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 年の離れた妹、花織かおりはまた一段と美貌に磨きがかかっている。家族から可愛がられて育った末っ子は愛され方を心得ている。


「お姉ちゃんお帰りなさい。お姉ちゃんも寮を出てここに住めばいいのに」


 ソファーから飛び降り、私に抱き付きニコッと笑う。まるで外国人のように、誰とでもすぐにハグをする。


 私には到底真似の出来ない行動。

 こんなことをされたら、両親の財布の紐は緩むばかりだ。


 甘え下手な私と甘え上手な妹。

 同じ親から生まれた姉妹とは思えないよ。


「私は寮がいいの。それにお父さんもニ年で転勤でしょう。一度寮を出るともう入れないから出たくないんだ」


「そうなの?私は寮はいやだな。同じ会社の人とプライベートも一緒だなんてうんざり。ずっと監視されてるみたいで息が詰まっちゃう。お父さん四年は東京にいられるように申請してるみたいよ。私が大学卒業するまで同居していないと心配なんだって。大学生になったら、お姉ちゃんみたいに一人暮らしするのが夢だったけど、させてもらえないんだ。末っ子って、損だよね」


「ふーん」


 姉の私からすれば、損ではなく得をしている。


 私が進学した時は、そんなこと一言も言わなかったんだから。仕送りこそ、ちゃんとしてくれたけど、ほぼ放置だった。


 妹は、同居していないと心配だなんて、それは美人だから心配なの?


 容姿の違いを親に判定されたようで、姉としては心がズキズキと痛む。


 妹には悪い虫がつかないようにバリケードを張り、私は放置していても悪い虫はつかないと解釈しているわけだ。


 このいじけた性格も、きっと親には可愛げがないのだろう。

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