人間と神様の御話。

@pyui

第1話 或る処に、



「やあこんにちは人間君」



人間と神様がいた。

神様は突如現れ、人間の家に住み着いた。理由は分からない。


何故俺なのだと問うが答えてくれないし、どうやら誰でも良かったらしい。


神様というと古くの教科書で見たような……外人のような風貌を思わせるが、彼の(性別は分からないが)タイプは真逆だった。


人間の持つイメージとは違い、極端に掛け離れ、神様は自由奔放な性格をしていた。



「神様は食事をするのか?」


「そりゃ勿論」


「何を食べるのだ」


「魚がいいなあ、あとデザートは桃が食べたい」


「……人間のような生活をするのだな。また意外な事だ」


「そりゃ勿論」


「お前が本当に神様だと言うのならば、お前が俺たちを創造したのか?」


「そうだよ。きっと神様括弧、ひい祖父さん、括弧とじ、辺りがね」


「……やはり信じられないな」



疑り深い訳ではない。当然の反応である。


人間は腑に落ちないような顔をしてバッグを漁る。中から出て来たパンを神様は嫌々手に取った。


「どうしてパンなんだい?ご飯が良いんだけど」


「他にないのだ。今日は家族もいない」


「買ってくればいいだろう。もしかして貧乏なの?」


「……我儘を言うな、居候の身分で。ただ家から出たくないだけだ」


「神様になんて口を利くんだい。なんならこの家丸ごと呪ってあげようか」


「悪かった」


人間は冗談にも聞こえない言葉に、立ち上がりリビングに移動した。


神様も嬉しそうに後ろを歩く。


かと思えば、神様はお腹が空いたと呟きながら、既に食卓に座っている。


全く不思議な光景だ。人間は少し笑いながら冷凍ご飯をレンジで温めた。


「そういえば魔法を使ったりは出来るのか?興味があるのだ」


「しようと思ったらね、少しの事なら出来るよ」


「例えば?」


「一瞬で相手の身体を飛ばしたり、ちょこっと感覚を奪ったり色々と」


「……そうか。分かった。俺には必要のない物のようだ。ありがとう」






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