第7話:更なる挑戦者の出現


 ゴールデンウィークを若干過ぎ、5月も中旬になろうとしていた。

 それぞれのプレイヤーが地道に練習をしていく中、ネットの動画である人物が注目を浴びる事に――。

 4月末に差し掛かった頃に注目を浴びる事になった大淀はるかとは違い、こちらは名前に関してはある程度知られている状態だったのが唯一の違いだろうか。

 その一方で、この人物以外にもARゲームでは注目を浴びる事になった人物が存在する可能性がある事も補足しておく。

【遂に、音楽ゲームのリアルランカーまでも姿を見せる事になるとは】

【格闘ゲームの有名プレイヤーがAR格闘ゲームに挑んで玉砕したという前例がある以上、こちらも二の舞か?】

【狩りゲーの上級プレイヤーであれば、そうなったかもしれない。しかし、ミュージックオブスパーダは音楽ゲーム要素の比率が高い】

【つまり、それを踏まえると格ゲーや狩りゲー、ARゲーム経験者が玉砕したようにはならないと?】 

【そう言う事になる。ARゲーム経験者でも積んだ理由は、後半の猛攻と言うべき部分だろう】

 つぶやきまとめの『後半の猛攻』とは、音楽ゲームで言う所の発狂地帯や『わけのわからないもの』と言うような譜面を意味する。

 ミュージックオブスパーダの場合、譜面と言うよりもボスラッシュと言えるような敵の出現を指す物だが……。

 高難易度譜面ばかりをプレイするようなリズムゲームプレイヤーがいる為、その傾向がミュージックオブスパーダに流れている可能性は否定できない。



 話題となった動画の投稿日は5月10日だったのだが、この動画が話題になったのは一週間経過した辺りの17日である。

『アクエリア・BSC』

 動画のタイトルは曲名と難易度である。難易度はBSC、EX、EX+の3種類存在し、更には一部で高い難易度があると言う噂――。

 その中でも、BSCは慣れていないプレイヤー向けに用意されたものであり、一般的にプレイが目立つような物ではない。

 リズムゲームの場合、高難易度譜面に関しては需要が存在する一方で、低難易度に関しては譜面確認用等でしか需要はないのだ。

 それが注目を浴びると言うのは、相当なプレイヤーがプレイしている可能性も否定できない。

 譜面確認用動画であれば特定のユーザーには需要があるので、再生数もそこそこだが――。

【プレイヤー名が確認出来るような記述は――】

【マッチングしたプレイヤーのネームで投稿されているケースもある。本人とは限らないだろうが】

【これって、もしかして?】

 一部のユーザーは、この動画でプレイしているプレイヤーに気付いていた。

【NAGATO――?】

【これが――プレイヤーネーム?】

 プレイヤー名か判別は即座に出来ないが、動画の中で長門と認識できるようなスペルを確認する事が出来た。

 もしかすると――?



