第47話 戦争前の平穏

―――――――――――23時14分・・・・プライベートルーム


「私はこのブレスレットにします。

大切にしますね・・・ムクロ。」

「私はどれにしようかなぁ~

指輪が良かったけど、仕方ない・・・これにしよっかな~」

クーリアは綺麗な装飾と宝石で飾られたブローチを手に取ってキラキラした目で見ていた。


「このブローチ、すっごく可愛い!

ちょっとつけて見よッと・・・」

「クーリアすっごく似合ってるよ!」

「中々似合っていると私も思います。」

「クーリアの胸に付けたブローチ、良くお似合いです。」

クーリアは皆に似合っていると褒められると、にへにへと笑いながらブローチに決めるとレイが机の上にあるアイテムに興味を示してちらちらと見ていた。


「レイも欲しいのあったら貰って構わないぞ。

この前の応援のお礼もしてないし・・・・」

「その、よろしいのでしょうか・・・

私のような者がこんなに綺麗な装飾品をいただいてしまっても。」

「な~に言ってるの。

レイも私たちの仲間なんだから貰ってもバチはあたらないよ。」

「そうですよ、貰える時に貰っておかないとムクロは気を使ってプレゼントなんてくれないですよ。」

「レイちゃんにはこのピアスなんて似合うんじゃないかな~」

ユリハはレイの耳に綺麗な赤い宝石がはめ込まれたピアスをつけてあげると、レイの手を引っ張り鏡の前に向かった――――


「これが・・・ピアスというアクセサリーですか・・・・

すごく、綺麗です・・・」

レイは鏡で自分の耳に付いたピアスを見ながら微笑んでいた。


「そのピアス、レイちゃんに良く似合うなぁ。」

「うんうん、すっごく良いと思う!」

「レイは顔も体系も整っているのでピアスとの相性が良いですね。」

「ご主人様・・・このピアスどうですか?

