第194話 縁結びの祠
――――――――――――海辺フィールド
海中から水しぶきを上げて剛腕装甲が飛び出し、その手の中には巨大なクラゲの主クラスが握られており・・・レイは剛腕装甲で砂浜に投げつけると、主を守るためなのか俺たちと戦っていたクラゲが守るように移動し始めていた。
「まさか・・・こんなところに主クラスのクラゲがいるなんてな。
これじゃレイのデートプランも静かな海辺もクソもないな。」
「そうなのですが・・・この状況をファムとユキシロは喜んでいる様で・・・」
「ムフッ!!アタイの血が湧きたつのじゃ!!!
これが、主クラスの大きさなのじゃな!!!」
「私も初めて見たけど・・・王冠も付けてる巨大なクラゲだね・・・クラゲの王様ってところかな?って!?わわッ!!」
ファムがのんきに話していると、主クラゲが触手を伸ばしてファムを捕らえようとしきたが・・・ファムの
「あ、危なかった・・・危うくクラゲのエサになっちゃうところだった・・・」
「くッ惜しかった・・・・コホン、ファム・・・大丈夫ですか?ちゃんと足元や触手の動きに注意しないと大変な目にあいますよ?」
「大変とは何なのじゃ??食べられる以外に何かされるのかのぉ??」
「あの主クラゲの種類は触手に服や防具を溶かす粘液が出ていてだな・・・なんでも食べやすくするために発達した効果だとか言ってたが・・・グロリアの間では女性プレイヤーの敵で、スライムと同じように女性キラーと言われるモブでもある・・・」
俺がクラゲについて説明すると・・・ファムは鎧が破損していないかチェックし始め、その間にユキシロとレイが同時に攻撃に出ていた。
「女性キラーとな・・・いやらしい触手モブはアタイたちが倒してやるのじゃ!!!
――――――――我流・・・
「私はわざと捕まりご主人様に助けられるか・・・それとも2人を見せしめにするつもりでしたが・・・プラン的に危険と判断し、討伐に移行します――――――
―――――――――剛腕装甲・・・クラッシュハング!!!」
ユキシロの打撃は守るように揺らめくクラゲを吹き飛ばし・・・その後ろから続けてレイの剛腕装甲のスキルを叩き込むが、主クラゲは主と言うだけあって触手を何本も重ねて攻撃から身を守っていた。
「くッ・・・ぷるぷるした体や触手が邪魔ですね・・・せめて触手を何とかしなければ攻撃がボディにヒットさせるのも難しいですね―――――」
「2人とも、離れて!!!久々のスペルいっちゃうよ!!!
―――――――――燃え貫け!!メテオヴォルケーノ!!!」
装備のチェックが終わったファムは空からスペルを発動し、主クラゲに向けてメテオを落とした。
「――――――やりましたか?」
「ううん、まだみたい・・・・」
「うむぅ・・・ここまでの大技を喰らって、まだ体力バーが半分も残っておるとは・・・・さすがに面倒なクラスじゃのぉ。」
「だが、メテオは効果覿面だったらしい・・・辺りにいたクラゲ諸共触手も焦げ落ちてる今がチャンスだ!!」
俺はこの機を逃すまいと主クラゲに攻撃を仕掛けに駆け出すとレイの剛腕装甲とユキシロも俺に続き・・・主クラゲに攻撃すると、焼けているせいか攻撃の通りがよく・・・主クラゲの体がボロボロと崩れると体力バーも体と比例するように削れ、消滅した。
「みんな、お疲れ様・・・ふぅ、やっとクエストクリアだけど・・・これからどうする?」
「そうですね、クエストはクリアしましたが・・・この辺りの探索でもしますか?どうしましょうかご主人様?」
「アタイはまだまだ疲れてないのじゃ~~~と、言うより・・・動いたせいかお腹が空いたのじゃ・・・・」
「あはは・・・そうだな、時間もまだあるし・・・散歩でもしてみるか。」
俺は剣をしまい、クリアリザルトの確認を済ませると・・・レイ達と海辺の探索へと向かった。
「主殿ぉ~~海がすごく綺麗なのじゃ~~」
「この海はグロリアでしか見られない絶景ポイントの1つらしいからな。」
「ご主人様の
「へぇ~~すっごくロマンチックだね~~でも、その場所ってわからないんでしょ?」
