第19話 秘境

――――――――21時・・・・「プライベートルーム」


クーリアとレイたちとお茶を飲んでいるとミストが帰ってきた――――


「クーリア、やっと見つけた・・・心配したぞ。

――――のん気にお茶なんて飲んで・・・・」

「ミストごめんね・・・アイテム屋に行って、少しぶらぶらしてて・・・・」

「ミストさんお帰りなさい。

喉は乾いていませんか?

私が淹れたお茶でよければお出ししますが。」

ミストは冷静になると、ソファーに腰をかけ、レイからお茶をもらいゆっくりとすすった―――


「この紅茶・・・美味しい・・・・」

「でしょでしょ?レイにこんな特技があったなんて驚いちゃったよ。」

「お褒めいただき光栄です。」

「でもでも~ムクロっち・・・レイにこんな恰好させて・・・いい趣味してるね~

ムクロっちはメイドが好きなの?」

俺は変な誤解をされる前にどうしてこうなったか理由を2人に話した――――


「へぇ~でも、それってムクロっちの思考なら少しくらいは好きかもってことだよね~

メイド服・・・かぁ・・・・」

「メイド服は・・・私には似合わない服だ・・・」

「ミストさんやクーリエさんなら素晴らしくメイド服を着こなせると思いますが。」

レイに対して2人は軽く突っ込みをいれると紅茶をゆっくりとすすってホッとしていた―――


―――――――――21時25分・・・・


「皆!お待たせ、やっと新しい服が出来たよ!!」

満面の笑みでユリハが作業部屋から出てくると、まずは自分の着ている新しい服をくるりと回って俺たちに見せた―――――


――――ユリハの新しい服は白を基調とした色合いでミニスカートに付いた大きめのリボンが特徴的で一輪の白百合のように見えた・・・・


「すごく似合ってる・・・本当に白百合って感じだな。」

「あぁ・・・見事な作りだ・・・これ程まで作りが良いとクエストで着るには勿体なく感じるな。」

「いいなぁ~可愛いなぁ~で、で?私たちの新しい服は?ユ~リ~ハ~」

「ユリハさん、すごくお綺麗です。

是非、今度はメイド姿に・・・・」

ユリハにもレイが何故メイド姿なのかを伝えると、冷たい目で俺を見ながらクーリアたちに新しい服を渡すと―――――


「ユリハ~いいよコレ!すっごく可愛い!!

ありがと~ユリハ~」

クーリアは薄い桜のようなピンク色のローブでウサ耳も隠せるフードも付いて、ショートパンツのへそ出しルックでクーリアのような活発なキャラに良く似合っていた――――


「クーリアも似合っているな・・・でも露出多くないか?」

「ご主人様、クーリアさんの太ももばかり見るのはお止めくださいませ。

見るのであれば私のガーターを・・・・」

「ムクロ君のエッチ!!!!」

俺はユリハにビンタを喰らい床に倒れ、顔を上げると・・・・・


「ムクロ・・・私の下着を見るとは・・・いい度胸だな?」

顔を上げたそこには和風系アレンジしたミストのスカートを覗くような形になっていた――――

「―――――――イタイ!イタイ!ヒールで踏むのをやめてくれ!!!

いや・・・ユリハもクーリアもレイも踏むのをやめてくれ!!!

悪い、俺が悪かったから!!」

皆に対し必死に謝り、土下座の姿勢の状態でユリハから俺の新しい服を受け取り着替えに行くと――――


「よし、これで・・・・・行けないだろ!?

