第103話 謎のプレイヤーとスルトの関係
―――――――――――19時22分・・・ホーム
俺はクーリアの杖から放たれそうな危険な輝きを見せるスペルをどうしたら止めてくれるのか質問すると・・・・
「そ、そりゃ・・・さっきの問いの返答次第だよ!!!
で、ムクロッちは・・・その・・私の何か見た?」
「ご主人様、ここは私たちの愛の巣を守るためにも空気を読んでお答えくださいませ―――――」
「レイ、ここは俺たちの愛の巣でもないからな・・・・
えっと・・・その、なんだ・・・何も見てない・・・かな?」
クーリアはレイと俺のやり取りに舌打ちをしたようにも見えたがこの場はそれを確認することをやめておき、俺は何も見ていないと答えると―――――――
「そっかぁ~何も見てないなら仕方ないよね~うんうん♪
それじゃ、無闇にスペルなんて撃つことを止めて・・・・レイの手料理でも食べようかな!
って、レイ・・・まだ私の分が来てないんだけど?
来てないのなら仕方ない・・・うぅむ・・じゅるり仕方ない・・・・」
クーリアは目の前に自分の料理が並べられていないことに気づくと、ターゲットを俺の料理に切り替えると・・・クーリアは俺の使っていたナイフやフォークを使い料理をつまみ食いし始めた。
「んま!?コレんま!?―――――違う意味でもんま~」
「クーリアお腹が空いていたのはわかるが・・・もう少し落ち着いて食べたら・・・・」
「クーリア・・・なんて羨ましい・・・いえ、はしたない。
これではご主人様の料理がなくなってしまいましたね・・・・
いかが致しましょう?
――――――新しいのをご用意いたしましょうか?」
レイは済んだ皿を下げながら俺の食べる予定だった料理をもう一度並べなおすか尋ねてきたが、俺はそこまで空腹ではなくなっていることもあり・・・レイの提案を断るとレイは頭を下げ、台所から食後のデザートと言いアイスを持ってきた。
「クーリアもそろそろ終わりだと思うので、アイスクリームをどうぞ・・・
これは私が丹精を込めて、ブラウンホーンの取れたて牛乳を使って作った自信作ですので心行くままご堪能くださいませ。
と、言いながら私もアイスクリームをいただくのですが。」
「みんなと一緒に食べると美味しいもんね―――――もしゃもしゃ・・・・
はい、完食!!
さて、本当の最後はこの、美味しそうなアイスだね!
いっただっきま~す!!!」
「クーリアって食べるの早いな・・・別に変な意味とかじゃなくて・・・
お、俺もアイスいただくとするか!あはは―――――」
クーリアは俺の発言を聞き逃さず・・・クーリアは俺に冷たい目線を送りつけていたが、俺はクーリアの目線に耐えながらアイスクリームにスプーンを通した。
「お、このアイス・・・美味い・・・」
「ご主人様のお口に合ってよかったです。
クーリアはどうです?」
「私もこの味好きだよ・・・今までに食べたことない味―――――」
クーリアが味の感想を言い終わる前に、激しく玄関からユキシロが飛び込んできた。
「主殿~ただいまなのじゃ~」
「ユキシロ、今までどこにいたんだ?家でお留守番していると思ったんだが・・・・」
「これは何か匂いますなぁ~ふんふん・・・ふんふんふん―――――」
「ご主人様、これはユキシロに直接問いただしてみてはいかがでしょうか?」
俺はなぜユキシロが外にいたのか気になり、俺はレイに言われた通りユキシロに直接聞いた見ることにした―――――
「ユキシロ、どうして外から帰ってきたんだ?
