第31話 ヘルファイヤードラゴン戦:前篇
―――――21時32分・・・プライベートルーム
俺たちは力試しを兼ねてクエストを探していると――――
「ねぇねぇ皆!この時間限定イベントなんてどうかな?」
「どれどれ・・・大型モブ討伐クエストか・・・
そうだな、今の俺たちならこれくらいの大型モブは倒せそうだな。
俺はやってもいいぞ?ユリハとミストはどうだ?」
「そうだね、私も新しい武器をちょうど試してみたかったから私も参加するよ!」
「うむ、大型のモブはこの前のガーゴイルより大きくて硬くて強いのであればすごく燃えるな!
私も大型モブに興味があるから参加するなら賛成だ。」
俺たちは大型モブ討伐に参加することを決めると、すぐにアイテム屋に向かいアイテムを揃えると大型モブ討伐クエストを受注し上級層フィールドに移動した。
―――――――21時35分・・・天空城:下層36階・・・空域ダンジョン
「すご~い!本当に城が空に浮いてる~」
「うむ、見晴らしは最高だな。
こんなところで大型モブと盛大に戦えるとは最高に興奮するな!」
「あはは・・・でも、こうやって皆で大型モブと戦うのもいいよね。
なんだか私も久々にワクワクしてきちゃったよ!」
「皆、興奮するのもいいけど・・まだモブが出てきてないから落ち着いてくれ。」
俺はこの大型モブクエストの情報をルミ子に集めさせ情報が揃うまでの間に武器を作成依頼した武器に変更して待機していると情報を集めに行ったルミ子が戻ってきた―――――
「マスターただいま戻りました、今回の大型モブクエストの情報を集めて来ましたので情報をお伝えいたします。
今回の大型モブはドラゴン種のヘルファイヤードラゴンで推奨人数26名、推奨レベルは52以上で弱点は氷や雷といった一般的な魔法でもタゲ取りや行動の抑制は可能です。
得意属性は炎属性全般で炎系は殆どダメージが通らなので気を付けてください。
斬撃や打撃は通りますがどちらにせよ時間がかかるのは必須です。」
「大体わかった、ルミ子情報ありがとう。」
俺はルミ子の頭を撫でながら感謝するとルミ子がペコリと頭を下げ次元の狭間に消えて行った――――
「皆、集合~今回戦うモブの作戦を話すから集まってくれ。」
「りょ~かい~」
「うむ。」
「は~い。」
俺はユリハ達を呼び大型モブのヘルファイヤードラゴンの対策会議を始めた――――
―――この大型モブは体がとても大きくブレス攻撃に足や手を器用に使い攻撃してくるのだが、一番厄介なのはアバターをピンポイントで狙う爆発系のショットボムを使ってくるところで体力が一定値になるとこのボムを連続で使用してくる。
ルミ子から聞いたヘルファイヤードラゴンは昔、ソロで戦ったことがあり大体の攻撃パターンを知っていたのだが今回は俺たち以外にも参加しているプレイヤーがいて、大型モブがどのプレイヤーにタゲをとるのかわからないため、俺たちは固まりながら一定のポイントを狙いながら攻撃すると伝えると――――――
「了解だ、ムクロの立てた作戦で私は構わない。
ヘルドラゴンが倒れると同時に背中に乗り攻撃するという斬新な作戦も私は好きだしな。」
「私もムクロっちの作戦で大丈夫だよ。
私は足元を凍らせたり翼を使えないようにするといいんだよね!
了解、了解!」
「私もこの作戦で大丈夫だよ!
私の役目はムクロ君たちとは別で動いてタゲを取れるなら取りつつ遊撃すればいいんだよね!任せて!」
俺はユリハ達に作戦を伝えると、大型モブの出現ポイント辺りにプレイヤーが現れはじめた――――
「久々の大型モブだ~腕が鳴るぜぇ~」
「俺もだぜ、このボスのラストキルボーナスも全部俺が頂だぜ!」
「させるかよ、俺がぜんぶかっさらうんだよ。」
「本当に男は馬鹿ねぇ、頭が筋肉でできている人は嫌ですわ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「俺もサポートボーナス狙いでやらせていただく。」
――――次々に現れるプレイヤーは自信満々ではいるが・・・レベル、ステータス、武具もそこそこで、討伐までに何名が生き残れるのか不思議であった――――
――――そろそろクエスト開始の時間だな・・・・
――――――――ピンポンパンポーーーン・・・時間限定クエスト:大型モブ討伐クエスト開始で~す!
