第158話 不自然な夜
―――――――――――帰り道
由里と帰り道を話しながら歩き進むこと数十分・・・電気の灯っていない由里の家の前に着いた・・・・
「あ、お母さんまだ帰ってないんだ・・・・深夜に帰ってくるのかな・・・」
「仕事が大変なんだろうな、それじゃ・・・俺はこれで――――――ん?
―――――由里、どうしたんだ?」
俺が帰ろうと背を向けると・・・由里は俺の服を掴んでいた。
「由里?・・・??」
「あ、ご・・ごめんなさい。
――――その・・もう少し・・・家でお茶とかできないかな?なんて・・・えへへ・・・もう遅いのに引き留めちゃって・・・ごめん。」
俺はしょんぼりする由里を放っておけず、姉さんにもう少しだけ遅くなりそうとメールを送ると・・・由里に少しだけと言って、お茶を呼ばれることにした。
「今日の由里はワガママというより、甘えん坊って感じだな。
いつもはしっかりしてるのにな――――あはは。」
「もう、誰のせいだと思ってるのよ~~
――――――でも、こうやって私のワガママに付き合ってくれて・・・ありがとう・・・ハイ、私のお気に入りの紅茶。」
俺は由里からティーカップを受け取ると、息を吹きかけて冷ましながら一口飲むと・・・
「美味しい・・・」
「悠一君の口に合ってよかった~―――ふ~ふ~」
由里はカップをよく冷ましながら口をつけ、ホッとして壁に掛けてある時計を見ると・・・時間は21時を過ぎていた。
「今日は一緒にグロリアをあまりプレイできなかったけど・・・今日は今日で楽しかった・・・私が悠一君を振り回していただけだったけど―――――えへへ。」
「たまにはいいんじゃないか・・・俺も今日は由里と一緒にいられて楽しかった。
まさか、耀子と出くわすとは思わなかったけどな。」
今日の出来事を話しながら紅茶を飲み切り・・・俺はこれ以上姉さんを待たせるわけにもいかず、家に帰ることにした。
「そろそろ、帰るとするかな。
―――――姉さんも待っているだろうし。」
「うん、そうだね・・・何度も引き留めちゃってごめんね。
それじゃ・・・また、学校で―――――おやすみ。」
俺は由里の家から出ると、自分の家に少し速足で帰ると・・・・
「悠ちゃん・・・・一体何時だと思っているのかな??
それに、由里達と何をしてたのかしら・・・・」
「いやぁ・・・これには深いワケというか・・・ははは・・・」
俺は姉さんに大体の事を話すと、姉さんはため息をついて今回は仕方ないと言い俺を開放したのだが・・・
「今度出かける際はちゃんと話してくれないと・・・ダメだからね。」
「わかった・・・おやすみ、姉さん。」
俺は姉さんの約束に返事をし、自分の部屋に戻ると・・・・
「本日はお疲れのようですね、ご主人様―――――」
「その声は・・・レイか・・・その・・・今日の事はすまない。」
「―――――変態マスター、妹には謝罪をしておいて私には謝罪はナシですか?」
俺のブロッサムにちんまい姿のルミ子といつものメイド姿でレイが現れ、俺の謝罪大会になっていた。
「ルミ子・・・その・・・アレだ、ごめん・・・」
「はぁ・・・変態マスターの脳が読み取れる分、謝罪する気があるのは分かるのですが・・・疲れすぎでは??」
「ご主人様は本日、由里や耀子と密会してハッスルしたと私は推測いたします。」
レイは俺が疲れて横になっていることをいい事に、好き放題言って今日のストレスとを発散しているように聞こえた。
「俺のブロッサムから由里と耀子のブロッサムの近さでの情報サンプリングは止めてくれよ・・・それじゃストーカー行為になるぞ―――――」
「それには心配及びません、ご主人様のアレやアレ等の安全を守るのが私の役目・・・そのためならば由里であろうが耀子であろうがご主人様の姉さんであろうが注意して観察いたしますので。」
