第152話 冷酷なる冷徹な鎖
―――――――――――ジャカルゥ牧場
ミストたちが駆け付けた頃には、先ほどまでいた2名の姿はなく・・・リーダー格の1名だけが立っていたが、それよりも俺の名前の色にクーリアやエリが驚いていた。
「あちゃ~~~ムクロッち・・・まさかキルしちゃったの!?
こりゃマズイよ・・・でも、後1人残ってるし・・・むむぅ、どうすれば――――」
「ムクロの事だから・・・ユリハに手を汚させない為に自分でキルしたのよ・・・・ムクロらしいけど愚かね・・・あれじゃきっと数日は街に入れないわね―――――」
「そ、そうなのか!?
だが、見た感じだと・・・PVPをしている雰囲気でもないところを見ると・・・ムクロの行為はフリープレイヤーキルか・・・
その、ユリハ・・・大丈夫か?」
「うん、私は平気・・・少し攻撃された程度だけど―――――ムクロ君がすでにプレイヤーを2キルして・・・・名前が赤色に―――――」
俺の名前をみんなが見ながら状況を窺っていると・・・男がため息をついて話始めた。
「はぁ~やっぱ・・・お前さんやその他の愉快な仲間も倒さねぇとダメみてぇだな。
アイツらも役に立たなかったし・・・俺が直々にお前らを葬ってやるよ!!!
―――――――
「なッ!?しまったッ!?―――――ぐッ・・体が・・・鎖で・・・・」
「拘束系の鎖スキル・・・これは面倒ね、このままじゃムクロがやられてしまうわ。」
「エリッ!だったら早く助けないとッ!!」
「いや、待てユリハ・・・あの鎖の効果は1人用の束縛とは限らない・・・
つまり、私たちが出れば・・・返ってムクロの足を引っ張ってしまうかもしれない・・・だからココは我慢だ。」
「主殿・・・こんな時に何もできんとは・・・情けない話なのじゃ・・・」
「ムクロさん・・・・」
ヒルミやユリハ達は俺の援護に向かうと返って足手まといになることを考え、その場から動くことができず・・・見ていることしかできずにいた。
「お前さんの仲間も薄情だなぁ~~お前が拘束されて何もできやしないってのに・・・・助けにも来れない腰抜けどもじゃないか・・・なぁ?
でも、安心しな・・・これからお前たちは全員消してやるからよぉ!!!
――――――オラッどうした?どうしたよ?何か言い返したいのなら言い返していいんだぜ?言い返せても身動き取れないと思うけどなぁ!!!ハハハハ!!!!」
「ぐ・・・ぐ・・グハッ・・・くッ、アイツらは腰抜けじゃねぇよ・・・お前がそう見えてるのなら・・・お前はどうしようもない野郎だ―――――グハッ!!」
「くッ・・・いつまでこれを見てればいいの!?
――――――このままじゃ本当にムクロ君が・・・・」
「私もいけるものならすぐに助けに行きたい・・・だけど、きっと行けばヤツに捕まってよりひどい状況になる・・・それに手がないワケでもない――――――」
「だね、エリの大体のプランを言ってあげるよ・・・私とエリが使えるスキル解除用スペルもきっと・・・あちらの拘束範囲と同じ・・・だから、解除と同時に私かエリが鎖に拘束される代わりにムクロッちを助け出すっていうのがプランだけど・・・・合ってる?」
「フフフ、クーリアにしてはよく考えた所ね・・・そうね、ギリギリ合格点をあげるわ。
そう、クーリアが言ってた通り・・・あの鎖からムクロを開放するかなぶり殺しをただ見ているか選ぶしかないのだけれど・・・きっとどちらにしても私たちにとってはいい未来には今回はならないと断言できるわ―――――」
「私は誰かを犠牲にして成しえるのであれば・・・是非とも私を犠牲にしてほしいと言いたいところだが・・・今回の作戦はエリかクーリアを拘束対象にしなければいけない点を見ると、私はこの作戦に対してどちらかを選ぶ事が出来ない。」
「うむぅ~~アタイも選ぶなんてできないのじゃ!!!」
「急かすつもりはないのだけれど・・・早く決めないとムクロさんの体力が・・・うぅ・・・・・」
エリかクーリアか・・・解除スペルを使用し、拘束を引き受けるのを選んでいる暇はないほどにムクロの体力がどんどん男によって削られていた―――――
「あちらは何やら作戦会議か何かかねぇ???
