第129話 アノ店・・・・

―――――――――飲食店街・・・・


ファムとユキシロは2人で美味しそうな匂いや、人だかりのある料理店を見ながら・・・いいお店があったと戻ってくると、俺の手を2人が引っ張りながらその店の前にやって来たのだが・・・・・・


「これって・・・・アノ店じゃないのか―――――――」

「アノとは私には分かりませんが・・・何やら不思議な匂いとが混じり合った場所ですね。」

「ココの扉が開いた時に漏れ出てきた匂いがすごく美味しそうな料理の匂いがしてのォ~」

「うんうん、でも店の見た目がヘンテコで2人で入る勇気が無くて・・・・

その、ムクロ・・・この店ってどうなのかな?」

ファムとユキシロがジーーーッと、この店はな店なのかを尋ねるような目線で俺に飛ばして来ていた――――――


この店って・・・この前クーリアと2人で行ったアノ店だよな・・・・何よりこの不思議な香りは忘れもしない・・・・この店だけはダメだ、ユキシロとファムには悪いが違う店にしよ―――――


「―――――4名でお願いします。」

「かしこまり~~~~」

レイは俺の言葉を聞く前に受付に人数を伝えると、受付の女性が笑みを浮かべながら案内してくれたのだが・・・・・・


「おぉ~~これは何とすごい部屋じゃの~~」

「お風呂まで付いているね、宿屋か旅館なのかな?」

「ご主人様、メニュー表がございましたが・・・・私にはどれが良いモノなのかわからないのですが・・・・」

「そうだな、まずは料理の注文だな。

この際だ、メニュー表から皆が食べたいモノを注文すればいいんじゃないのか?

何だか面白そうだ。」

俺の不思議な提案にレイ達はメニュー表をチラチラと見始め・・・・メニューが決まると決めた料理名の発表に入った―――――


「私は、フレイムドラゴンの熱々ステーキ!!

この熱々って所が美味しそうな響きがして・・・・」

「ファムはまだまだなのじゃ~こういうのはインパクトじゃインパクト~

アタイは・・・・2人の絆深めあいセットにするのじゃ!!」

「そのような商品は・・・・裏のページに・・・ある・・・のですか―――――

では、コホン・・・私は・・・・夜の営み好き好きセットに致しましょう。」

「ユキシロとレイの商品は却下だ・・・・・・

全く・・・真面目に決めていたファムを見て見ろ・・・・色々な妄想でヒートアップしているだろ・・・・仕方ない、ファムの料理と俺が適当に注文するからそこで待っててくれ――――」

そう言って扉の前にやってきた店員に料理の注文を済ませ、部屋に戻ると・・・・・


「ご主人様、このような衣装があったのですが・・・・来た方がよろしいのでしょうか?」

「それって・・・・妙にスケスケだな・・・そんなの着なくたってい・・・い―――――」

「のほ~主殿ォ~薄いのを着て見たけどすっごい風通しが良いのじゃ~~」

「下着が全部透けちゃって・・・ユキシロは恥ずかしくないの?

――――――あうぅぅ・・・・・」

ファムはユキシロの恰好を見ると恥ずかしさのあまり顔を塞ぎこみ、レイにユキシロを元の衣装に着替えさせた。


「はぁ・・・凄い疲れた・・・・料理食べに来ただけでどうしてこんなに疲れるんだ―――――」

「主殿~お風呂を作ったのじゃが・・・・何やらニュるッとしておるのじゃが・・・コレ何じゃ?」

「それはローシ―――――――」

俺はレイが言ってはいけない単語が出ると察し・・・口を塞ぐと、ユキシロにお風呂には入らずに流して戻ってくるように伝えると、ユキシロに手招きされ・・・ファムがお風呂場に向かうと・・・・・