「変態マスター・・・まぁ、レイに変な追跡操作をされたくなければ・・・ちゃんとグロリアで私たち姉妹とも構ってください。
私と言うよりは・・・レイの事だけれど・・・」
ルミ子はボソボソ俺にレイにストレスが溜まっていることを俺に告げると・・・今度のフィールド探索の際はレイを呼ぶようにと強く念入りに言いつけると・・・レイと共に言うだけの事を言って次元の穴へ帰って行った―――――――
「今日は彩花からの返事もないし・・・大学ってやっぱり大変なのか・・・
あぁ~今日は本当に忙しい・・1日だった――――――」
と、俺はぐちぐち言いながらブロッサムのチャットやメールに新着が来ていないか見ているうちに・・・強い眠気に襲われ、そのまま深い眠りについていた。
「んん・・・いつの間にか寝てたか・・・って・・・姉さん・・・どうしてここに・・・
――――――姉さん、朝だ~お~い。」
俺は姉さんのほっぺをツンツンと突きながら問いかけると、姉さんが目を覚まし・・・
「悠ちゃん・・・どうしてお姉ちゃんの部屋にいるの!?」
「逆だよ、逆・・・姉さんが俺の部屋に来てるんだ・・・また姉さんの夢遊病に近いのが出たんだと思うケド・・・・俺を抱き枕のようにがっつりホールドするのは・・・何とかならない?」
俺が今の状態を冷静に姉さんに教えると・・・姉さんはパジャマ姿で俺をがっつりとホールドしていることに気付くと、ゆっくりとベッドから立ち上がって自分の部屋に戻って行き―――――そして、数分後・・・制服姿に着替えてから俺の部屋に謝りに戻ってきた。
「その・・・ごめんね、苦しくなかった?」
「そんなことはなかったけど・・・昨日は疲れて寝てたから気付かなかったんだと思うけど・・・起きたら姉さんがいてびっくりしたよ。」
姉さんはふ~んと言いながら、台所へ向かい・・・朝ご飯の支度をはじめていた。
「俺も着替えたりしないとな・・・・」
俺が独り言を聞いていたのか・・・レイがブロッサムに表れ・・・・
「昨日の夜はとても刺激的でございましたね、ご主人様・・・・」
「ちょっと待て、何の事だ?レイ、その・・・俺の寝ている間に起こった夜の件について詳しく――――」
レイは俺をからかうために言ったのか、俺の寝ている間に起こった何かを本当に見ていたのか疑問を残してレイは次元の穴へと消えて行った・・・・
「でも、朝・・・姉さんが俺のベッドで寝ていたとなると・・・レイの言っていた事と無理やりだとしてもつじつまが合う・・・だが、一体何をされたんだ!?
姉さんの事だから・・・ってか、何でレイは見てたんだよ!?見てただけかよ!!」
俺は1人で戻って聞こえているはずもないレイにツッコミをいれながら着替え、支度を整えて台所に向かった。
「はい、完成・・・ちょうど朝ごはんができたから食べよっか♪」
「(レイの件は直接姉さんに聞かない方がいいかな・・・このご機嫌を損なうかお怒りになられても困るし・・・・)
―――――え、あ・・・うん、今日も朝から姉さんの朝食が食べれて幸せだな、あはは・・・ハァ・・・」
ひとまずこの件は封印しておき・・・俺は姉さんと朝食を済ませ、いつものように学校へ向かって歩いていると―――――
「おはよう悠一、涼孤先輩。」
「みんなおっはよ~」
「悠一君、涼孤先輩、おはよう。」
「あぁ、皆おはよう。」
「今日は久々に全員集合だな。」
いつものように挨拶を交わすと、由里のかばんには昨日買ったお守りがぶら下がっていた・・・お守りを見ると、由里が俺の方を見てニコっと笑みを浮かべ俺もその笑顔につられて笑うと・・・耀子とコトハは俺たちの言葉ではない会話を察知していた――――――――
――――――――――――登校途中の道
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