第154話 ブランとの旅

――――――――――ジャカルゥ牧場


俺はジャカルゥに乗り、牧場をぐるりと一周して戻ってくる間にユリハ達もジャカルゥと契約を済ませており、ヒルミと話をしている様子であった。


「――――――はい、これで皆はジャカルゥ乗りになったね。

ジャカルゥは足がとても頑丈だから多少高い所からでも着地は可能だけど・・・無理はさせないで上げてね。

もし、ジャカルゥが襲われて体力バーがなくなっちゃっても牧場まで来るか一定時間待つとリスポーン可能だから安心してね。」

「うん、ヒルミさんこの子を大事にするよ。

――――ね~ルゥ。」

「ユリハの名前のセンスもどうかと思うけど・・・まぁ――――――

私たちなんて固有名のジャカルゥだし・・・ユリハやムクロに何も言えないし、いざって時に名前が付けられないのも悩ましいものだね。」

「そうだな、だが・・・私はジャカルゥと言う名前はこれはこれで呼びやすくて好きだがな。」

「私はジャカルゥはジャカルゥだと思うので、特に名前にこだわる必要はないかと―――――この子を大切にしてあげればいいのだから。」

「じゃな、じゃが・・・アタイがジャカルゥに乗るのは少し不思議な感覚なのじゃが・・・このモフモフを味わいながらの移動ができるのはなかなか格別じゃな。」

そして、牧場の周りを一周して帰ってくると、ユリハ達が俺に近づいてきた。


――――――――クエクエクエ~~~~

――――――クエクエクエ~~~


「ふふ、私たちもジャカルゥと契約したんだよ。

これで、皆と一緒に遠くまで遠出できるね。」

「そうだな、ポータルで転移してジャカルゥで移動ができればクエスト攻略も目的地に向かう時でも格段に時間の節約になるしな。」

「そうね、ムクロ・・・こうなったらプライベートホームにジャカルゥ小屋の増設とかできないかしら?

あればきっと便利だと思うのだけれど。」

「うむ、きっとジャカルゥも寂しがると思うしのぉ~

アタイも小屋の増設に賛成なのじゃ!!」

「えっとだな・・・その辺はユリハに任せる。

俺は今の状態じゃ街には戻れないからな。」

俺の発言に、みんなは思い出したかのように俺の名前の色を見て暗い顔をしたが・・・・


「ほ、ホラ・・・皆!ムクロ君が困っちゃうから、一度ホームに戻ってレイちゃんと話をして小屋をどうするか決めないとね!

―――――――で、ムクロ君はこれからどうするの?」

「俺はブランにこのグロリアの世界を見せてやりたいから・・・色々な場所を巡ろうかと思う。

―――――――ユリハ達が心配しないように定期的にチャットを送るから大丈夫だ。」

「ふむ、ムクロとブランのぶらり旅と言うやつだな・・・いいじゃないか。

たまにはソロでやりたいことを気ままにしてくるといい。

だが、これだけは忘れるな・・・お前は1人じゃない、私たちはいつでもお前ムクロの味方であり、独りにしないからな。」

「そうそう、すぐに暴走しちゃう悪いムクロッちだからこそ、私たちがついてあげないとね~~えへへ。」

「うむ、主殿はたまにダメになるからのぉ~

―――――アタイはどんな主殿でも好きなのじゃが。」

「――――――――らしいわよ?よかったわね、ムクロ。

それじゃ、私たちは一度ここでお別れね・・・何かあればチャットでも飛ばしてくれたらいいから。

――――――何かあれば、《どこにでも》助けに行くから。」

エリがそう言うと、ユリハ達はヒルミに挨拶をしてから手を振ってポータルへと帰って行くと・・・俺もヒルミと挨拶をして、また来ると言い・・・ブランとのグロリアを巡る旅が始まった―――――――


そして、ユリハ達はジャカルゥの笛を吹きジャカルゥたちが次元の穴に飛び込んで消えて行くのを確認すると、街へと移動し・・・ホームの中に入ると・・・そこにはファムとレイがお茶をして寛いでいた。