「きゃぁッ!!!」

「あはは~ファムべっちょりなのじゃ~~」

「2人とも一体何を・・・フム、やはりコレはローシ―――――――」

「状況を見ながら言わなくていい・・・・早く2人ともソレを洗って出てこいよ。」

俺とレイは部屋を出ると・・・ファムとユキシロがお風呂場で遊んでいるのか賑やかにはしゃぐ声が聞こえてきた。


「まぁ・・・たまには遊ばせるのも・・・いいか―――――」

「そうですね、こうやってこの瞬間だけ2人きりになれるのですから・・・・・」

俺が椅子に腰かけながら目を閉じると・・・レイは後ろから俺の頭を撫でながら喜んでいる様子であった。


「はぁ~楽しかったのじゃ~服はびしゃびしゃのベトベトになってしまったが・・・・

代りにこの服があったから着て見たのだが・・・・使い方はあっておるのかのぅ?」

「ハメを外しすぎた・・・・うぅうううう。」

2人は白いバスローブに着替えてやってくると・・・・レイはため息をつきながらベトベトの2人の衣装を、何故か備え付けてある自動乾燥機能付き洗濯機で洗うと・・・現実とは比べ物にならない速さで洗濯、感想が完了し・・・クリーニングに出したかのように綺麗に仕上がっていた。


「2人とも、そのような格好では・・・ご主人様の眼のやり場に困ってしまいますので、速やかに着替えてください。」

ファムとユキシロは綺麗になった服をその場で着替え始め・・・レイはそっと俺の眼を塞ぎ、着替え終わるまで手をどける事はなかった。


「ふぁ~いい気持じゃな~~まるで新品のようじゃ~」

「私の服も洗濯してくれてありがとう!」

「そ、それは・・・先程も言った通り、2人があのような格好をされていてはご主人様の眼のやり場が――――――」

「レイ、こういう時は素直に・・・どういたしましてって言えばいいんだ。」

俺はレイの頭を撫でながらそう言うと、レイはスカートをくしゃくしゃと掴みながら小さく頷き、恥ずかしそうにしていた。

そして、どうこうしているうちに扉が開き、店員が料理を運び入れると・・・不思議な笑みを浮かべながら部屋を出て行った―――――


「それじゃ、いただきます。」

「いただくのじゃ!!!―――――――モシャモシャモシャ!!!」

「いただきます!!!――――――もふもふもふもふ・・・・・」

「ハァ・・・・ご主人様の前だと言うのに・・・それでは私も失礼ながら・・・いただきます。」

ファムとクーリアは野生育ちと言うべきか・・・両手に肉や手にとって食べれそうなモノをモシャモシャと次々に食べているが、それに反して・・・レイは上品にスープを優雅に飲んでいた。


「モシャモシャモシャモシャ・・・・・レイレイ、そんなにゆっくりじゃと・・・モシャモシャ・・・すぐに無くなってしまうぞい?」

「そうだよ~もっとガツガツ食べないと~~~もふもふもふもふ――――――」

「いえ、結構です・・・これはユキシロの奢り・・・と言う事は私やご主人様が満足するまで食べてて問題ないと言う事・・・それよりも2人の食べ方の方が私は気になります。」

レイの視線にユキシロとファムが互いにおかしな点があるか探すが、どこにもおかしな点が無いと言うような目で返すと・・・レイは死んだような目で、何事も無かったかのようにスープを飲みだした。


「レイ、このファムの言ってたステーキ美味しいぞ。」

「いただきます!!」

「レイレイ~このパンとハムとか色々挟んであるヤツ美味しいのじゃ~

レイレイも食べるのじゃ~」

「結構です―――――」

「レイ、その・・・・これ・・・レッドサーモンのフライなんだけど美味しいから一口どうかな?」

「――――う、し・・・仕方ないですね。」

「レイレイ・・・この、地域限定うどんも美味しいのじゃ~

ホレ、食べるのじゃ~~」

「いえ、結構です―――――」

レイはユキシロの食べかけを殆ど口にする事はなく、ファムの出してきた料理は渋々食べる様子で・・・その対応に、俺はまた少し皆と打ち解けて嬉しくあった。


「ご主人様、何を人を見て笑っているのですか!?

ご主人様もドンドン食べないと大きくなれませんよ!!」

「お、俺は大丈夫だ・・・その、適度に食べるから・・・・自分のペースで!!!」

「ホラ、主殿~あ~んするのじゃ~~」

「あ、ズルイ!!それ、私もやってみたいシチュエーション!!!」

レイ達3人は俺の口の方へ、フォークやスプーンで料理を近づけ・・・逃げる事ができない状況で俺は仕方なく、覚悟を決めて3人の運ぶ料理をパクパクと食べるのであった――――


――――――――――不思議な料理店・・・・・

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