第13話 美化

思い出は美化される。

思い出と言うには近い記憶…。

ごく最近の記憶。


彼女の記憶。

「なんで、こんなものに金を使わなければならないんだ」

逢えば、そんなことばかり考えていた。

食べたくもない食事…飲みたくもないコーヒー…彼女は金が掛かる。

自分の財布は開かない。

徹底して自分の金は使わない。


そういうことを考えると、逢わないという選択は正しい。

本来の僕なら、そう考える。


だけど…心は…。

なんだろう…空しく…空虚感が僕を包む。


無邪気なのだ…。

悪意が薄い。

送らせたい…ではなく逢いたい。

食べたい…は一緒に食べたい。


そんな風に置き換えている自分がいる。

これが美化しているということなのだろう。

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