第39話 黄昏戦争:前夜

―――――――――――19時40分・・・・帰宅


俺と姉さんは帰宅後、すぐに風呂を済ませグロリアにログインした。


「ムクロっち~遅いよ~ユリハが待てずにアイテムの買いだし行っちゃったよ?」

「あぁ、悪い悪いちょっと姉さんと野暮用でな。

アイテムの買い出しに行ったってことはどのクエストに行くか決まったのか?」

クーリアが苦笑いしながらクエストのスクロールを俺に手渡し、中身を確認すると――――


ヴォルフスレイヤー100頭の群の討伐クエスト・・・・

「クーリア、このクエストは誰が希望したんだ?」

「その・・・ユリハが最後の調整がしたいとかで・・・」

この無茶なクエスト選びはユリハらしいっちゃらしい。

俺も昔はよく危険なクエストに身を投じて調整したっけ――――

そんな昔の頃の思い出を振り返っているとユリハが息を切らして帰ってきた。


「ムクロ君やっときたんだね!

今回はヴォルフスレイヤー100頭討伐だよ!」

「それは、クーリアから聞いたけど・・・大丈夫か?

あのわんころは結構早い種類だが――――」

「大丈夫!私たちの最終調整にはもってこいなクエストだよ!

勝手にきめちゃったことに対しては謝るけど・・・ごめんなさい。」

「なんだか騒がしいな・・・何かあったのか?」

「エリエント・・・只今インしました、その・・・今回はどのような流れになっているのでしょうか。」

ミストやエリエントがルームに加わり話をいったん整理し、クエストの話しを始めた。


「まず、このヴォルフスレイヤーは群で行動するモブで20頭の群れが5つある計算で数えると、1人20頭討伐がノルマになる計算だが・・・・皆大丈夫・・・か?」

「私はムクロと多くのクエストを一陣の風のように駆け抜けた・・・・だから何が来ても恐れはしない・・・だって隣には信頼できるムクロがいるのだから。」

「わ・・私だって!ムクロっちが行くなら20頭でも40頭でもやってやる!」

「はっはっは!両手に花だな~私も是非とも参加しよう!

ノルマ20頭も今までのクエストに比べれば軽い程度に感じるな。」

「もぉ~皆ムクロ君にくっつきすぎだよ!

ムクロ君もデレデレしないの!もぅ・・・・」

エリエントとクーリアが俺の両腕にぶら下がらり背中にはミストがもたれる形で俺は身動きが取れない状態であった――――


「ムクロ君!早く行くよ!もぅ・・・・」

「あぁ・・・ユリハ待ってくれ。

いいかげんエリエントもクーリアも離れてくれないか・・・動きにくいんだが。」

「いいかげんにしないか2人とも、クエストの状況次第ではアピールポイントが出てくるはず。

そこで大いにアピールすればいいじゃないか。」

「そ・・・その手があったか・・・・仕方ないなぁ~ムクロっちがそこまで言うのなら離れてあげようかな!ほら・・・ユリハもそんなにむくれないで!スマイルスマイル!」

「コホン、私も少し距離を取りましょう・・・あまりベタベタしてもムクロが大変なだけですし。」

2人が離れた途端にユリハが俺の隣にやってきて手をぎゅっと握りながらクエスト指定のフィールドまで移動を開始した。


――――――――――――森林フィールド23層奥地:腐敗林の森


ここにはアンデッド系やウィルス系で汚染された特殊なモブが現れ、視界が悪く薄暗いフィールドであった。


「この先に行けばヴォルフスレイヤーの住処があるわけだが・・・・準備はいいか?」

「私はいつでもいけるよ!」

「ユリハはまず、ムクロっちから離れよっか・・・・

私も・・・ぐぐ・・・大丈夫だよ!・・・この・・・」

「私も協力を・・・・クエストの準備は大丈夫ですよ。」

「これはまた賑やかになったな・・・さて、ムクロよ・・・行くとするか!」

俺はクーリアとエリエントにユリハを取ってもらいミストの鼓舞を受けながらヴォルフの住処に向かって突撃した――――


――――――――――――GRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR


辺り一面に無数の獣の眼光が広がっており、俺たちはヴォルフスレイヤーに招かれたエサ

となっていたが・・・・タダで食われるつもりはなく、俺たちは各自武器を構えいつでも対応できる陣形を取り、クーリアとエリエントに攻撃魔法で先制攻撃をしてもらった――――


――――――――――目標を貫け!サンダーランス!!

―――――――――(私より上位の呪文を)・・・目標を刺せ!サンダースピア!!


2人はほぼ同時に呪文使用したが、やはりキャリアとアバターの差でエリエントの方が呪文の質が少し上であった。


――――――――GRRRRRRRRRRRRR!!!


ヴォルフスレイヤーは呪文に反応しリーダーを筆頭に群れに分かれ、俺たちもその行動を待っていたかのように散会し各自で群を引き寄せながらの戦いが始まった。


「この!このこの!すばしっこいわんこちゃんめ・・・・こうなったら、アシッドフィールド!」

クーリアは逃げられないようにサークル状に毒の沼を発生させると同時に氷の呪文で脚を凍らせ杖格闘術を駆使しながらヴォルフスレイヤーを20頭を狩り終えた。


「数で私を蹂躙できるかな!

やるのなら・・・的確に急所を狙うのだぞ・・・・ミスをすればお前たちの命はなと思え!

双剣・・・演武・・・双翼炎刃そうよくえんじん!!」

ミストは双剣の熟練度が上がり新たな武器スキルを獲得し、属性攻撃が行えるレベルまでになっていた。

ミストが使ったスキルにより刃の部分が燃えたように赤黒く変色していた。


―――――――GRRRRR!!!


ヴォルフスレイヤーの鋭い爪がミストを襲うが、攻撃がかすりもせず赤黒く変色した刃の餌食になり、焼き千切られるようにバラバラにされて消滅した。


「なんだ・・・そっちから来ないのか・・・ならば、私から行かせてもらうぞ!

この、弱小犬共よ!!」

ミストが両手に持った双剣をヒュンヒュンと振り回しながらヴォルフスレイヤーの群に飛び込むと、多方向からヴォルフスレイヤーが同時に攻撃を仕掛けてきたが、全てミストに見切られ帰り討ちに合い、ミストは踏み込みの一瞬で他のヴォルフスレイヤーもまとめて切り捨て双剣を鞘にしまうと同時に花びらが舞うようにヴォルフスレイヤーが消滅した―――――


―――――――――――20時16分・・・・森林フィールド23層奥地:腐敗林の森

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