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生まれた順番が違っただけなのに、末っ子は猫可愛がり。
いつまでも親の言いなりになると思っているから、反抗しただけで親は目くじらを立てる。
そのくせ、叱るのは中途半端で、結局私が口を挟むことに。
姉は幾つになっても、損な役回りだ。
「ご馳走様でした」
「はい」
お皿をシンクに持っていき、花織の食器もついでに洗う。
「柚葉ありがとう。やっぱり花織も外に出さないとダメかしらね」
「お父さんとお母さんが甘やかすからだよ。でも大学生なんだから、彼氏くらい認めてあげたら」
「認めて子供でも出来たらどうするの」
「やだ、お母さん。そんなこと考えてたの?」
「今のご時世、娘を持つ親は安心出来ないわ。柚葉もちゃんと順番は守ってよね」
……結局、とばっちりだ。
「日向さんとのこと、本気で考えてるなら、母さんは応援するよ」
母は父の様子を伺いながら、小声でそう話した。
「花織は応援しないのに、私は応援してくれるんだ」
「花織と柚葉では年齢が違うでしょう」
「それはどうも」
卑屈になってしまうのは、自分も年齢を気にしているから。
部屋に戻りバッグから携帯電話を取り出す。日向からLINEがきていた。
【今日は職場ですみませんでした。山川さんのことで、みんなが盛り上がっていたのでつい……。】
【みんなが誤解するようなことは、慎んで欲しいの。】
【誤解……ですか?俺は本当にそう思ってる。俺は、真剣だから。】
日向の一途なLINE。
笑顔のスタンプで返信する。
【ありがとう。】
素直になれたのは……
日向の熱い想いが伝わったから。
日だまりの中に座っているように、心がほっこりする。
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