第104話 繋がり

――――――――――20時22分・・・プライベートホーム


静寂の空気が漂う中、ユキシロのお腹が盛大に鳴り響き・・・ごめんとユキシロは謝ると、レイはため息をつきながら台所へと向かっていった。


「とりあえず、この話はユリハ達にも話す方がいいな・・・・

と、言うわけで今回の話はこれまでにして・・・ユキシロもソファーに座って料理が来るのを待ってるといい。」

「レイの作った料理はすっごく美味しいからユキシロはびっくりしちゃうかもね~」

「そなのか!アタイすっごく楽しみじゃ!ワクワク―――――」

ユキシロはソファーに座るとまだかまだかとそわそわしながらレイが来るのを待っていると―――――


「ユキシロの分の料理です、さぁ召し上がれ。」

「おぉ~~~これがレイの手料理~いっただきまぁ~す!!

アウアムアム・・・もしゃもしゃ・・・美味い美味いのじゃ~」

「すごい豪快な食べっぷりだな。」

「さすが狼といった感じ・・・骨ごといっちゃってる・・・・

ユキシロに噛まれると痛そうだね・・・」

ユキシロは色々と盛り合されたプレートを美味しそうにもしゃもしゃと食べ始め、その光景を無言で見つめるレイと俺たちであった――――――


「ぷはぁ~ご馳走様~レイレイは料理ができていいお嫁さんになるのぉ~」

「私はご主人様のメイド・・・結婚など・・・!?

ご主人様と・・・結婚!でも、それは少し早いですご主人様!?」

「レイ・・・妄想スイッチオンだね・・・こりゃ長いよ?

どうする?」

「そうだな・・・今回の件をまとめてユリハや皆にも情報を流しておくか。

今後何か起きそうな気がして仕方ないんだ・・・胸の中がもやもやするというか・・・スッキリしない感じがあってな―――――」

と、言うことで俺は簡単に今回の件の内容をメールに書くと・・・ユリハ達にメールで送ると・・・妄想が一段落したのかレイが元のレイに戻っていた。


「大変お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。

ですが、ご主人様・・・私の方はいつでもウェルカムなので―――――」

「レイ、一体何の話をして・・・・・」

「ハイハイ、レイもムクロッちもそんなに見つめ合ってたら・・・・?」

「ひぇ~ユリハってばそんなにおっかなかったのか!」

その瞬間、玄関の方から何かが走り込んでくる音が聞こえたかと思うと・・・・


「ムクロ君!早まったらダメ!!!・・・・って・・・アレ?」

「よ、よぉ・・・ユリハ早かったな。」

「あ、アタイは何も言ってないよ!!!ホントじゃ!」

「そろ~~~~っと―――――ひぐッ!?」

ユリハを見るや、クーリアは自分の行った事の重大さを感じ・・・その場から逃げ出そうとしていたのだが・・・・・


「ねぇ・・・クーリア?さっき私の悪口を言ってなかったかな?」

「うぅ・・・き、気のせい・・・じゃないかな?アハハ―――――ヒッ・・・」

「ご主人様、止めなくていいのですか?

このままではクーリアはユリハにパズルのピースのように細切れにされてしまいますよ?(私的には手間が省けて助かりますが・・・)」

「あわ、あわわわわわわわ・・・・堪忍なのじゃ~」

クーリアを捕らえたユリハを見ると、ユキシロは怯えて逃げ出してしまった。


「いつもこの役目は俺なんだよな・・・・

なぁ、ユリハ・・・そんなに怒らなくてもいいんじゃないか?

