第195話 しばしの野営

―――――――――――――海辺フィールド:縁結びの祠


2人の小さな戦いはファムが勝利し・・・順番でファムが俺の隣に座ると・・・レイと同じように手を差し出し、俺はレイとユキシロに見られながら手にキスをするが・・・やはり何も起こらず、次に勢いよくユキシロが隣に座り・・・両手を出してユキシロは好きな方を選んでキスをするようにと言い、俺は右の手にキスをするが・・・祠にも異変は起きず、この噂は恋人同士の流したという事が判明したことで・・・俺たちはホームに帰るために祠を出ていくと・・・


「ちょっとみんな・・・祠が崩れていくのじゃ・・・・」

「崩れていますね・・・・見事なまでにボロボロと・・・・」

「私たちが出た瞬間に崩れるって・・・なんだか縁起が悪いね・・・何か悪い事でもしちゃったのかな?」

「いや、きっと祠自体が古くなってたからだと思うが・・・・近くに何も感じないし誰かが仕掛けた事じゃないな・・・だが、こういう時はなるべく早く帰るのがいいな―――――」

俺たちは急に崩れた祠が気になりつつも、原因を探ることなくポータルまで辿り着くが・・・・


「あれ?ポータルが起動しないのじゃ・・・・どうなってるのじゃ?」

「ちょっとどいてください・・・私が試して・・・おかしい・・・ポータルが起動しません・・・」

「ん~~どうなっちゃったんだろ?やっぱり祠に何か原因が?」

「いや、何かの罠か効果だと・・・俺たちに何かしらのマークとかステータス異常が出て分かるはずなんだがそういったのが出ていないから・・・そう言うのじゃなくて故障かまた別の要因があるんだろう。

ひとまずポータルが使えるようになるまで時間がかかりそうだし・・・運営とユリハ達にこの件についてメールを送っておくか・・・」

俺は運営とユリハ達にメールを送ると・・・ポータルの近くで例レイはキャンプをするための野営キットを広げ・・・焚火でお湯を沸かしていた。


「こんな状況でもレイは相も変わらず・・・・手際がいいというか、用意がいいよいうかじゃの~」

「そうだね、レイと一緒ならどんな場所でも安全に野営できそうだね。」

「だな・・・そのうちユリハ達も異変に気付いてメールか何かで対処してくれるといいんだが・・・」

「ご主人様、そこまで心配なさらなくても問題ありません・・・なぜなら、今夜は野営できるようにテントまでご用意いたしておりますので。

ささ、ごゆるりと――――――」

レイからステンレスのコップを受け取り・・・よく、冷ましてからひと口飲みながらテントの数を数えてみるが・・・・どうしてもテントの数が3しかなく・・・・嫌な予感がする中、俺よりも先にユキシロが尋ねていた。


「のぉ、レイレイ??テントの数は3・・・アタイたちは合計で4・・・1人分のテントが足りないようなのじゃが――――――」

「そう言えばそうだね・・・で、でも・・・仕方ないよ!こればっかりは文句も言えないしね。」

「大丈夫ですよ・・・21のテントで休めばいいのですから・・・・フフフ―――――」

「あ・・そ、それじゃ・・・俺は見張り役をするから3人は休んで―――――――」

俺がそう言うとレイは首を振って俺の見張り役を却下し、ユキシロとファムはどうやってテントを決めるのかと聞くと・・・レイは少し考えて、じゃんけんと言おうとした瞬間に2人に却下された。


「それでは、どうやって決めますか?

じゃんけんだと早く決まるのですが・・・・」

「レイレイのじゃんけんは命がいくつあっても足りないのじゃ!!

んむぅ、じゃんけん以外で争わずに決める方法・・・・アタイはそういったモノはあまり思い浮かばないのじゃ・・・ファムは何かあるかのぉ?」

「じゃんけん以外でしょ?

う~ん・・・そうだなぁ・・・アレなんてどうかな?