何で、執事姿なんだよ!?」

「ムクロ君、執事姿似合うね。」

「ゴクリ・・・・中々・・・いいんじゃないかな?」

「これは中々・・・現実でも着せて見ようかしら。」

「おぉ・・・メイドの私と執事のご主人様・・・・なんだかすごく熱いです。

ホットにクールでユリハさんGJグッジョブです。」

俺はコレじゃない事を祈りつつ、ユリハに尋ねた。


「本当はこっちなの、ごめんねムクロ君。

ムクロ君に色々な服を着て欲しくて・・・」

「わかってる、この執事服も大切にする。

さぁ・・・本命に着替えてくる!」

ユリハから新しい服を貰い、着替え終えると皆の前に向かった―――――


「ムクロ君すっごく似合うよ!頑張って作った甲斐があったよ。」

「ムクロっち、すっごくカッコいいよ!」

「いいんじゃないか、私たちのリーダーなのだからしっかりした服を着てもらわないとな!」

「ご主人様、執事服もお似合いでしたが今回の服もすごくお似合いです。」

俺の服は黒騎士に因んで作られ、黒色を基調とて赤い模様が入った長いコート型の服で黒いマフラーも付いていた――――


「ユリハ、ありがとう。

この服大事に着させてもらうよ。」

「私も大事にするよ!」

「うむ、私も大切にしよう・・・それで今夜はどうする?

エラーモンスター討伐で疲れてはいるがクエストは行くのか?」

「皆が喜んでくれて私も嬉しいよ。

そうだね、戦争も近いしレベルは上げたいよね。」

「ご主人様たちがクエストに行かれるのでしたらこのバトルメイドのレイヴァテインもお供に・・・・」

今夜はエラーモンスターを討伐して皆は少し疲れているようにも見え、レイも参加するということで少しだけクエストに行くことにした―――――


――――――――21時43分・・・・氷山フィールド25層・・・・「フリーズンマウンテン」


――――――――現実は春で暖かい温度なのだが、グロリアの世界は現実と同じように温度を感じるため氷山フィールドと言う事もあり、凍えるように寒くクーリアの保護魔法がなければ大変なステージであった――――


「くっ・・・吹雪いている中、アイスリザード7匹と戦闘か・・・

地形に特化したモンスターは少し厄介だな―――」

「私の保護魔法で暖かくできても天候はさすがにグランドクラスまで上げないとさすがに・・・・皆、視界が悪いけどがんばろ!」

「うむ、この吹雪の中の戦闘も実にいい経験になる事だろう。

大いに私の剣を振るおうではないか!」

「ミストさん気合入ってますね!私も負けてられない!」

俺たちは吹雪の中アイスリザードとの何故こうも熾烈な攻防をしているかと言うと、俺たちとは別の所でレイが大型のボスとサシで戦っていた―――


「ご主人様、この大きな肉の塊を解体してもよろしいでしょうか?」

「あぁ・・・レイに任せる、その代わり・・・今着ているメイド服を汚しちゃダメだぞ!

メイドは綺麗であるべきだからな。」

レイは了解と言うと、装甲を召喚し槍状に装甲を変化させ巨体を持つボスモンスターを一撃で粉々に砕いた―――――


「さすがレイだな・・・破壊力はピカイチだな。」

「ムクロ君!よそ見してないで!ホラ、そっちに1匹向かったよ!」

「ムクロっちに1匹・・・ん・・3匹だよ!気をつけて!!」

「このアイスリザードは1匹だとそこまで強くないが・・・連携攻撃をされると面倒だな・・・」

俺は吹雪の中でもアイスリザードの動きが全て分かっていた・・・・アバターのユニークスキルのおかげで――――

――――まずは、そこ!!

―――――からの、そこと・・・・そこッ!!


「ムクロ君・・・・って・・・心配するまでもなかったね。」

「ムクロっちやるねぇ~~ファイアーボルトで援護しようと思ったけどムクロっちには必要ないね。」

「見事だ、ムクロ・・・さすが私の可愛い弟だ!」

「ご主人様、あちらのボスモンスターも討伐完了しました。

これからどうしますか?

更に奥のダンジョンを進みますか?」

俺たちは吹雪の中で戦い体が冷めていた・・・・

――――ん?・・・ダンジョンマップに乗っていない・・・な・・・・

―――この湯気みたいなのって・・まさか!?

――――――噂で聞いた情報なのだが、氷山フィールドのマップには載っていない秘境があり・・・レアモンスターがいるとかいないとか言う噂の中で一番熱い噂は――――温泉があると言う噂であった――――――


――――――――――――21時54分・・・・マップに記されていない場所

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