第251話 フェジットとアヤカの関係
―――――――――――――プライベートホーム近くの街路地
フェジットはヴィーチェの後を追う前に頭をぺこりと下げ・・・慌てて名前を呼びながら慣れない街路地を走って消えて行き・・・何事もなかったかのように俺たちはその場に取り残されていた―――――――
「えっと・・・なんだかすごい子だね・・・すごい美形だったけど・・・ちょっと、ムクロ君!?ずっと見てないで私たちもホームに帰るよ!!」
「なんだかユリハはあのロシアのプレイヤーに焼きもちを焼いておるのかのぉ?」
「きっとそうですね・・・ご主人様を取られたくないのでしょう・・・ですが、その気持ちは私もわかりますので触れないでおきましょう。
それではご主人様・・・ホームへ戻りましょうか。」
「あぁ・・・そうだな。」
ユリハとレイに引っ張られながらホームに帰ると、クーリアやファムたちは楽しそうにロシアの事について話をしていた。
「あ、ムクロッちお帰りぃ~~ねぇ、聞いて聞いて!!!
競売にあったロシア限定アイテムを幾つか落札して来たんだけどさ?
コレとかコレどう思う?」
「クーリアは本当にこういう新しいアイテムとか好きだよな・・・
そうだな、見た所どれも日本サーバーじゃドロップしない名前の武器とかアイテムだな。
武器はともかく、アイテムの効果は未知数だな。」
「クーリアが返ってきたとおもいきやコレなのじゃ~
じゃが、このアイテムは不思議な形をしておるのじゃ。」
「私も天世界でアイテムはいくつか見たことはあるけど・・・こんな独特なアイテムは初めて見るかも。」
「それに、この人形って・・・呪い系のアイテムとかじゃないよね?
何だかすっごく怪しい雰囲気を出してるんだけど・・・・」
「ですが、アイテムをスキャンしてみた所・・・呪いの類や効果の掛かったアイテムは存在しないのでご安心を。
長い話になるかもしれないので私はお茶でも入れてきますね。」
レイは台所に向かうと・・・ユキシロも人間モードになって手伝いに行き。
アイテムを見ながら話していると、部屋からエリが背伸びをして出てくるとテーブルに並べてある見た事ないアイテムを見にやってきた。
「手が早いわね、でも・・・このアイテムはどうやって使うモノか知っているの?」
「ん~それがさぁ~全然なんだよねぇ。
適当に安かったものをいくつか買って来ただけで・・・・どれもどうやって使うモノなのか不明でムクロッちたちに聞いてみてるんだよ。」
「ん~私もわからないなぁ・・・でも、感じ的には何かの材料なのかも。」
「そうだね・・・瓶の中に入った液体に不思議な色をした鉱石・・・よくわからない人形・・・どれも武器か何かのアイテム製作に必要な素材のような気がするね。」
「それはそうと・・・クーリア、テーブルの上のモノを片付けてもらってもよろしいでしょうか?お茶がおけませんので。」
「主殿、どうぞなのじゃ!!!」
「ありがとうな。
あと、さっき・・・ユキシロたちと公園で散歩してた時にライザーとロシアのプレイヤーとのPVPを見ていたんだが・・・・
ロシアのプレイヤーの動きは日本と違って独特と言うか・・・すごかった。
それに、変形武器のギミックを組み込んだ武器を使っていた。」
「そうですね、あのロシア美女プレイヤーが使っていた武器は可変する武器で・・・弓から小刀になっていました。
それに、あのライザーをいとも簡単に打破する強さ。
只者じゃないというのは私でも感じ取れました。」
レイの口から出た言葉の可変する武器の補足よりもロシアプレイヤーが美女と言う情報にクーリアやエリの持つ紅茶がピタッと止まり・・・・ユリハも
紅茶を飲みながらこちらをジーーーーっと見つめていた。
「へぇ~ふぅ~ん・・・でぇ?ムクロッちぃ~そのロシア美女の件について詳しく教えてもらぇるかなぁ?ねぇ?聞きたいよね?エリ?」
「そうね・・・で、そのプレイヤーはどうなの??可愛いの?」
「えっと・・・その・・・俺はそう言うのがわからないって言うか・・・・あはは・・・・」
「そうですね、すごい美人で軍服の格好をし、鋭い目をした女帝というようなプレイヤーでした。」
「私も帰りに見かけたんだけど・・・すごいプレイヤーだったよ。
それに、何か別の強さとは違う何かを持っているようなプレイヤーだった。」
「ん~つまり・・・強者であり美人プレイヤーなんだね!!