ファムが不思議そうにレイに尋ねると・・・レイは剛腕装甲の指を振って「チッチッチ」と言うと・・・その場所を知っているのか道案内を始めた。
「あの島が見える角度から・・・ここを通って・・・あの星が見える方へとこの谷間を進めば・・・・」
「ぬぉ!?主殿、主殿!!何か先にそのスポット?らしき場所が見えてきたのじゃ!!」
「俺にはまだ何も見えないんだが・・・ユキシロの目は本当に良いな。」
「私もまだ何も見えないかな・・・夜なのに遠くまで見えるユキシロの目は便利だね。」
レイが案内する方向はユキシロが見た場所と重なっており、さらに移動すると・・・・目的の場所に辿り着いた―――――――
「ご主人様、ここが例の噂になっているスポット・・・縁結びの
「へぇ・・・ここが、何だか俺には似合わない神聖な感じがするな。」
「アタイも何だか不思議な感じがするのじゃ・・・なんだかゾワゾワのもわもわなのじゃ。」
「そうかな?私は特に何も感じないけど・・・でもでも、この岩って・・・2人くらいなら座れそうだけど・・・えっと、つまり・・・ここに座って誓いを立てるの?」
ファムは岩を見ながらレイに尋ねると、レイはイエスと言って親指を立てて・・・モノは試しと俺はレイに片方に座らされ・・・もう片方をじゃんけんで決めることになったのだが・・・・
「それでは・・・ルールはわかっていますね?じゃんけんで勝ったモノがご主人様の隣に座り、契りを交わす・・・準備ができたのなら、始めましょうか・・・・・」
「うむ、アタイはどんな手段を取ってでも主殿に契りを・・・」
「私は・・・その・・・どっちでも・・・で、でもでも・・・勝ったら・・・・ふわぁぁぁ・・・・ダ、ダメ!!!」
ファムは何を想像したのか顔を真っ赤にして熱を冷ますと、3人は手を出してじゃんけんを始めた。
「最初は・・・・剛腕装甲で、グーーーーーー!!!!」
「ぐはッ・・・・レイレイ・・・それは、ズルイ・・・・のじゃ・・・」
「あわわわ・・・ユキシロが剛腕装甲に潰されちゃった・・・レイ?これってじゃんけんだよね?そうだよね??」
「ファム、外野の俺がこういうのもアレなんだが・・・・今のレイは正気じゃない・・・危ないと思ったら逃げた方が・・・・」
と、話し切る前にレイは地面に伸びて気絶しているユキシロを踏み越え、じゃんけんを再開すると、ファムも同じように最初のグーの時点で剛腕装甲に潰され・・・強制的にレイが勝利?をもぎ取り、俺の隣にグイグイと座りだした。
「のぅ・・・ファム・・・このままでいいのか?
アタイたち、まったくフェアじゃないのじゃ・・・」
「う、うん・・・・でも、体がマヒして動けないんだよね・・・・
あの剛腕装甲の一撃は中々髄まで効くね・・・」
「ご主人様・・・それでは私たちの愛の契りを・・・・ん――――――」
「えっと、その・・・それはちょっと・・・
――――――2人もこっち見てるし・・・」
レイはチラッと2人を見ると、2人は目を逸らし・・・見ないフリをして再びレイは考えて手を差し出し、俺は仕方なくレイの手にキスをするが・・・何も起こらず、レイはため息をついていた。
「はぁ・・・やはりご主人様はユリハの事が・・・」
「レイ、俺はみんなの事が好きだ・・・ファムもユキシロもな。
こうやって毎日バカみたいに楽しいのは・・・みんながいてくれたからだ。
だから、契りがどうとか気にしなく良いんじゃないのか?」
「うむ、主殿はやはりアタイの見込んだ通りの男じゃな!!
それに、アタイも主殿もレイレイもファムもユリハもみんなみんな大好きなのじゃ!!」
「うん!!私もみんなが友達で・・・すっごく毎日が楽しいよ!!
レイもみんながいてくれたから私は
2人が立ち上がってそう言うと・・・レイは2人に強引に殴り倒したことを謝ると・・・2人は気にせずに許したのだが・・・・次は私と互いに俺の隣を奪い合っていた――――――――――
―――――――――――――海辺フィールド:縁結びの祠
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