第204話 最高の剣を求めて・・・
―――――――――――――――――始まりの都
ガヘリスの後ろ付いて歩いていると・・・街のはずれにある煙突のある工房のついた家に辿り着き・・・ガヘリスは中に案内してくれた。
「いやぁ悪かったね・・・見苦しい所を見せて。
でも、工房主があんな腑抜けたことを言っている様じゃ・・・あの工房の限界はたかが知れてる。
だから、ここでムクロの要望する最高の剣を私が作るわ!!!」
「で、でも・・・さっき聞いたが・・・試作途中の剣があるから俺のはできないんじゃないのか??」
俺はガヘリスに尋ねると・・・ガヘリスは布にくるんでいた完成しかけの剣を溶鉱炉に投げ入れ・・・ゴポゴポと音を立てて溶けて行った―――――
「あんなものはただの暇つぶし・・・誰のモノでもないし・・・私はムクロのようなメチャクチャな要望をする依頼者を待ってたんだよ。
で、素材は何を使うんだい?
爪?角?骨?鉄?金?鉛?核?心臓?木材?」
「ストップストップ!!!素材は大体のモノを提供できる。
だが、俺は剣の設計図やギミックを考えることは得意だが・・・素材で何がどうなるとかは分からないんだ・・・だから全てのモブに対して特攻効果が出る武器とかできるか?」
更なる俺の無茶な発言にガヘリスは笑いを堪えることができずに・・・吹き出し、笑いながら必要な素材のレシピを書いて俺に手渡した。
「あ~~ダメ死んじゃう・・・あっはっはっは・・・ハァ~っと・・・ごめんごめん・・・本当にムクロって面白いわね。
ここまでネジが飛んだ要望は初めてだよ。
でも、私に任せな!!無理やできないなんて言わない!!
ただ、素材が・・・ね・・・死滅させる勢いで獲らないといけないかもしれないけど大丈夫??」
「どれどれ・・・あぁ・・・大丈夫だ。
どれも数は足りてる・・・少し待っててくれ。」
俺はルミ子にアイテムの移動の指示を出し・・・すぐに移動が完了し、アイテムストレージからアイテムを出して見せた。
「こりゃ、たまげた・・・・・こんな高価な素材をすぐに数を揃えて出してくる奴は初めてだよ。
ムクロ、あんた何者なのよ?お偉いさん?それともただのお金持ち??」
「そうだな・・・ただの冒険マニアと言っておく。
お、この剣も中々イイ作りをしてるな・・・少し重すぎるが・・・材料は・・・鉄と鉛か?」
ガヘリスに剣の材料を尋ねると・・・ガヘリスは俺の手から剣を取り、剣を突き付け・・・攻撃を仕掛けてきた。
「ハァッ!!!あの間合いからこの狭い工房でどう戦う???
しかも、ここは私の巣だ・・・地形的には不利だと思うけど??」
「そんな些細なことは感と楽しさでカバーだ!!!
――――――――――――――ハァッ!!!!」
剣をぶつけ合い、工房内にアイテムがどのように配置してあるのか詳しいガヘリスが少し有利なのか・・・俺は壁の方に押しやられていき――――――
「さぁ、どうする??もう後ろがないよ!
――――――――負け犬の様に降参する??」
「そうだな、だったら・・・こうだ!!!」
俺はガヘリスの剣をワザと自分の手に突き刺して動きを止め、ガヘリスの首元に剣を突き付けた。
「ぷッ・・・わっはっはっはっ!!!!ムクロって無茶苦茶ね!!!
―――――――ハイハイ、私の負けだよ。」
「ガヘリスの剣の動きもなかなか良かったぜ。
――――――――――今は冒険していないのか??」
ガヘリスは剣を作ることに生き甲斐を感じたらしく、剣の素材を集めに行く時以外は冒険にはいかなくなったと答えた。
「で、製作にはどのくらいかかりそうだ??