私に似合っていますか?」

レイの付けたピアスが似合っているかを確認するべく顔を近づけてきていたレイの耳には綺麗に赤く光るピアスが付いており、レイの品をさらに上げていた――――


「似合ってる・・・・あと、顔が近いんだが――――」

「ありがとうございます、ご主人様・・・顔が近い事は気にしないでください。

私は大丈夫ですので。」

レイの顔が少しずつ俺に近づいてくるとユリハとクーリアが黙っていられずレイをソファーまで連行するとレイは口をム~としながら俺を見つめていた。


「でもこれでミスト以外には対策アイテムが渡ったな。

ミストには俺から手渡しておくから安心してくれ。」

「了解~ブローチコレ大事にするよ。」

「私も、この指輪大切にするね。」

「ムクロからの初めての贈り物だから・・・大事に大事に使わせてもらうわ。」

「ご主人様からの贈り物・・・私も大事に致します。

そして、いつでも私をお使いくださいませ。」

ユリハ達は贈り物に対して俺に礼をすると、これからどうするのかという話になった。


「明日来ると思われるロネッサ対策の装備品を渡したし、俺の用事は終了だ。

ユリハ達はこれからどうするんだ?」

「私は・・・・そうだなぁ、私も1人で少しだけクエストにでも行ってこよっかな。」

「私は情報を集めにでも行ってくるよ。

少しでも情報があるといいしね。」

「2人もほどほどにして寝た方が良いわよ。

明日は大変な一日になると思いますし・・・・

ムクロも今日は夜更かしは駄目だから。」

「ご主人様がゆっくりとお休みできるよう、私が本でもお聞かせ致しましょうか?」

「わかったわかった・・・ちゃんと寝るから安心してくれ。

レイ、本を持ってこなくて大丈夫だから・・・・

俺はそろそろ落ちるよ――――

明日は頑張ろうな!それじゃ、おやすみ。」

「ムクロっちおやすみ~」

「おやすみなさい。」

「ムクロ君おやすみ、また明日ね。」

「ご主人様お休みなさいませ。」

俺はエリエントに言われるがままに明日の事を考え少し早く就寝することにし、グロリアからログアウトした。


―――――――――4月23日・・・7時40分・・・・・寝室・・・


その朝――――俺は寝返ろうとすると体が不自然に固定され動かない事に疑問を覚え、背中の方を見るとそこには姉さんの姿があった。


「ね・・・姉さん・・・何で俺の部屋に・・・」

「むにゃむにゃ・・・悠ちゃん・・・」

休みの日の姉さんは、平日よりも少し抜けた感じで・・・たまにこうやって俺のベッドの後ろで寝ている時がある。


この時の姉さんは無理に起こすと機嫌が悪くなる傾向があり、俺は無理に起こさずにブロッサムを起動して今日の天気や情報収集を始めると―――――


「悠ちゃん・・・私に、その・・・プレゼントは?」

「姉さん起きてたのか、グロリアでのプレゼントは用意してるよ。

朝ごはんを食べ終わったらグロリアで渡そうと思ってて・・・

昨日に渡したかったんだけど、エリエント達に夜更かし禁止令出されて。」

「そう、だったら早く朝ごはん作らないと!

悠ちゃんのプレゼント・・・楽しみにしてるから♪」

姉さんは鼻歌を歌いながらTシャツ1枚の姿で台所に向かって行った。


――――それにしても、姉さん・・・休みの日だと凄くラフだな・・・

姉さんが部屋から出て行くのを見送りベッドに座ると、ブロッサムにメールが届いた。


―――――――ピロピロピピピ~~~~


「―――ん、誰だ・・・こんな朝早くから・・・・」

メールの差出人は由里で・・・今日、時間があれば会いたいと言う内容であった。


―――今日の午後18時から黄昏戦争トワイライト・ウォーズが始まるまでの間は俺は暇と言う事もあり由里にOKと返信し、洗面台に向かい身だしなみを整えると・・・姉さんの呼ぶ声が聞こえ、俺は返事をして台所に向かい席についた―――――


「はい、お待ち~お姉ちゃん特性朝食よ~」

「姉さん、今日の朝ごはん・・・いつもより豪華だけど何かいい事あった?」

「それは~悠ちゃんからのプレゼントに喜びと興奮が抑えられないからかな~」

そう言いながら姉さんは俺に抱きつき、顔を擦りつけてきた。


「わかった、わかったから・・・その、朝ごはん食べよう・・・」

「もぅ~~恥ずかしがっちゃって~」

姉さんが俺の顔をツンツンしながら向かい側に座ると、挨拶をして朝食を食べ始めた。


―――――もしゃもしゃ・・・・


「姉さん、今日はこの後に由里と会う約束してるから、ぱぱっとプレゼントを渡すよ。」

「そう・・・由里さんと・・・危ないことしちゃダメだからね・・・」

危ない事って・・・小学生のような遊びはしないんだけどな。

姉さんは母さんのように少し過保護な部分もたまに見せる――――


「大丈夫だと思う、何をするか聞いていないけど由里からの誘いだから危険な事は何もないよ。」

「でも、万が一の時は姉さんや警察に連絡するのよ。」

「そうするよ・・・・はぁ~食べた食べた、御馳走様~」

「はい御馳走様、それじゃ悠ちゃんの部屋に皿を洗ってから行くから待っててね。」

俺はわかったと言うと自分の部屋に向かい、外出用の服に着替えていると姉さんが入ってきた。


「あら、悠ちゃんの生着替え中だったのね~ごめんなさいね~」

「姉さん、その顔は謝る顔ではないと思うんだけど・・・・」

姉さんはブロッサムを起動すると先にグロリアにログインしていた―――――


―――姉さんは休日モード全開だな・・・さて、俺もさっさとログインするか・・・

俺は着替え終わるとグロリアにログインしてプライベートルームに向かった―――――――


―――――――――8時21分・・・・グロリア入口

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