時間が来たと同時にフィールド内にクエスト開始のアナウンス入ると・・・・
――――――――――ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
――――――――――GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
巨大な魔法陣の中からヘルファイヤードラゴンが現れた――――
その大きさは約10メートルくらいの巨体・・・体力バーは4本・・・
何度見てもこの大きさのモンスターは大きいの一言に尽きる。
この巨大なフィールドがヘルファイヤードラゴンのために作られたのではないかと思わせる程であった。
「うっわ~おっきぃ~~これが上級のクエストの大型モブ・・・・
でもでも、私たち皆でだと・・・きっといけるよね!」
「うむ、うむうむ!いいぞいいぞ!これだけ大きければ私も切り甲斐があるぞ!
ムクロ、それにみんな!今回はとことん暴れよう!」
「そうだな、久々に俺も全力で相手をするかな。」
「ムクロ君も燃えてるね!私もすごく燃えてるよ!それじゃ、みんな頑張ろうね!」
俺たちは気合を入れると同時に大型モブ討伐の開始のアナウンスが流れ、ユリハは俺たちとは別の反対方向に走りだし遊撃を開始した――――――
「くっ・・・・ヘルファイヤードラゴンの前足の攻撃の風圧で飛ばされそう・・・・
でも、この役目は!ムクロ君から頼まれた役目だから・・・きっちりやり切らないとね!」
ユリハがにやりと笑いながらヘルファイヤードラゴンの前足や爪にガンガン攻撃を当てながら遊撃をしていた―――――
「おぉ~やってるやってる。
さすが、ユリハだ・・・すげぇ早いな。」
「もぉ~ムクロっち私の前をちょろちょろしないでよ~
翼にフリーズカノンが入れられないよ~」
「おい、ムクロ少し興奮しすぎではないか?
私が抱っこして落ち着かせてやってもいいのだが・・・」
俺はミストから抱き着かれそうになりながらスルリと逃げると、クーリアの邪魔にならないところで座りながらユリハの遊撃を眺めていた。
―――――――――GRARAAAAAAAAAAA!!
その瞬間!ヘルファイヤードラゴンは天井にショットボムを放ち天井を崩して落下物で攻撃を仕掛けてきた!
「なっ・・・こいつもあの時みたいに少しAIが入っているのか?
普通ならこんな天井を攻撃する手を使うはずがないんだが・・・そんなことよりもユリハだ――――」
「お~~~い、ムクロ君!私なら大丈夫だから!
安心して!このまま遊撃を続けるよ!」
ユリハは軽く頭に岩が当たりダメージがあったものの軽傷であったため、遊撃を続行し走り始めた。
「ユリハ、無茶してなかったらいいんだけどね~
ユリハって割と無茶しちゃうタイプだから・・・・」
「そうだな、私も少し心配だ。
どんな小さなことでも自分で背負おうとすることは立派だが半面愚かだ。
辛いことがあれば話したり協力させてほしいと思うのだが・・・
だが、言えないんだろうな・・・ユリハの意地というものだろうか。」
「あぁそうだろうな、俺もユリハを見てきたけどなんでも自分で背負うおバカだ。
だが、そんなユリハも俺は好きだけどな。
昔の俺を見ているようで・・・だからちょっと加勢してくるが・・・いいか?」
「愚問だな・・・ムクロに気を使われていたらいつまでたっても私たちはムクロのお荷物になってしまうじゃないか!
さぁ、行ってやれ・・・ムクロの助けたい人のもとへ」
「うん、ここは私とミストで攻撃しておくからムクロはユリハと合流して2人で遊撃してきてよ!
その方がずっと早くクリアできそうだしね!」
俺はクーリアとミストにこの場の攻撃を任せクイックシフトをしながらユリハのいる方向へ加速した――――――
「本当に、ユリハには世話が焼けるね。」
「同感だ、だがムクロもすぐにでも助けに向かいたかったのも事実だろう。
だが、立てた作戦を台無しにするよりも1人の仲間を救うことを選んだムクロは私にしては誇らしい。
本当にこのPTは最高のPTじゃないか!なぁ・・・ムクロ―――――」
俺が最速でシフト移動しているが、岩の障害物やフィールドが変形し・・・まっすぐ進めない状態で時間がかかってしまったが何とかユリハらしき人物の影を見つけたのだが――――
「――――がはっ・・・まだ・・・こんなところで・・・終われないよ・・・
ムクロ君・・・私・・・また・・・ここで終わっちゃうのかな・・・
イヤだよ・・・まだ・・終わりたくないよ――――」
俺の目に移った光景はヘルファイヤードラゴンの足に捕まり体力が削られながら身動きの取れないユリハの姿であった――――
このヘルファイヤードラゴンの行動はオモチャを好き放題に遊んで壊す子供のように無邪気にユリハに対して無慈悲に攻撃していた―――――
俺はその光景にショックと同時に怒りという感情がこういうことを指すと言うことを初めて知った―――――
―――――――――21時50分・・・・ヘルファイヤードラゴン戦闘中
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