61
「みんな淡々としてますね。もっと和気藹々としているのかと思った」
「これが普通だよ。社内で噂になると困るから」
日向は珈琲カップをテーブルに置く。
「雨宮さんも困るのかな?すみません迷惑でした?」
面と向かって言われると、正直返答に困る。
「……私は構わないけど、日向さんは困るんじゃない?男性の異性問題は出世にも拘わるでしょうから」
「食堂で一緒に食事したくらいで出世に拘わるなんて、サラリーマンって、くだらないですね」
くだらないと言い切った彼の言葉に、思わず納得する。社内の目ばかりを気にし、虹原と隠れるように交際した一年。
その結果がこれだ。
「そうね、くだらないわね」
「あの、俺の部屋二階なんです。女子寮と壁を隔てた部屋なんだけど。もしかして、隣は雨宮さんですか?一昨日同じ時間くらいにドアが閉まる音がしたから気になって」
「……ぇっ?」
やっぱり隣は日向の部屋だったんだ。
「そうだけど」
「やっぱりそうだったんですね。男子寮と女子寮の廊下に壁がなければお隣さんですね。壁薄いからテレビやオーディオの音が煩かったら言って下さい」
テレビの音は全然気にならなかったけど、昨日煩かったのかな?
「こちらこそ、煩ければ言って下さいね」
「あの、寮に友達とか自由に入れてもいいのかな?」
「同性なら多少は構わないと思いますよ。夜中に騒いだり異性を泊めるのはNGだけど。そこは社会人としてのマナーさえ守れば」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます