第144話 ファイナルバトル①
―――――――――――22時35分・・・酒場
ユリハは無言で男達のテーブルの前へとやって来ると、気づいていないのか無視しているのか男達はさらに俺の事についてさらに話しだした―――――
「いや、本当にムクロは運が良いよな~運だけで女と名誉を得られてよ~」
「全くだ、運だけの初心者が出しゃばるといつか痛い目に合うのが落ちだ。
――――――たまたまはそう何度も続かないもんだからな。」
「いつかモブの餌食になっちまったりなぁ~アッハッハッハッハ!!」
男達の度の超えた発言に怒りを抑えきれず・・・ユリハは怒りを露にし、剣を取り出していた。
「ッ!!!―――――――あなた達にムクロ君をそこまで言う資格はないわッ!!!」
「おいおい、俺達が何したって言うんだ?
ただ、ここいらで噂になってるムクロについて冗談を言ってただけだぜ?なぁ?」
「そうそう、それとも・・・お嬢ちゃん・・・イヤ、白百合の剣士様が俺達の相手をしてくれるってのか?」
「俺達と一緒に楽しい事しようぜ~コロシアムもあのムクロとか言う野郎も捨ててさぁ―――――――」
最後の男の発言にユリハは触れようとしてきた男の手を切り落とし、一言・・・「消えろ」と呟くと男共はユリハを囲みだし・・・・
「ぐッ!――――この女ァ、調子に乗るんじゃねぇぞ!!!」
「少し痛い目を見ねぇと分からねぇのかねぇ・・・女って言うモノはよぉ!」
「俺達を舐めてたらケガどころじゃすまさねェがな!!!」
「この女をやっちまえ!!!」
ユリハが囲まれ、殴られそうになった瞬間・・・俺はユリハの前へと割り込むとユリハの代りに殴り飛ばされた。
「なッ!?ムクロ君ッ!!!」
「俺は大丈夫だ、ユリハ・・・怪我はないか?」
「なんだ、なんだ?
噂の大将のおでましか!!!ケッ・・・」
「それでコイツ・・・今、殴り飛ばされてたけどよぉ・・・マジで弱いんじゃねぇの?」
「何が大丈夫だ、殴り飛ばされてんのにカッコつけんなよ!!!
ザコはザコらしくクエストに行って何度もやられてくりゃいいんだよ!!!!」
俺はユリハに下がっていろと言うと、男達は俺を蹴ったり殴ったりを散々繰り返し・・・飲み食いの代金を置いて笑いながら出て行った。
「ムクロ君!!大丈夫!?
私のせいで・・・ごめんなさい―――――」
「ユリハ、ご主人様・・・2人とも大丈夫ですか?
ですが・・・それよりも、私の方がどうにかなりそうなくらいなのですが・・・そろそろあの者達をどうか消させてくださいお願いします。
―――――ご主人様に対してあのような侮辱とあのような行為を―――――」
「それよりって大層な言い方だな・・・えぇっと・・・その、なんだ・・・騒がしくして悪かったな・・・
ここは俺が奢るから皆じゃんじゃん飲んで食ってくれ。
ユリハ、ああいう奴らはどのゲームにもいるんだ・・・気にしなくていい。
ユキシロもそれに皆もよく耐えてくれた・・・ありがとな。」
酒場の客達は大喜びして再び賑わう中、俺が感謝の言葉を贈る先をレイとユリハが見ると、そこにはユキシロ達が立っていた。
「ホラ、主殿~沢山食べないとお腹が空いて試合にならないのじゃ~」
「そうだよ!!私の食べかけの丸焼きを分けてあげるよ!!
コレ、すっごく美味しいよ~」
「この量は流石に俺だけじゃ食べきれないな・・・ユリハ、レイ・・・手伝ってくれるか?」
「ご主人様の命ならばどんな事でも引き受けましょう・・・ヤツ等の排除や駆除や殺戮等もリクエスト受付中でございます。」
「うん・・・その、勝手な事して本当にごめんね。」
俺は男達に対して一向に退かず必死に言い返してくれたユリハにありがとうと言うと、優しく抱きしめた――――――
「―――――そ、その・・ムクロ君!?