 曲の最初、イントロ部分では登場する敵も数体程度、暴れプレイ等でない限りは苦戦する相手ではない。

 初心者の場合は、チュートリアルの1体だけでも苦戦する場合がある。

 ギャラリーからすれば、下手なプレイを好き好んでみるような事はしないだろう。

 そう言った事もあって、ミュージックオブスパーダではプレイヤーのスキルに左右される形でギャラリーの数が決まると言ってもいい。

 芸能人や実況者等の有名人がプレイする場合は違うのかもしれないが、そのような法則はミュージックオブスパーダに限っては通用しないだろう。

【あれで本当に初心者か?】

【チュートリアルをプレイして、その後のプレイをアップしたのかもしれない】

【ドの動画をアップするかはプレイヤーで選択出来るはず。数十回位プレイした中から、スコアの高い物をアップすると言う事も可能だ】

 さまざまな声もあったのだが、この動画の右上に表示されているステータスを見て、誰もが驚いたのである。

【プレイ回数1回?】

【初見プレイだと言うのか?】

【あのプレイ回数は、該当譜面に対しての物。つまり、他の譜面を粘着後に気分転換で……と言う路線もあり得るだろう】

 イントロ部分でビームダガーを振り下ろし、一発でターゲットを撃破している。

 これが意味する物、それはジャストタイミングで的確にリズムを刻んでいることだ。

 ターゲットのモンスターは、基本的に数撃で沈む。しかし、それは上手くリズムを刻めているかどうかにもかかっている。

 単純な連打で倒す事は不可能ではないが、そこまでしていると体力の減少スピードが速まり、プレイ途中でも演奏終了を宣告されるだろう。

【即閉店は――ゲージ設定を変えている時だけ。最初は演奏失敗でも保障があるだろう】

【あのプレイヤーは、初心者から中級者の間なのだろうな】

 動画を見たユーザーは、あの的確な動きを認めたくないというのもあった。明らかに、自分達が自信を失う可能性もあったからである。

【あの体格で動けるとか……どういう事だ?】

【重装備であれば、体力の減りは少ない。つまり、初心者救済用装備である可能性も……?】

 あるプレイヤーのコメント、それは動画内のプレイヤーが装備している物にも理由があるのではないか、と考えているようでもあった。

 しかし、このプレイヤーはインナースーツと軽装のギアのみ。これで重装備に見えるのには、一つ理由があった。

「あの体格で、あれだけの素早い動き……もしかして?」

 この動画を見ていた大淀はるかは、何かに気付いていた。彼女の体格、それはぽっちゃりと言われるような体格だったからだ。

 これでも一般女性より少し……という体格だが、周囲からはぽっちゃりと認定されてもおかしくはない。

「やっぱり、彼女は――」

 大淀は、ようやくあの動きの正体に気付いたのである。動画の説明文で何となく予想出来る物もあったが、彼女が曲のメイン部分で見せた機敏な動き、それは実際に踊るリズムゲームで見せる物と類似していたからだ。

 動画内のプレイヤーの名は長門未来、音楽ゲームではぽっちゃり音ゲーマーとしても有名なプレイヤーであり、現役ランカーでもある。

 それ程の実力を持つ人物が、どうして――と言う箇所はあるかもしれない。



 時間を動画が投稿された前日、5月9日まで巻き戻す。

 この時、長門未来はアンテナショップでインナースーツの特注品を受け取った直後だった。

「ガチプレイヤーが強すぎる」

「これがミュージックオブスパーダの壁なのか?」

 順番待ちをしているプレイヤーから、そんな話が飛び出す。

 それ位には上位と初心者の差が離れすぎている……と言わざるを得ない。

「あの、着替えは――」

「専用の着替え室はありませんので、アンテナショップの方で着替える必要があります」

「アンテナショップですか?」

「実際に着替えが必要なARゲームでは、看板に説明がありますので……特に問題はないと思いますが」

 長門は男性スタッフにインナースーツではなく、ガジェットギアの装着をする為の着替え部屋を案内してもらおうと考えていた。

 しかし、スタッフの反応は意外な物であり、着替え部屋はないという物だったのである。

 その一方で、ラフな服装の人物がガジェット以外に持参している物がない為、特に服装関係で必須と言う物はないというのが見て分かるのだが……。



 結局はガジェットに関してはゲーム中で説明があると言う事で、今は使用しない事をスタッフから説明を受ける。

 待ち時間も30分と言う事もあり、その間に他のプレイヤーによる動画を見ようとセンターモニターへと近づいた。

「奇遇と言うべきか、あるいは……」

 長門の目の前に現れた人物、それはDJイナズマだった。

 彼は他のARゲームを観戦していた所だが、偶然にも長門を発見する。

「あなたもARゲームを?」

「まさか?」

 イナズマの方はプレイする気はないような表情を見せるが、それが本心とは限らない。

「じゃあ、どうしてここに?」

「いわゆる様子見だ」

「様子見?」

「超有名アイドル商法も暴走気味となり、政治家のバックアップを受けている噂もある。だからこそ、別の業界はどうなっているか様子見を――」

 イナズマは様子見で来たと言うらしいが、センターモニターのテロップでスクロールしているニュースを見て、驚きを見せたのは周囲のギャラリーだった。

「超有名アイドル事務所が強制捜査か」

「やっぱり、あの有名政党と手を組んでいたと週刊誌で報道されたのが致命的だな」

「強制捜査自体の報道は何度かあっただろう。今度は、本格的と言う事か」

「その原因はバウンティハンターかもしれない」

「バウンティハンターがチート使用の疑いで付きだした人物の中に、芸能事務所関係者がいたという噂だ」

「噂は噂だろ? 下手に炎上した途端、それは別の勢力を目立たせる口実を作ってしまうだろう」

「別の勢力……有名アイドルの3次元BL本を出すような勢力か?」

「そこまでではないが……放置すれば、海外からもバッシングを受けるような展開になるのは間違いない」

 ギャラリーの反応はそれぞれだが、今回の強制調査は超有名アイドルや政治家勢力を完全追放するのには都合が良いと考えているようだ。

「このニュースをきっかけに、アカシックレコードで扱われている技術が地球消滅をさせると言うのが証明された事になる」

 イナズマの一言を聞き、長門は無言で呆れていた。アカシックレコードと言う単語に反応した訳ではなく、その技術が軍事転用され、その威力は地球を消滅させる事も出来ると言う部分に……である。

「地球消滅……大きく出ていると思うけど、あの技術はゲームとしての技術よ。軍事転用なんてありえない」

 長門は軍事転用の部分を強く否定する。アカシックレコードの技術は、見た限りではゲームの設定やガジェットの設計図などであり、争いの歴史等ではないのは考察サイト等でも明らかになっている。

