20

 言い知れぬ恐怖が、全身を襲う。


 小暮は私を脅している。

 あの写真がネット上に流出すれば、私は……。


 ゴロゴロと鳴り続ける雷、その稲光りと携帯電話のフラッシュがリンクし、苦い過去が甦る。


 ――その時、コンビニのドアが開き、まだ学生と思われる男子の集団が店内にドカドカと入って来た。店内が一気に騒々しくなり、店員も慌ただしく動く。


 小暮は然り気無く私から離れ、棚の雑誌を整頓している。


「いらっしゃいませ」


 小暮の声に、入店した男子が一斉にこちらに視線を向けた。


 その集団の中に……

 日向陽の姿があった……。


 小暮は何食わぬ顔で私から離れレジに向かう。


 鼓動はトクトクと音を鳴らす。乱れた呼吸を整えることなく、私はコンビニから飛び出す。


 小暮と日向……。


 二人とも、二度と逢いたくない男。


 女の体も心も平気で傷付ける最低な男。


 男なんて、みんな嫌い。

  

 激しい雨の中へ傘も持たず飛び出す。

 体に打ち付ける激しい雨は、刃物でズブズブと突き刺されたような痛みすら感じる。


 行き交う者の視線を感じながら、冷たい雨は急速に心と体の熱を奪いっていく。


 背伸びした恋がトラウマとなり、今も苦しめられるなんて……。

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