第205話 グロリアの書店へ
―――――――――――プライベートホーム前・・・
俺は町はずれからホームまでブランを使って高速で移動し・・・・帰ってきたのだが・・・中ではミストの怒り狂う声が聞こえ・・・俺は入ろうにも入れない状況でさらに・・・ガヘリスと知り合った事をみんなに伝えると何て言われるかと想像すると、手がドアノブを握ろうとはしなかったのだが・・・
「あれ?ムクロッち~~どったの???こんなところで・・・
また何か悪い事でもしちゃったのぉ???一緒に入って謝ってあげよっか??」
「クーリア・・・すぐに俺が悪いことをした前提で話すのは止めてくれよ・・・ちょっと色々あって入り辛いだけだ・・・この中の声を聞いてみてくれよ――――」
俺はドアから離れ、クーリアにドア奥の声を聞かせると・・・クーリアは呆れた顔で俺を見て、手を掴んで無理矢理ホームの中に入った。
「みんな~~~たっだいまぁ!!!クーリアとムクロッち・・・ただいま戻りまっしたぁ!!!」
「みんな・・・ただいま・・・あはは・・・・」
「ムクロ君!!!一体どこに行ってたのよ!?私たちが剣を見てる間に消えちゃって・・・すごく心配したんだからね!!」
「そうだぞ!!!なんでクーリアと手をつないで一緒だったんだ???怪しいぞお前達???」
「これはまた荒れそうな予感なのじゃ・・・・」
「うん・・・ゆっくりお茶もできないかも・・・レイ、ユキシロ・・・私の部屋に行こ?」
「そうですね、この様子だと巻き添えを喰らえば面倒でしょうから・・・今回はファムの部屋に避難致しましょうか。」
「やけに騒がしいと思ったら・・・またムクロが何かしでかしたの??
それとも焼きもち???あなたたちも暇ね・・・・」
もうこの時点で色々と被害を出しながら・・・俺たちはソファーに座り、話し合う事となった―――――
「で、ムクロとクーリアはどうしてそんなにくっ付いているんだ??」
「えぇ??だってぇ~~指輪しちゃってるんだよ???そりゃ~~~ベタベタもしちゃうっしょ~~ねぇ~~~ムクロッち~~」
「クーリア・・・この状況だと火に油に・・・いやドラゴブレスにデスオイルだ・・・・だから、少し離れてくれないか??」
「そうね、まずはクーリア・・・ソファー1つ分離れなさい。
――――――――まったく・・・」
「で、エリちゃんはどさくさに紛れてどうしてムクロ君の隣に座っているの??」
クーリアを眼力と言葉でどかせたエリエントは・・・クーリアと入れ替わるようにソファーに座り、それを見逃さず・・・的確にユリハがツッコミを入れると、続くようにミストが俺に質問の答えを急かしてきた。
「で、どうなんだ???クーリアと街でいちゃついて・・・私たちを置き去りに・・・したのか??」
「イヤイヤイヤ!!!そんなんじゃないから!!!えっと・・・その・・・俺も新しい武器を作ろうとしてだな・・・ちょっとした人に依頼したら・・・自分の工房に連れられてさ・・・あはは――――――って・・・なんでみんな・・・レイまでどうして出てきて・・・」
「ムクロッち・・・それって・・・女の子の工房じゃないよね???