別に間違ったわけじゃないし、それに・・・俺はユリハがそんな奴じゃないってことも優しい奴だってことも知ってるから、な?」

「おぉ~ムクロッちの助け船~ありがたやぁ~~」

「もぅ・・・私は誰かを串刺しにする癖なんて持ってないよ・・・・

それに怒ってなんか――――――

でも、ムクロ君のその言葉を聞いたら何もできないよ。」

ユリハはそっとクーリアを放すと、クーリアに対して謝罪をすると・・・クーリアも言い過ぎたとユリハに謝りこの件は一件落着した。

そして、台所から仲直りしたことを知らないユキシロが尻尾を立たせて警戒モードであった・・・・・


「その、ログインしてきて急な話なんだが・・・」

「大丈夫だよ、ムクロ君の送ってきてくれたメールは確認済みだから。

で、今回の件は謎のプレイヤー集団と頭巾を被ったスルトがなぜ狙われたのかってところだね。

それでね、私なりに少し調べたんだけど・・・ネットでスルトを調べてたんだけどこのスルトって子は危ない盗賊団のようなギルドに経歴が見つかったのよ・・・・」

「入ってた?どうして過去形に・・・まさか、その謎のプレイヤーって・・・その盗賊団のプレイヤー達か?」

ユリハは多分と言いながら確証を得てはいないが可能性は大いにあるといった感じで違うとも言えない様子であった。


「となると、スルトはこの盗賊団に恨みとか狙われるようなことをして、現在に至るって事か・・・・それにそれだとユキシロの話で出てきた謎のプレイヤーのコチラの件という発言が合致する・・・コチラ側ということは盗賊団側と捉えることができるからな―――――」

「そうだね、話のつじつま合わせには十分すぎる情報だね。」

「でも、どうして狙われているかわからないと永遠に狙われることになっちゃうよね?」

「ですが、その被害者は現在行方不明・・・加害者に至ってはそこそこできるようですがこちらも居場所不明・・・手詰まりにも程がありますね。」

真剣に話し考えている中・・・そっとソファーにユキシロが座ると、ユキシロは何かを思い出したのか・・・あっと声を上げていた――――――


「ユキシロどうしたんだ?

急に声を上げて・・・何か気になるとこでもあったのか?」

「あッ!ムクロッちの後ろに何かがいるッ!?的な?」

「話が進まないのでクーリアは黙っていてください。」

「あはは・・・それで、ユキシロ・・・何か思い出したの?」

「あ、その・・・アタイが背後を取られる前に謎のプレイヤーはちらりと名前が見えたのじゃ・・・・その名前だけじゃが手掛かりになるかの?」

ユキシロの発言に場がまたもや静かになったのだが・・・・


「ユキシロ本当に覚えているのならお手柄だぞ!!

そのプレイヤーの名前さえわかればどうにかなるかもしれないしな!」

「そうだね、ユキシロ・・・そのプレイヤーの名前はなんて言うの?」

「そのプレイヤーの名前は・・・・確か~ん~バルトル・・・だったはずじゃ。」

ユキシロの出した名前を知るものはこの中にはいないはずだったのだが・・・・

その中で俺は街中でスルトと別れる際の話を思い出した―――――――


「いい、これは他言無用の話なんだけど・・・私が元居たギルドのマスタープレイヤーには気を付けた方がいい・・・それが今回の元凶だから・・・それじゃ――――――」

その言葉の真の意味がここで繋がり1人で納得していると、ユリハやみんなの呼び声を完全に無視していた―――――


「このぉ・・・・バカムクロッち!!!!」

「ぐはッ・・・な、誰が部屋の中でブラストボム撃つバカがいるんだ・・・・・」

「それはこっちのセリフだよ・・・1人でぶつぶつ言って納得しないで私たちにもわかるように話してよ・・・私たちが何度呼び掛けても声が届いてなかったからクーリアが怒ったんだよ。」

「そうじゃぞ、主殿は何か大切なことを知っている様子・・・ここまで来てしまったのなら何も考えることはあるまい・・・ただ皆と共に地獄だろうとどこへだろうと突き進むだけじゃぞ。」

「そのマジメモードがどこまで続くか少し不安ですが・・・ご主人様には私たちがついておりますので、少しでも情報が分かったとなるとそれを共有するのが解決への糸口だと思われます――――――」

俺はみんなの言葉を聞くと、まず・・・怒らせてしまったクーリアに謝ると、裏商店街での出来事と今回の出来事が繋がっていることを説明を踏まえて話すと、ユリハ達は情報を揃えると言ってルミ子も使いながら情報を集めだしていた―――――


―――――――――――20時40分・・・プライベートホーム

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