをムクロに拾わせると、命の代わりに武器と弾薬を貰ってその男から逃げた。


「はぁ・・・ここまで来たんだからムクロには徹底的に銃撃戦での戦い方を学んでもらうから覚悟してよ?」

「アハハ・・・なんだかアヤカの目が怖いんだが・・・・」

そうと決まれば移動と・・・アヤカはこのフィールドに秘密の拠点を持っているらしく、そこで男から奪った銃の説明と扱い方をある程度教えてもらい・・・弾の作り方も教わった。


「そうそう・・・初めてにしては筋がいいわね。

これもグロリアをしてきたからかしら?それともムクロは元々こういう器用な事が好き?」

「いや、アヤカの手本がいいからだろ?

俺は見様見真似でやっているだけだからな。

これで、弾は完成っと・・・で、これからどうするんだ??」

アヤカから弾や銃の製作やメンテナンスのやり方を一通り受けると・・・時間が時間と言う事で互いにログアウトする際に、アヤカから明日はこの続きからすると言って・・・すっぽかせば怖いと脅迫に近い笑顔を見ながらログアウトし・・・

俺は、由里に今日の出来事をメールで送ると、由里からメールで「お疲れさま」と返り・・・明日のスケジュールはハードなものになると考えながら目を閉じた。


翌日、学校が終わると・・・由里たちと寄り道をすることなくグロリアにログインしてアヤカからの指令を受ける前に何でもできるようにと、予習をするために銃をもって森に踏み込むと・・・昨日の男がフッと現れた。


「よぉ・・・昨日ぶりだな・・・あの女は・・・いないみたいだな。それは好都合だ・・・今からアンタをハチの巣にしてやるから・・・覚悟しな!!!」

「それはどうかな??俺は昨日までの俺とは別人だぜ?」

そう言い返すと、男はハンドガンを取り出して・・・こちらを狙って発砲するが・・・・反射能力はいつものムクロのままと言う事もあり、スナイパーでもない限り弾に当たる心配なく・・・男のハンドガンを避けながら進むと――――――


「こ、この野郎!?バカにしやがって!!!

これで、マジでハチの巣にしてやるぜ!!!!」

「なッ!?そんな銃まであるのか!!!」

男は装備を変えてガトリングを取り出すと・・・撃てるだけの弾をこちらに向かって発砲し、気に隠れながら相手の撃つタイミングをうかがいながら・・・男に数発ハンドガンで狙い撃つが・・・


「へッ・・・そんな銃で俺が倒れるとでも思ったのか???

俺の防弾ベストだとハンドガンくらいじゃビクともしねぇぞ!!!

今度はこっちからだ!!!オラオラオラ!!!」

「くッ・・・・グロリアの防具とは違う銃撃戦用の防具か・・・面倒だな。

それなら・・・アヤカにしてもらったでも試してみるか。」

男がムクロを探している間に・・・装備を変え、男の前に姿を出すと同時にその銃を発砲すると――――――


「グハッ!?!?!?なんだその、爆音と・・・長銃は・・・・って!?まさかそれ・・・俺の銃じゃないのか!?アイタタ・・・・」

「あぁ、その通りだ。

少しアヤカが火力上げと長距離レンジ射撃ができるように改造してたが・・・何て言ったかな・・・対戦車狙撃銃・・・グロリアの武器ネームだと、ASD-43だったか。」

ムクロの手に握られていた長銃はスナイパー用の銃であったのだが・・・ムクロは肉眼で距離を調整し発砲して見せ、普通のプレイヤーとはまた違う異質なプレイヤーと言う事を男は感じると・・・一言「降参」と言って武器を投げ捨て、膝をついていた。


「幾つか聞きたいんだが・・・お前さん、このガンフィールドは初めてだよな?」

「あぁ、ココに来たばかりだ。」

ムクロの発言に男は笑いをこらえきれず爆笑し・・・自己紹介をしながら質問を続けた・・・


「俺の名前はコルーグってんだ・・・お前さんは大した男だな。

昨日のアレからここまでなるたぁ・・・お前さんマジでバケモンじゃねぇのか?」

「俺はムクロだ・・・あぁ・・・俺はただ言われた通りに基本を覚えてから自分流にアレンジしただけなんだが・・・俺のやり方ってか?」

真面目に変かどうかをコルーダに尋ねると・・・再び大笑いしながら答え始めた。


「そりゃ、変だって・・・あと、って呼ばせてもらうぜ!!

その、変って言うのはだな・・・狙撃銃を相手の距離を肉眼だけで計測して撃ったんだ、そりゃ変だってもんだ。

一般的な使い方と言うと、ある程度距離を離れてから撃つ銃だからな。

それに・・・ムクロさん・・・失礼な言い方になるかもしれないが・・・ムクロさんはって言うより、戦い方だ。

そういう戦い方はいつか本当に命と何かを無くしますぜ?」

「そうかもな・・・グロリアでの戦い方が抜けきらないからだろうな。

まぁ・・・どうにかなるだろ。」

何も考えていないのがバレそうなくらいの笑顔で答えると・・・コルーダは武器をしまって返ろうとした時―――――――


「ん・・・なッ!ムクロさん!!!あぶねぇ!!ぐぁ・・・・うぐッ・・・・逃げ・・・ろ・・・・」

「おい、バカ言うな!!!まだ、体力は残ってるな・・・すぐに回復して・・・・」

「そうもいかないんだよねぇ~~~僕らさ?この辺で狩りをしてるプレイヤーなんだけど・・君たち、いいエサって感じだから・・・キルさせてくれないかな??」

銃をもった複数人の男たちが下卑た笑いをしながらぞろぞろと近づいてきた。


「ムク・・・ロ・・・さん・・・俺は・・・いいから逃げろ・・・逃げろ!!!コイツらはこの辺じゃ有名な・・・・プレイヤーキル専門の惨殺ギルドだ!!!殺されたくなかったら逃げ―――――――」

「お前、うっさいよ・・・・少し静かにしてくれねぇ???って、つい撃っちまったが・・・キルしちまったな・・・ギャハハハ!!!!」

「・・・・・・・・・・・・

――――――――――クイックシフト・・・・・」

コールダにトドメの一撃を撃ち込んだ男はゲラゲラと笑いを上げ・・・こちらに銃を構えた瞬間、言葉にならない速度で加速スキルを使用し・・・・2人の男の脳天を貫通するように狙撃銃で撃ち貫くとゲラゲラ笑った男はこちらに向かって発砲を開始した。


―――――――――――――――ガンフィールド:銃の領域

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る