熱々の蒸れ蒸れの工房に・・・行ったんだよね???」
「そうなの?ムクロ君??女の子の住む工房じゃないよね??」
「主殿・・・それはまずいのじゃ・・・工房の女の手つきは器用と聞くが・・・・さすがに主殿はそこまで―――――――」
「いえ、ご主人様ともなれば・・・ユキシロがOKなのですからどんな種類でも毒牙にかけると考えてよいでしょう・・・つまり、ご主人様が依頼した製作者が女と分かった時点で・・・すでに――――――」
「で、ムクロ・・・どうなのよ???プライベートであることは事実だから黙秘はできるけど・・・しても状況は悪くなるだけ・・・吐いた方がスッキリすると思わない??」
「ムクロって・・・そんなに酷い人じゃないと思うんだけどなぁ~~~
だって、私たちみんな女のコだけど・・・そういったイザコザ起こしてないし・・・・もし仮に・・・ムクロがその・・・女のコと愛が芽生えてたら私・・・自害する・・・・」
最後のファムの一言が一番危険で・・・細心の注意がなければユリハ達全員の爆弾が爆発して、俺は確実に消えるが・・・説明する時間が惜しいと思い、俺はけじめをつけてユリハ達と別れてからの事を全て話、目を閉じてグッと歯を噛み締めたのだが・・・・
「私は・・・信じるよ・・・そのガヘリスって人の事もムクロ君の事も。
だって・・・ムクロ君がその人がスゴイって言ってるときの顔が・・・悪い事を言っている顔じゃなかったから。」
「あ~~~あ・・・面白くないなぁ~~~ユリハが捨てたら貰おうと思ってたのにな~~~またユリハの独占かぁ~~~ちっとも面白くないよ。」
「だが、ムクロが熱心に話していたことは事実だ・・・それに相当腕がいいと言う事ならぜひ会ってみたいものだな。」
「私は始めからご主人様の事を信じていましたが・・・・・」
「なぬぉ!?レイレイは割と主殿をボコる気満々で剛腕装甲の爪が出かかっておったが・・・・ぬ?レイレイその剛腕装甲でアタイに何をする気なのじゃ!?」
「ははは・・・でも、皆はやっぱりムクロの事を信じたね。
疑う人もいなかったし・・・ん~ムクロになら騙されてもいいって事なのかな??」
「さぁ、それはどうかしらね・・・でも、私はムクロになら・・・騙されてもいいわ―――――
でも、隠し事はキライだけど。」
皆に俺の真剣な話が伝わったのか、皆にすんなりとガヘリスの話を信じてくれたのだが・・・本当に恋沙汰等のイベントは発生していないかと尋ねられると、俺はきっぱりと否定した。
「よし、ムクロの疑いが晴れた事だし・・・これからどうする??
――――――――クエストにでも行くか?」
「私はみんなとこうやってお茶をしててもいいかなって思うけど・・・」
「アタイもゆっくりぬくぬくしたいのじゃ・・・・って・・・誰かここから出して欲しいのじゃ~~~」
「ウルサイ狼ですね・・・剛腕装甲で潰されないだけマシだと思って―――――」
「レイ、ユキシロを放してやってくれ・・・」
俺がそう言うと、レイはペコリと頭を下げて剛腕装甲からユキシロを開放した。
フラフラとソファーにもたれ、目がぐるぐると回ってグロッキー状態であった。
「うぬぅ・・・世界がぐるぐるなのじゃぁ~~」
「この様子じゃユキシロはクエストに連れていけないね。」
「そうね、クエストに行けないのなら私はジャカルゥの毛づくろいでもしてから1人で散歩でもしようかしら。」
「ふむ、ならば私は久々にリーグにでも行ってくるとするかな。」
「あぁ、2人とも無茶をしない程度にな。」
「ムクロ君はこれからどうするの???」
「それは私も気になっちゃうなぁ~ムクロッち何すんの??クエはさっき行ったし・・・」
「その、やる事がなければご主人様・・・私に本を買ってはくれないでしょうか??」
と・・・・やることのある者はホームから移動し、ユリハとクーリアの質問をすり抜け、レイは本が欲しいとねだり・・・俺は久しぶりにグロリアの世界にある本屋に行くことにした。
と、言っても漫画や最近の雑誌が売っているわけではなく・・・この世界をモチーフにした絵本や雑学の本など、様々な種類の本が手に入る場所で・・・本屋に行くと言うと、レイも待つことができないと言って・・・ユリハとクーリアも面白そうだからと付いてくることとなったのだが―――――――
「私はユキシロをベッドに運んで見てるから・・・ムクロたちで回って来ていいよ。お土産は美味しいモノがいいなぁ~」
「うぅぅ・・・剛腕装甲・・・硬くて痛くて狭いのじゃ・・・・」
「えっと・・・ユキシロを頼んだ・・・」
「美味しいモノがあるかわからないけど、何か探してくるよ。」
「うんうん!!面白いネタ菓子とかね。」
「それでは、いざ・・・本を買いにまいりましょう。」
話が決まると・・・レイは玄関のドアを開き、俺の手を握って本屋に引っ張られていった―――――――
――――――――――――――始まりの都
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