第46話 指輪は誰の薬指に・・・

――――――――22時34分・・・・プライベートルーム


俺が天井を眺めていると上から覗くようにレイがジッーと話す事もなく俺を見ていた。


「レイ・・・俺を見ていて楽しいのか?」

「はい・・・ご主人様を見ているだけで私は幸せな気持ちになります。

ですから、気にせず見られていてください。」

レイがニコッと笑いながら俺を見つめていると―――――


「それで、ムクロ・・・・

明日の戦争に対しての作戦は何か考えているのですか?」

「ソレ、私も気になるなぁ~」

「でも・・・まだ黄昏戦争トワイライト・ウォーズの内容もまだ公開されていないから作戦も立てようがないよね。」

「作戦とはいかないけど戦争にはあのロネッサが絡んでくる事は安易にわかる事だ。

だからまずはロネッサの対策を考えて見たんだ。」

俺はロネッサに対抗するためのアイテムを机に並べた。


「まずはロネッサの攻撃方法は魔法スペルとネクロマンサースキルによるモブの生成・・・

後は何かしらを隠している事は確かだ。

そのロネッサに対抗するためのアイテムがテーブルに並べたそれらだ。」

「これって・・・高級アイテムの魔力無効化のポーション!!

すっごく高くて大量入手しにくいアイテムじゃん!!」

「こっちは対アンデッド、対魔法スペル、対束縛の効果付与された指輪の装飾品・・・

これは上級層のランダムドロップアイテムだな・・・それも中々高級な装飾品だな。

デザインも悪くない。」

「ムクロ君・・・どれも売ると高いアイテムばかりだけど―――

コレとかドロップ率0.2パーセントのブレスレット・・・すごく綺麗・・・

しかも対魔法スペル、対束縛、対不死のアビリティ付き・・・全部バザーで買う事なんて中々できない物ばかりだよ・・・一体どうやって・・・」

ユリハ達は1つしかない指輪やピアス、ブレスレットといった机に並べてあるアイテムを回しながら見ていた。


「どれも深夜寝つけずに上級層に潜ってた時のランダムドロップアイテムだ。

好きなモノを持って行って構わない。」

「でも、どれも高価なレアアイテムだけどもらっていいの?」

「ユリハ~ムクロっちがくれるって言ってるんだから貰わないと損だよ~

にへへぇ~~~私、この指輪―――――」

「――――フフフ・・・何を言ってるの・・・この指輪はですが・・・何か?」

クーリアが1つしかない綺麗な指輪を取ろうとすると、エリエントがその手を掴み怖い笑みを浮かべながら阻止した。


「わ、私も・・その指輪がいいな~なんて・・・」

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

ユリハも指輪が欲しいらしく、小さく手を上げながら主張するとクーリアとエリエントは無言でユリハを見ると――――――


「仕方ないですね・・・指輪は1つ、欲しい人数は3人・・・え――――」

エリエントが指輪を狙っている人数を数えると端の方でレイも小さく手を上げて意思表示していた。


「レイも指輪コレを狙っていたのか・・・・・この戦いは一筋縄じゃいかないね・・・・」

「私もご主人様からのプレゼントが頂けるのであれば・・・指輪が・・いいです。」

「ムクロ・・・貴方、私たち女性プレイヤーがいる事を知ってて指輪を1つだけ出すなんて。」

「そんなつもりじゃ・・・・なら指輪は回収―――――」

「回収は、ダメ!!!」

俺が指輪を回収しようとするとユリハが大声を上げ、ルーム内が静かになった。


「あはは・・・ゴメン、大声出して。

でもその・・・ムクロ君、私たちでちゃんと公平に決めるから・・・回収しないで。」

「ユリハがそこまで言うなら・・・わかった。

でも、もめることがあったら回収するからな。」

「了解了解~さぁ~て・・・どうやってこの指輪の主を決めるの?」

「私は公平な戦いであればどのような事でも構いません。」

「戦いは無粋ですし・・・・やはりご主人様に指輪を贈る方を選んでもらうのがよろしいかと。」

レイがそう言うとユリハ達が俺の方を向きジッーーーと見つめていた。


「仕方ない・・・俺には誰が良いとか恐れ多くて選ぶことはできないからこれで決めるしかないな。

この、あみだくじで決めるか・・・・・」

俺は指輪を持ち出し4人に見えないところで指輪にヒモをつけ、4本のヒモが手から出ている状態でリビングに戻った。


「恨みっこなし、サーチスキルなしでヒモを4本同時に引っ張ってヒモの先に指輪が付いてた人がアタリだ。」

「ムクロにしては考えましたね・・・自分で争いの種をまきながら運に任せるとは・・・・

後でお叱りですね。」

「ムクロっち・・・やり方が小学生みたいだけど、私は運が強いんだよ!

だから絶対に引き当ててやる!!」

「ご主人様・・・私はこういったゲームは初めてですが全力でやらせていただきます。」

「皆、気合が凄い・・・私も負けてられない!

どれにしようかな―――――」

ユリハ達は悩みながら4本のヒモをあーでもないこーでもないと言いながら選んでいた。


「私はコレで・・・・」

「私はこのヒモを。」

「ムクロっちの手の中の指輪はこれに繋がってる!!」

「神様お願いします・・・」

「それじゃ・・・皆、引っ張ってくれ。」

4人は勢いよくヒモを引っ張ると―――――


「あ~あ~ハズレかぁ~」

「残念です・・・シクシク」

「まさか、ここまで公平なくじでもユリハの運が勝るとは・・・」

「やった・・・やったぁ!!!ムクロ君からの指輪だぁ~やった!!」

結果はと言うと・・・・ユリハの引っ張ったヒモに指輪が付いており、所有権がユリハになった事でクーリア達は他のアイテムに目を光らせながら選び始めた――――


「ムクロ君、この・・・指輪・・・大事にするからね。

ずっとずっと・・・大事にするから――――」

「そんなに喜んでくれるなんて思わなかった。」

「そこ!イチャイチャしすぎ!まったくもぅ・・・・

目を離すとすぐイチャイチャするんだから。」

「ご主人様、次回は是非人数分の指輪の用意をお願いします。」

「指輪はユリハの薬指にはまったし・・・私はこのブレスレットにしようかしら。」

エリエントは星のチャームが付いたブレスレットをはめると、気にいったのか色々なポーズを鏡の前でとっていた―――――


―――――――――――23時14分・・・・プライベートルーム

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る