急いじゃいないんだが・・・完成までの時間が知りたくてな。」
「そうだねぇ・・・3日はかかると思う。
なんせ加工がどれも違うから一つ一つしてたら時間がいくらあっても足りないし・・・それに、私は秘密なんだが・・・学生でな。」
ガヘリスはボソボソと身分を明かし、俺も答えるように身分を明かすと・・・ガヘリスはさらに笑い、素材を溶かす工程に入っていた。
「ガヘリス・・・悪いんだが少し、作る作業を見ててもいいか??」
「あぁ、ここへ誘ったのは私だ・・・勝手に見て行ってくれ。
まぁ楽しいモノじゃないと思うけどね。」
と、ガヘリスは答えながら大きな溶鉱炉に俺の渡した素材の鉱石を投げ入れながらグツグツと煮炊き、不純物を取り除く作業をしていた。
そして、ガヘリスは煮えたぎる溶鉱炉から出る蒸気や、火の調整で・・・やはり体中が汗でびちゃびちゃになって服が体に張り付く程であった。
「ガヘリス・・・汗でびちゃびちゃだけど大丈夫なのか?」
「何さ、このくらい工房にいたら皆こうだよ!!!
それに熱くなったらこうやって脱げばいいんだよ!!!」
ガヘリスは汗でびちゃびちゃになった服を投げ捨て・・・スポーツ用スーツ1つで作業を再開した。
それからと言うものの、何度か不純物を取り除く作業を繰り返し・・・やっと純度の高い鉱石のバーが完成した。
「ふぅ~~やっと素材の1つが完成ね。
まだまだ、やる事があるけど・・・後は、他の素材を煮ながら放置ね。
受け取った素材を混ぜて煮ることで抽出できる液体だから時間がかかるのよ、だから・・・入れるのを手伝ってくんない??」
「あぁ、任せろ・・・これを入れたらいいんだな?」
俺たちは手分けして素材を大きな釜に入れて水を貼り・・・火にかけると・・・ガヘリスがリビングに案内してくれた。
「はい、ここでちょっと待っててね・・・着替えてくるから。
―――――――――のぞき見何てするんじゃねぇぞ??」
「あ、あぁ・・・しないから安心しろ。」
と、ガヘリスは注意してから走って着替えて戻ってくる間・・・俺はリビングに飾ってある作りかけの剣を見ていると・・・ガヘリスが戻ってきて剣の説明をしてくれた。
「それはね、私が3本目に作った作品で・・・まだ剣と呼べるものでもないレベルで・・・・そっちのは20本目・・・・そこまでしても全然でさぁ・・・気が付いたら1000本何てあっという間だった・・・作っても作っても私が望む剣を打ててないの・・・でも、今日・・・私の目の前に私が作りたちと望んだ剣を要望するムクロが現れた・・・だから、これでいい剣が作れなかったら私・・・剣作りを止めようと思うの―――――――――」
「俺はガヘリスの作った剣はどれも好きだけどな??
自分でデザインして・・・こんなに熱い剣はショップじゃ買えないと思うしな。
だから、ガヘリス・・・剣を作る才能を捨てるな。
やりたいコトをやりたいようにするんだ、捨てさえしなければいつか納得する日が来ると思うからな。」
俺がそう言うと・・・ガヘリスはまた大きく笑いだし、ガヘリスの方を見ると・・・涙を浮かべて笑いながら泣いて俺に飛びついてきていた。
「いててて・・・ガヘリス・・・お、重いんだが・・・・」
「う、ウルサイッ!!!す、少しくらいある私の乙女心ってもんを無闇にいじったムクロのせいだぞ!!!
だから、もう少しだけこうさせろ・・・・・・・はいよ、ありがとさん。」
気が済んだのか、ガヘリスは俺から離れ・・・釜の様子を見てくると言って工房に移動すると、メールのお知らせが入り・・・嫌な予感がした―――――
俺は恐る恐るメールを開くと、やはりと言うべきかユリハからで・・・内容はユリハとミストが町中を探し回り、俺は今どこにいるのかと至急連絡しろとのことで・・・・俺はガヘリスに街に用事で戻るからとフレンドコードを渡して嵐のようにホームに戻って行った――――――
――――――――――――ガヘリスの工房
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