第18話 痛覚

指を切った…イタッと思って、少しの時間差があり血が滲んだ。

身体は危険を知らせる信号として痛みを発信する。


人に殴られるのは怖いこと…なぜ?

痛いからだろうか?痛いことは怖いのだろうか?


子供の頃、それが嫌で僕は、苛められてもヘラヘラと笑っていた頃があった。

苛められているという現実を遊ばれている、というふうに見せたかったんだろう…誰に?

きっと自分自身に。


いつしか、そんな自分が嫌になって…僕は、ソイツの背中を蹴った…倒れたソイツをさらに蹴った…苛めは無くなった…僕へのという意味でだ。

別の誰かに的が変わっただけ。


ケンカをするときは痛みを覚悟する。

殴られても、殴っても痛いのだ。


痛覚という信号は危険を知らせるだけではない…僕の闘争本能を加速させる。


心にも…痛覚があればいい。

心の痛みは…ただただ…耐えるしかないのだから…。

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