第119話 謎の仮面プレイヤー

――――――――グレイマウンテン・・・スティールバード5匹の討伐クエスト


少しずつ奥へ奥へ進んでいくと、先程まで近くで戦っていたプレイヤー達の姿はなく・・・気付けばファムと俺と近くにこちらを見つめて待機するモブの姿だけであったのだが・・・・


「ねぇねぇ!!見て見て!!!アレ何て言う生き物なの!?

あんな生き物私の世界にはいないよ!!!

あと、アレって美味しいの?」

「あぁ・・・ファムが美味しそうって言うのが聞こえたのか・・・

逃げ出したアレは荒野ウサギだな・・・大した強さじゃないが、味は中々の美味と聞くが・・・・

捕まえに行こうとしなくていい―――――」

俺はランランとウサギの後を追いかけるファムの腕を掴み、ずるずるとファムを引きずりながら奥へ進むと――――――


―――――――Gsysaaaaaaa・・・・・


「うっわ・・・・こんな大きなニョロニョロした生き物までいんの!?

想像異常なモノが出て来て少しびっくりしたけれど・・・・コレって倒しても良いのよね?」

「あぁ、お手並み拝見だ!!!ハァッ!!!」

2人の目の前には巨大なヘビ・・・・ヴェノムスネークがこちらに対して威嚇しながら近寄って来ていた・・・・その攻撃的な行動に、ファムもランスを構えている間に俺はファムを通り過ぎながらヴェノムスネークに一撃を与えると・・・スネークはすごい勢いで移動し、ファムに巻き付いたのだが・・・


「ファム!!大丈夫かッ!!今、助けて――――――」

「心配無用よ・・・・この鎧の前ではこのようなでは負けないから!!!

はぁッ!!!!」


――――――――――Gyasaaaaaaa!!!?


ファムが力を込めて振りほどくと、ランスでヘビの頭を串刺すと・・・・そのまま消滅していった。


「ざっとこんなモノよ。

でも、本当にここは変わった生き物でいっぱいよね・・・・

そこにもそこにもこちらを見ている・・・・その、モブ?とか言うのかしら・・・ここでは――――」

「え?・・・・・そこにも・・・だって?」

俺はファムが指さした方にいる新たなモブの群を見ると・・・・ファムに対して、コチラに向かってくる奴だけ倒すと言うと・・・ファムも了解と言い、ランスをブンブンとまわして構えると・・・・


―――――GAAAAAAAA!!!!

――――――GYAAAAA!!!

―――――GYASAAAAAAAAA!!!


「地上には1,2,3・・・・・空にも数匹・・・・モブ達がこんなに騒ぎ立てるのは珍しい・・・・何かあったのか?」

「どうやら・・・そのようね・・・・ホラ、あそこに怪しい?みたいなのがいるわよ。」

モブ達は俺達を見向きもせずに通り過ぎて行き・・・・その最後尾から見慣れない剣士がやって来た・・・・・


「ムク―――――コホン・・・・お前たち・・・実に腕が良さそうだ・・・・

どうだ、良ければ私とPVPで勝負でもしないか?」

「何だ急に・・・俺はPVPは好きだからいいけど・・・・

ファムはPVP・・・つまり、対人戦はできるのか?」

「当たり前じゃない!変な生き物を相手にするよりも戦ってきたのよ?

でもグロリアのプレイヤーはムクロ見たいに強いと思うと・・・少しワクワクするわね。」

ファムがワクワクしたような顔でそう言うと・・・・謎の仮面を付けたプレイヤー高く笑いながらファムを対戦相手に指名して来た―――――


「おい、ちょっと待ってくれ・・・・対戦相手は俺じゃダメなのか?

