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私もお昼に公園でサンドイッチを食べている。こってりした料理は太るから食べたくない。でも甘いスイーツは別腹、女子は矛盾してる。
色気より食い気に走る私達。ふと気が付くと留空の周りには複数の男性が群がっていた。
「灰だらけのシンデレラが、一夜限りのモテ期に突入だね」
美空はパスタを頬張りながら、留空を見つめた。
「確かに、でも今日の留空可愛い」
「うん、それは認める。私達も捨てたもんじゃないと思うけど」
男なんて興味ないと、常日頃から豪語している美空が、自分より地味子だと思っていた留空のモテ振りに、心中穏やかではなさそうだ。
女って面白い生き物だな。
友達を無意識の内に格付けし、その格付けが崩壊すると、焦りを感じてしまう。
美空はまさにそれだ。
美空は料理が沢山乗ったお皿と、シャンパングラスを掴んだまま、男性に取り囲まれている留空に近付く。
「皆さん、この子はとても控え目な性格なの。一度に言い寄られて困ってるでしょう。一人ずつお名刺をいただけますか?」
「すみません、大変失礼しました。あまりにも美しいのでつい……」
男性は一人ずつ名刺を差し出し、自己紹介をしている。美空はまるで婚活パーティーの進行役みたいに仕切っている。
困り顔の留空も、これで一安心だ。
美空の手腕に、思わずクスッと笑みが漏れる。
「はじめまして。君も南原の知り合いですか?」
不意に声を掛けられ振り返る。そこに立っていたのは、長身で黒髪、涼しい目をした知的なイケメン。
「これは失礼、名刺でご挨拶しないとお友達に叱られるかな。私は木崎クリニックの内科医をしています。
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