でも、こっちはめちゃくちゃ楽しいよなぁ???
いやぁ~~~悪い悪い、俺だけが楽しいんだった!!!オラァッ!!!」
「ぐはッ・・・ケッ・・・だんだん攻撃が温くなってきたんじゃないのか?
やるならさっさとやってくれよ・・・アイツらが馬鹿なマネをする間にな・・・だが、その後・・・俺はお前に後悔と差って奴を教えてやるよ――――――」
俺は男に挑発的するように問いかけると、男は攻撃を続けながら・・・俺の体力バーが赤色になったところで攻撃を止めて話し始めた――――――
「何を訳の分からねぇ事をべらべらと話してるんだ?
ついに狂っちまったか??
まぁいい・・・さっさとやれってか・・・それなら、お前の望み通りにやってやるよ!!くたばりやがれッ!!!」
男は俺の挑発に乗り、俺に最後の一撃を加えた――――――
「ハッハッハッハ!!!俺の提案に乗っていればお前さんは傷つくことなく街へと帰れただろうに・・・ククク、まぁ・・・これから戻れるよな・・・負け組としてヨォ!!!!」
「ムクロ君ッ!!!ムクロ君ッ!!!!」
「間に合わなかった・・・・またムクロッちを・・・救えなかった・・・・・」
「だけど、これであの男は確実に終ね――――――」
「そうだな、後ろで起こっている光景はヤツが最初で最後に見る真の死神だからな・・・・」
男の放つ最後の一撃の瞬間、体に重く鈍く伝わる痛みに対して・・・例のスクロールが発動し・・・俺の体を黒い結晶体が覆い、その異様な光景を男はただただ驚いていた。
「なんだってんだ今度はヨォ!?
アイツが消滅したと思ったら今度は何なんだよ!!」
「俺が消滅?本当に笑わせてくれる・・・・俺の戦いはこれからだ!!!
―――――――さぁ、自慢のその技でかかってこいよ!!!」
「ムクロ君・・・・・あまり無茶は―――――」
「えぇい、こうなったら心配したって考えった手仕方ないよユリハ!!!
こうなっちゃったんなら応援するしかないよ!!
ムクロッち、そんなやつ秒殺しちゃってさ、運営にコイツらを通告しよう!!!」
「クーリア、その発想は悪くなかったけど少し遅かったみたいね・・・私が先ほど3名の事を一部始終を書いて通告を出しておいたわ。
だからムクロ・・・全力で完膚なきまで好きにおやりなさい。」
「相も変わらず仕事が早いな・・・・
―――――だが、ムクロのあの姿を見ると・・・私も肝が冷える・・・今の私でもあのムクロに勝てる気がしないのだからな・・・・」
「あ、アレが・・・主殿!?
―――――すっごくカッコイイのじゃ!!!」
クーリアはユリハを元気付けながら応援を行い、ユキシロやミストたちはただじっと俺の戦いを見ていた――――――
「ハッ!!!たかが装備を変えて復活したところで何が変わるってんだ!?
どうせ、この技を受けたら身動き一つできやしないんだからなッ!!!
―――――――
「―――――――ムクロ君ッ!!!避けてッ!!!!」
「ユリハ、きっと心配はいらない・・・ムクロがあの状態になればもはや敵はいないだろう・・・・今までも何度か危険な場面はあったがなるべくは使わないようにしていたのは知っている・・・・だが、今回は状況的に使わざるを得なかったんだろうな・・・だからせめて私たちはムクロを応援してやろう・・・な?」
「そ~だよ~あのムクロッちが簡単にやられるわけがないって~」
「主殿、黒くてピカピカしてすごい圧なのじゃ!!!!
――――――まさに武の極みじゃな!!!」
「そうね、本当にアレは極まってるわよ・・・ユキシロ。
しっかり見ておきなさい、唯一ゲームをクリアした実力というモノを・・・」
エリがそう言うと・・・地面から伸びてきた鎖を俺は避けることをせずに、全身で浴びるように鎖を受け止めた―――――――
――――――――――ジャカルゥ牧場
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