何かあったのか?」
「うッ・・・お留守番を主殿に頼まれていた事を忘れたわけじゃないのじゃ・・・
その・・・これには深いわけがあっての・・・
主殿が出払ってしまってからアタイは主殿の匂いのついたソファーで寝ていると、外から何やら騒がしい音が聞こえ、窓から覗いて見ると・・・何やら頭巾を被ったプレイヤーが数名のプレイヤーに攻撃されながら追われていたのじゃ。
それに、その頭巾のプレイヤーを見た瞬間に負傷していることもわかるとアタイは居ても立っても居れずに飛び出してしまったのじゃ――――――
主殿、本当に申し訳ない・・・・」
俺はシュンと耳を下げるユキシロの頭を良いことをしようと飛び出したことを評価しなければならないと感じ俺は精いっぱい撫でてやると、ユキシロはその話の続きを話し始めた―――――
「もっと撫でて欲しいところなのだが・・・続きを話すぞい・・・
アタイは飛び出した後、屋根を飛び回りながら1人で戦っている頭巾のプレイヤーに加勢し・・・追ってくるプレイヤーを全員蹴散らすと、そのプレイヤーは何やら急いでいると言い残して・・・ありがとうとだけ最後に行ってどこかへ向かって行ってしまったのじゃ。
それから、アタイも帰ろうとしたとき・・・何やら不思議な臭いがしたかと思えば気配を消してアタイに近づいてきたプレイヤーがいての・・・
頭巾を被ったプレイヤーの捕獲に力を貸せば金でも何でも好きなものをやると提案を持ち掛けてきての――――――」
「え、それじゃ・・・ユキシロはその不思議なプレイヤーと契約を・・・・」
「いや、ユキシロのことだ・・・そんな下らない嘘で騙せるほど良いようにはできてないはずだ―――――」
「そうですね、ご主人様ラブなメス犬ですから・・・他の雑種程度の放つ美味しそうな臭い話では釣ることすら不可能でしょう。」
俺たちが色々どうしたのかと話していると、ユキシロはコホンと咳を入れると、更に話の続きを話し始めた―――――
「クーリアの言う通り、話に乗っかれば内容は聞き出せるかもしれないと最初は思ったのだが・・・どうもこのプレイヤーからは死臭が強く匂いすぎておってのぉ~しかもモブやエネミーの匂いではなく・・・プレイヤーを殺りまくった匂いじゃった・・・・そういうわけでアタイは話を断ったのじゃが――――――」
「そうか・・・俺の事を匂いだけで拒否したのはお前が初めてだ――――――
だが、それ故にお前の才能が惜しいな・・・同種よ・・・
血に肉に命に全てを貪ったお前なら・・・俺の仲間に・・・俺の良いパートナーになると思ったのだが・・・・
まぁ・・いい・・・コチラの件はお前には関係のないことだ・・・これ以上介入すれば・・・・」
「ふむ・・・これ以上なんだって?
早くごちゃごちゃ下らない事を言わずに話すがよいぞ―――――
アタイも暇じゃないのでの~」
ユキシロが頭や尻尾の毛繕いをしながらそう言うと、謎のプレイヤーはユキシロの背から現れ・・・・・・
「これから先に待っているのは死のみだ―――――――」
謎のプレイヤーは低い声でそうユキシロに言い、ユキシロが振り返るとそこには誰もおらず・・・地面に刃物のようなもので傷をつけたかのような跡があった・・・
そしてユキシロは頭巾を被ったプレイヤーを探し回ったがどこにも見つからず、日が暮れだしてきたのとお腹が空いたと感じホームへ戻っていった。
「――――と、言うわけなのじゃ・・・・探しても探してもそのモノが見つからんでのぉ~」
「そう言うことだったのか・・・だが、待てよ・・・頭巾と言えば今日あの場所で出会ったスルトも頭巾を被っていたよな?」
「そうだけど・・・関係性は薄いんじゃ・・・フードや頭巾とか今じゃ結構なプレイヤーが使ってるし―――――」
「そうですね、ですが・・・このユキシロの顔を見るとわかると思いますが――――――」
ユキシロは俺の出したスルトの名前と今日助けた頭巾のプレイヤーの名前がスルトと書かれたことを思い出し、驚いた顔をして・・・・・
「主殿、そやつじゃ!そやつが頭巾を被り負傷したプレイヤーじゃ!」
「やっぱりか・・・だが、一つ気になる点がある。」
「アレでしょ?私たちと出会ったときには傷がなかったのにユキシロの時には負傷していた・・・点でしょ?」
「整理しますと、ご主人様たちは負傷する前のスルトと出会い、別れた後に何かしらのトラブルでその謎のプレイヤー達に追われ負傷したと考えるのが妥当でしょう。」
俺たちはスルトが現在も逃げているのかそれともやられてしまったのか考えていたのだが、その静寂をユキシロのお腹の音が静けさをかき消していった――――――
――――――――――20時22分・・・プライベートホーム
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