「おかえり~、あれ?ムクロは?」

「おかえりなさいませ、そうですね・・・ご主人様のお姿が見当たりませんが・・・」

ファムとレイはムクロの姿がないことに気が付くと、ユリハやクーリアたちに事情を尋ね・・・すべての話を聞き終えると、レイとファムはもう一度紅茶に口を付けていた。


「そうですか、そういう事でしたか・・・ご主人様は本当に私を困らせ、悩ませるのがお上手で・・・つまり、ご主人様が不在の間だけ私はユリハのサポートを行えばいいのですね。」

「ムクロのことだから楽しんでいるんだろうね・・・・あはは・・・」

「名前が赤色まで色が変わってたから、3日くらいは街には入れないと思うけど・・・気にしなくていいと思うよ、だってムクロッちは元々ソロでやってたんだしね~」

「そうだね・・・チャットも送るって言ってたし、きっと大丈夫だよ。

それはそうと・・・レイちゃん、ムクロ君に任せるッて言われてたんだけど・・・

ホームの増築でジャカルゥ小屋を作りたいと思ってるのだけれど、できそうかな?」

「そうなのじゃ、ジャカルゥと一緒に暮らすために小屋が必要なのじゃ~」

「そうね、手が打てない事よりもずは手の付けられる事をするの先決ね。」

エリがそう言うとユリハ達はレイに小屋の相談すると、増設は可能であったが・・・作成費用をどうするかと聞かれ・・・ユリハがレイにコソコソと耳元で話すと――――――


「そういう事ですか、そういう事なのであれば大丈夫です。

すぐにでも増築いたしましょう。」

レイがホームのステータス画面をポチポチと触ると、少しホームが揺れ・・・揺れが収まるとホーム内に増設完了と言う文字が浮かんでいた。

そして、ホームの中に見知らぬ扉ができており・・・その扉を抜けるとユリハ達は想像以上の光景が広がっていた――――――


「うわぁ・・・・すごい立派な小屋だけど・・・これ敷地面積を考えてもホームを超えちゃってるけど大丈夫なの?」

「問題ナシです。

扉から先に架空の空間と繋げ小屋や庭を作り出しただけでございます。

このスペースと広さがありましたら、ユリハ達のジャカルゥ1頭ずつに仕切りができる計算になります。」

「これならジャカルゥたちもケンカもしないでよさそうね。」

「エサや寝床まであるな、大した機能じゃないか。」

「ぬはぁ~外には庭まで付いてるのぉ~すごい広い庭なのじゃ~~

さっそくジャカルゥを呼んであげるとしようかのぉ~~」

ユキシロたちは庭でジャカルゥの笛を吹きならすと、次元の穴からジャカルゥたちが現れた。


「さぁ~ここが今日からお主たちの家なのじゃ~~」

ユキシロがジャカルゥたちにそう言うと、ジャカルゥたちは庭をてくてくと歩き回ったり、地面に座り込んだりと自由に寛いでいた。


「よし、私たちも中に入って休むとしようか。」

「そうですね、それでは・・・私はお茶の用意をいたします。」

「アタイも手伝うのじゃ~~~」

「私も手伝うよ~~」

「2人とも、つまみ食いは駄目よ?

―――――もし、つまみ食いをすれば・・・楽しい事が待っていると思いなさい。」

「ふふふ、あッ!ムクロ君からチャットが来てるよ!!!

何々・・・俺は今、砂漠フィールドのオアシスで休憩中・・・だって、フフ。

―――――――ホラ、写真付きで来てるよ。」

ユリハ達はチャットを開くと、元気に水浴びをするブランの姿があり・・・クスクスと笑いながら今、小屋ができたことをエリがチャットで返すと、ムクロからグッジョブと返事が返ってきた。

そして、チャットをしながらユリハ達はソファーに座りチャットしていると・・・オアシスにモブが現れたとかでチャットが一時中断となった頃・・・レイ達がお茶とお茶菓子をもってやってきた―――――――


「ご主人様・・・元気そうで何よりでございますが・・・・

私をお誘いいただければよいものを――――――」

「レイレイ、落ち着くのじゃ!!!

紅茶がカタカタ震えて、見てるこっちが怖いのじゃ!!」

「そうだよ、別にいて遊んでるわけじゃないんだよ?

――――――って・・・アレ?みんな・・・どうして固まったの?」

ファムの発言の中に、聞き捨てならないパワーワードがあり・・・気にしないつもりでユリハが笑っていたが、エリやクーリア・・・それに、レイはすでに何かしらを想像している様子であった――――――――


――――――――――――ホーム&砂漠フィールド:オアシス

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