ホラ、このまえムクロがしてた・・・あみだなんたらってヤツ。」

「あぁ・・あみだくじか・・・それなら血は流れずに済みそうだな。

よし、俺が白紙の紙で作って来るから待っててくれ。」

俺はそう言ってテントの中であみだくじを書き・・・テントから出ると・・・そこにはなぜか寝る気満々なのか服を着替えていた。


「えっと・・・くじはできたけど・・・3人ともどうしたんだ?その恰好は・・・」

「これはじゃな・・・レイレイが雰囲気が出るようにと渡してきてのぉ・・・

着替えたのはいいのじゃが・・・少しスケてないかのぉ?」

「ユキシロは尻尾が出ている分、下着が見えやすいですが・・・気にしてないのでスルーしておきますね。

では、ご主人様の作ったくじを拝見・・・・不正はなさそうですね・・・」

「ムクロが不正なんてするわけないよ!!

それじゃ、私はココをいっただき!!!」

テーブルに置いたくじにファムはすぐさま名前を書き入れ・・・次にユキシロが書き加え、そしてレイと俺が書き入れると・・・あみだくじの書いた紙を不正ができないようにツールに入れて起動すると・・・・


「チッ――――――はずれですか・・・運営かユリハが早く来ることを願います。」

「あうぅ~~アタイもはずれなのじゃ・・・・ファムは主殿が羨ましいのじゃ~~

飽きたら貸してほしいのじゃ!!!」

「飽きるって・・・俺はオモチャじゃないぞ?

えっと・・・ファム?俺と一緒だけど大丈夫か?イヤなら見張り役を―――――」

「イヤじゃないよ!?え、あ・・・あはは・・・それじゃ、私は先にテントに入ってるから・・・後で来てね。」

ファムは小さく手を振り・・・テントに入ると・・・レイとユキシロもぐだぐだ言いながらテントに入り、俺もファムの入ったテントに入ると・・・ファムは座りながら髪を手で解きながら待っていた。


「――――――ひゃうッ!?は、入るときはノックしてよ!?

ム、ムクロってば・・・たまに常識外れだよね!!」

「え、あ・・・その・・・悪い・・・

で・・・・ファムはどっちで寝るんだ?」

テントの中にある二組の布団をファムに尋ねると・・・ピンクの方を選び、俺は青い布団に入るが・・・互いに入った途端、2人の会話は無くなり・・・何とも言えない静けさが漂い、その沈黙を流すように俺から口を開くと・・・


「その・・・ファム、きつかったりしないか?」

「うん、平気だよ・・・ムクロももっとこっちに来ても問題ないよ。

でも、今日あった出来事の中で特に不思議なことが今起きちゃってるよ・・・・

まさか、ムクロと一緒に寝るなんて想像もしてなかったから。」

ファムはクスクスと笑いながら話し、近づかない俺に当たるか当たらない程度に近づいてきた。


「このままポータルが使えなくなって帰れなくなったらどうしよ・・・

私、まだまだあの街の料理を食べたかったのに・・・・」

「あはは・・・ファムってやっぱり料理を食べることが好きなんだな。

でも、そうだな・・・ポータルが使えなくならなかったらこうやってファムと並んで寝ることもなかっただろうしな。

にしても、運営はこのことに気付いてるのか?

対応がいくらなんでも遅すぎる気がするんだが・・・・」

気になった俺はポータルが使えるようになっているかもしれないと思い・・・確認しようと体を起こして立ち上がろうとした時、後ろからファムが抱き着いてきた。


「ちょっとだけでいいから・・・・待って・・・その・・・あと少しだけでいいから・・・ね?」

「あぁ~~わかった・・・・でも1つ条件・・・今、ファムは?」

俺の質問に対して、ファムは・・・・返事をせず、背中の生暖かい温度と感触はどう考えてもファムは感触であった―――――――


――――――――――――海辺フィールド:野営中

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