いいなぁ~私もあってみたいなぁ~」
「じゃが、ファム・・・アレはPVPと狩りの世界に生きる猛者と言うのに等しいのじゃ・・・仲良くなろうと手を差し出して近づくと、手を噛み千切られるかもしれぬのじゃ。」
ロシアプレイヤーの話をしていると、ロシアサーバーにいるアヤカから連絡が入り・・・・友達とホームに行ってもいいかと聞かれ、OKを出すと。
アヤカは数分後、友達を連れてホームにやってきたのだが・・・・・
「えっと・・・この子は私の現実でも友達のフェジットだよ。
で、こっちの冴えない顔のプレイヤーが私たちをまとめるムクロだよ。」
「冴えないは余計じゃないか?
それに・・・さっきぶりだな・・・フェジット。」
「まさか・・・アヤカの友達が今日出会った男性だとは思いもしなかった・・・・
えっと・・・敬語は抜きにして話をさせてもらうと・・・
私はアヤカの友達であるフェジット。
――――――――――――――よろしくね、皆。」
「よろしくね、フェジット。
私はユリハって言うの・・・この日本サーバでわからない事があったら何でも聞いてね。」
フェジットの自己紹介に敬語は必要ないと言う事で、ざっくりと自己紹介を済ませた所で・・・フェジットとアヤカの繋がりを聞くと。
元々は違うゲームのFPS仲間であり・・・現実でも共に遊ぶ仲の良い友だったが・・・ある日、フェジットは引っ越しによってロシアに住み始めてからというものの・・・メールや通話以外でのやり取りが盛んであったFPSゲームでも日本とロシアサーバーに別れてしまい現在まで互いにグロリアをしている事を話すことなくプレイしていると。
今日の2国同時アップデートで日本とロシアサーバー間の交流が可能となったことで、出会える事となり現在に至ると言う事であった。
「そして、私は現在ロシアサーバーのギルドである「ブルガノ」に所属し。
副官をしているんだけど・・・・そのギルドマスター・・・ムクロ君?さん?は見たことあるよね・・・今日、私と一緒にいたあの怖い目のプレイヤーなんだけど。」
「ムクロでいい。
あぁ・・・あの目のキリっとしたプレイヤーだな?」
「アレは私も存じ上げております。
威圧的な軍服ですね。」
「フェジットってギルド加入者だったんだね。
ん?って、言う事は・・・アヤカもそのギルドに入るとか??そう言う事?」
クーリアの質問に対して・・・フェジットは是非とも来て欲しそうに誘うが、アヤカはこのホームが自分の居場所だと返答すると・・・フェジットは寂しそうにしながら紅茶を一口飲み。
何かを思いついたかのようにムクロに提案を持ち掛けてきた。
「ムクロさん・・・その、私の勝手な願いだけど・・・やっと再開できたアヤカを私のギルドに来て欲しい・・・の。
だから、私とPVPで勝負をして・・・私が勝ったらアヤカを私のギルドに・・・・・」
「フェジット・・・止めといたほうがいいわ。
このムクロって言う男はね・・・私たちの想像もできないくらいやり込んだプレイヤーよ?それに、ムクロが敗北した所なんて一度も見た事ないのよ?
それでも・・・フェジットは戦うって言うの?」
「俺は構わないが・・・・一応言っておくけど、俺が負けたとしてもアヤカがそっちに行くかどうかはアヤカ次第だ・・・・それに、ちょうどロシアのプレイヤーと一戦交わりたかったところだ――――――――あ・・・・ダメか?」
「ダメに決まっているでしょ!!!アヤカを商品にして戦うなんてダメに決まってるよ!!!」
ユリハたちに確認を取ってみるが案の定、却下され・・・・フェジットにPVPができない事を伝えると・・・フェジットに通信が入り、人を探すようにという内容であったらしいのだが―――――――
「あの、ムクロさん・・・私のギルドマスターであるヴィーチェが会いたいと言っているのだけれど・・・公園に来てもらえると助か―――――――」
「あぁわかった。
何か用があるって言うのなら・・・付いて行こう。」
「ちょっと、待ったァ!!!それに私も同行しよう!!!」
「あ、ミスト・・・今までどこに・・・・」
ミストはシベリアをモシャモシャと食べながら玄関から入って来ると、なぜホームの中にいなかったのかを話す前にムクロと同行することをフェジットに自己紹介をしながら尋ねると。
特に同行者の人数やアリナシが書かれているわけでもなく、フェジットは他に付いて行く人がいないか尋ねると・・・ユリハとクーリアたちが付いて行くこととなり、ホームにユキシロたちを置いて公園へ移動した――――――――――
―――――――――――――――始まりの都:公園
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