コイツは最近こっちに来たばかりで――――――ん・・・」

「ダーーーメ・・・私が指名されたんだから私がやらないとね。

さぁ~て・・・張り切って行っちゃうよ!!!」

俺は仮面をつけたプレイヤーに抗議しようとしたのだが・・・ファムに指で口を塞ぎ、ファムがやる気満々で仮面のプレイヤーの前に出ると、PVPの承認ボタンのカーソルがファムの前に現れ・・・・了承と押すと・・・PVPが始まった―――――


「あわわわわ・・・・・ねぇねぇ・・・あれって・・・・」

「クーリア・・・言わなくてもいい・・・私にも分かるから・・・アレは―――――」

「ミスト・・・さん・・・だよね?・・・・どうしてこんな事を・・・

って・・・早く止めないと!?」

ユリハが2人のPVPを止めに行こうとすると・・・・エリとクーリアはユリハの足と腕を掴み・・・行動を阻止した。


「2人とも放して~~このままじゃ、怪我人が・・・」

「だ、大丈夫だって・・・・ミストも大人なんだから・・・弱い者いじめとか・・・大人げない事をする人じゃないって―――――」

「アレを見ても、そう・・・・言いきれるの?」

エリはミストらしきプレイヤーの方を見ると・・・安物の剣だが、スキルを使用したのか・・・・光り方がであった・・・・

その光る剣を見ると、ファムはすごいすごいと喜びながら飛び跳ね・・・ファムもスキルを使用する態勢に入ると―――――


「私も良いもの見せてあげる・・・・

――――――緋色の槍ボルカニック・グラム!!!」

ファムがスキルを使用すると・・・ファムの持っていたランスが赤く光ったと思えば・・・赤く燃えるような緋色の炎を撒き散らし、ファムの装備している鎧がそれに反応するかのように赤いラインが浮かび上がっていた―――――


「これが・・・・ファムのスキル・・・・エンチャント系だと思うが・・・火、いや炎と言うべきか・・・」

「そう、私のこのスキルは・・・武器にエンチャントするスキルだよ!!」

「初めて見たスキルだが・・・・この熱量・・・ヘルフレイムドラゴンの炎を軽く凌駕しているな・・・・・面白いッ!!!!」

緋色に染まったランスを見ると・・・光の剣を持った剣士は、ファムに光速で移動し・・・・攻撃を加えたのだが――――――


「遅いよッ!!!」

「なッ!?・・・・・アレを避けたのか!?

何と言う見切りの強さ・・・・これは楽しんで戦える程・・・余裕はないな。」

ファムは光速の一撃をしゅるりと回避すると・・・間合いを取り、ランスを構えていたが・・・・

このファムの行動に剣士の空気が急に変わり、剣の持ち方が変わっていた。


「―――――アレを見てもまだ大丈夫って言えるの!?」

「だけど、ここで出ていくと私達の任務も続行できなくなってしまう・・・・何かいい手があればいいのだけれど。」

「んん~~ん?・・・・この足元にある長い尾は一体・・・・お!!!

コレだ!!!ユリハ、エリ!コレを使えば何とかなるかもしれないよ!!!」

クーリアは足元にあった長い尾を辿り見た先に・・・・小型ではあるがドラゴンがスヤスヤと眠っていた・・・・・コレを見つけると、エリとユリハと相談し・・・このドラゴンを使ってPVPを中断させようという考えであった―――――


「クーリアにしては悪くない作戦なのだけれど・・・・これは下手をすると私たちも危険な事になるかもしれないわよ?」

「でも、2人が戦って傷つく事を考えると・・・マシだよ!!」

「そうそう、ユリハもこう言ってるんだから~気楽に行こうよ、エリ~

私たちはこの子を起こしたらすぐに逃げればいいんだから~」

クーリアのマイペースさに呆れてモノが言えなくなったが・・・そのマイペースに乗っかる事にして・・・何かあればクーリアの責任にすると考え、クーリアの作戦が実行された―――――


「ごめんね、悪く思わないでねッ!!!エイッ!!!」

「あ、ドラゴンが目覚めたよ!!!」

「クーリア、ユリハ・・・撤退~~~」

「なッ!!!あんな所からドラゴンが・・・・これじゃ、PVPどころじゃないな・・・・

いい試合だったのにな―――――」

「ふむ、そのようだな・・・・それでは私もドラゴン退治に助力しよう。」

「まだまだ私、戦い足りなかったけど・・・こっちの方が力出せそうだから、この大きい子には悪いけど・・・全力で行かせてもらおうかな!!」

PVPモードが解除されると、3人はドラゴンに向かって先制攻撃をする為に駆け出した―――――


―――――――――――グレイマウンテン・・・ドラゴン戦・・・

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