う、嬉しいんだけど・・・その、皆が見てるから・・・ね?」
「わかった、でも俺は本当に嬉しかったんだ・・・その感謝を伝えようとしたらこうするしかなかった・・・不器用で悪いな。」
「また、主殿とユリハのイチャイチャが始まったのじゃ~」
「そうですね、昼ドラではなく夜ドラですね。
ユリハとご主人様のあんなシーンやこんなシーンは私が全て妨害しますが―――」
「昼?夜ドラ?何ソレ?ドラ・・・ん~~ドラゴンの事?」
ちんぷんかんぷんなファムやレイ達を連れ俺達は店中のプレイヤー達から注目を浴びながらアヤカが寝ている席まで戻ると、食べかけだった料理を食べ始めた。
「主殿、どんどん食べるのじゃ~モシャモシャ・・・・」
「そんな事言ってもな・・・ファムのこの丸焼きが食べても食べても減らないんだが・・・」
「でも、この丸焼き美味しいね。
ファムが好きになったのも分かるかも。」
「えへへ・・・ありがと、でもムクロ達は食べ過ぎちゃダメだよ?
動く前に沢山食べるとかえって動けなくなるからね!」
「そうですね、食べきれない分は全てファムが処理すると思うのでご主人様達はお気になさらずに。」
レイがそう言うと、ファムが気合の入った頷きをすると・・・俺達はファムに食べきれない丸焼きや料理の残りを並べると、モシャモシャと勢いよく食べ始めた。
「それでは私は先にアヤカを席にまで運んで置きますので・・・」
「あぁ、助かるよレイ―――――ありがとな。」
「アタイもレイレイの手伝いをするのじゃ!!」
「フフ、頑張って手伝ってあげてねユキシロ。」
レイとユキシロはアヤカを連れて一足早く席に戻ると・・・ファムは残った料理を食べきる為に酒場にいると言い、俺はファムに会計用にお金を渡すと・・・ユリハを連れてコロシアムの最上階へと連れ出した―――――――
「コロシアムにこんな所があったんだ・・・・すっごく・・・綺麗―――――」
ユリハと始まりの都を見ていると、急に風が吹きユリハは風でなびいた髪を手で整えながら俺の方を向いた。
「ココから見る景色は変わらない・・・いや、俺達があの時・・・共に消えたあの場所には花と石碑が立っているらしい。」
「へぇ~アレがそうなんだ・・・きっと綺麗な花が沢山咲いてるんだろうね。
それじゃ・・・また、2人で一緒に見に行こうよ。
――――――でも、その前に私達はここで戦わないとね。」
俺はユリハに「そうだな」と一言つぶやくと・・・俺達は星空に照らされながらキラキラと光る街並みをもう一度見渡し、試合開始5分前になった所でポータルを使い、俺達は一緒にフィールドへと移動した。
「お、おぉぉお・・・やってきましたヨォ~皆さん!!!
今回のファイナルステージに立つ2人が仲良く手を繋いでやってきましたよォ!!!!
いやぁ~中が良い事は結構結構・・・だけど、見せつけなのかどうなのかはさておき・・・
そろそろ手を離してもらってもいいかなァ!?」
「あはは・・・ゾーンがあぁ言ってるし・・・な?」
「うん、私・・・ムクロ君の事が本当に大好きだよ、でもこの戦いは手加減ナシの全力で行くから・・・ムクロ君も手を抜かずにやってね!」
俺はアヤカと同時に手を離し・・・「俺もだ」と言うと・・・俺は指定ポイントまで移動して待機状態に入った。
「え~コホン、コホン・・・それじゃ、紹介をしていこうか!!!
今さら紹介なんかいらないと言う人もいるかもしれないケド・・・私がしたいからするんだ!!文句は言わせねェ!!!
と、言う事で・・・まずはユリハからインタビューしてみよっかァ!!!
ハァ~イ、ユリハ~調子どう?ムクロとのラブラブチュッチュは済ませたの?」
「そんなのこの場で言えるわけないじゃない!!!まったくもう・・・・」
ゾーンの質問に顔を真っ赤にしながら答えると、会場にいるプレイヤー達が笑いながらユリハの応援をしていた。
そして、ゾーンは俺の方へやってくると・・・
「はははは、ごめんごめんユリハ~回答ありがとゥ!
―――――えぇ~それじゃ今度はムクロに話を聞いてみようかァ!!!
―――――で、2人はどこまで進んでるの??
――――――それに恋仲の2人で戦うことになるけど・・・大丈夫?」
「どこまで進んでるって言われてもなぁ・・・
―――――だが、これだけは言える・・・ユリハとは恋仲であったとしてもユリハが俺との全力勝負を願っていた、だから俺は手加減も遠慮もせず戦うだけだ。」
俺の回答で会場のテンションが少し上がり盛り上がる中・・・ゾーンは最終フィールドの抽選をし始め、フィールドが決まると俺とユリハのいるコロシアム内が光輝きだした――――――――
――――――――――コロシアム:ファイナルバトル
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