「本来、ARゲームは別次元の体感プレイを楽しむ為に生み出された物。それが次第に悪徳ビジネスに利用され、その結果として海外に兵器としてのガジェットが生まれる可能性……それは否定できない」

 言いたい事だけを言い残し、イナズマは姿を消してしまった。本来、彼としてもこの場所に立ち寄ったのは様子見だけであり、無駄な時間を使いたくないというのもあるかもしれない。

 しかし、長門は彼の発言に惑わされる事はなかった。イナズマの発言が不発に終わったのは、過去の前例が証明している。今回の一件もつぶやきを炎上させて一部勢力を魔女狩りする為の物だろう。

 イナズマの発言力はカリスマ的なものを持ちあわせてはおらず、その場しのぎともネット上では言われている。

 他にも否定的な意見は多いが、それらの意見も感情に任せて発言したような炎上狙いの物、夢小説のネタとして利用、テンプレ化して拡散するというケースまであるのだが……。

「私は誰の意見も本心としては受け入れない。音楽ゲームのイースポーツ化も、大和杏が広めている物にすぎないのだから」

 気が付くと、長門の順番が回ってきていた。動画サイトを巡る事もイナズマとの話で出来ずじまいの為、仕方なくチュートリアルからプレイする事になった。

《100GPで1プレイ出来ます》

 長門は値段設定に驚いていた。スタッフからも説明されたが、長門はスタートの項目をタッチし、100GPを消費。

 GPはガジェットポイントであり、ゲーセンでも一部機種で採用されている電子通貨のシステムに類似する。

 1GPが1円相当の為、100GPは100円と言う事になるのだが……これには他のギャラリーも驚いた。

「自分がリズムゲームに望む世界は――」

 そして、長門のプレイが始まろうとしていた。彼女の装着しているギアは脚部のブレードエッジ、バックパックのブレードギミック等の軽めの物。

 ミュージックオブスパーダの場合、体力ゲージの減少を恐れて重装備にするプレイヤーもいる。その一方で、軽装ギアで攻撃を回避、手数で攻めると言うプレイヤーがいるのも事実。

 長門の場合は、どちらかと言うと手数で攻めるタイプなのかもしれない。その割にはぽっちゃりという体格が周囲を不安に追い込む。

「これが、全ての始まりとも言える……プレイになるかもしれない」

 そして、長門はチュートリアルを一通りチェックし、腕のガジェットに表示された曲ジャケットから難易度の低そうな曲をソート、そこから1曲を選択する。

《プレイ動画をサイトへアップする事も可能です》

 インフォメーションでは、動画をアップする事が可能であるアナウンスが表示された。動画サイトへのアップはプレイ後に選択が出来る仕組みである。



 5月9日、この時のギャラリーはわずか数人だった。

 順番待ちのプレイヤーも観戦していたので、数人と言う表現は間違っている可能性もある。

「あの動き、別の意味で驚きだ」

「信じられない。自分でも、あそこまでの動作は無理だぞ」

「アスリートでも慣れない動きに怪我をする事もあると言うARゲームに、あそこまで適応できるとは」

「やはり、ゲームと言うジャンルである以上はアスリートよりもゲーマーが有利なのか」

 様々な声が出る。これらの声はプレイしている長門未来に向けての物であるのは言うまでもない。

「これが、彼女の実力なのか」

 動画配信で視聴していたのは、別のゲーセンに足を運んでいるDJイナズマだった。



 彼女の動きは取り囲もうとしていたモンスターを一撃で撃破する。

 その一方で彼女の動きは目で確認できる位の速さであり、超高速や忍者と例えられる速度ではない。

「彼女は性格に敵の急所を当ててきている」

「厳密に言えば、急所と言うよりはジャストタイミングで命中させているという事か」

「ハンティングアクションと錯覚しがちだが、システムは音楽ゲームだったな」

「このゲームでは敵を撃破する事が重要ではない。楽曲を上手く演奏出来るか……」

 ギャラリーの方も、徐々に増え始めている。他プレイヤーのプレイが飽きたからではなく、選曲中と言う事もあったのかもしれない。



 長門はプレイ後にスタッフへ何かを尋ねていた。システム的な事よりも、動画についての説明かもしれない。

「動画に関してですが、プレイ直後に動画が投稿される訳ではありません。投稿予約の状況によって、数日かかる場合も――」

「そうですか。特に急ぐ訳ではないので」

 そして、長門の方は近くのコンビニへと足を運び、そこでスポーツドリンクとドーナツを購入する。腹ごしらえと言ったところか。

 長門はチョコレートのかかったドーナツを口にしながら、ARガジェットで他プレイヤーの動画を確認する。

 手が汚れた状態でガジェットに触れると、故障する可能性もある為に手を拭いてから端末に触れているのだが。

「ARゲーム出身のプレイヤーが音楽ゲームに進出したとしても、このレベルでは……」

 長門が思ったのは、複数ジャンルのゲームをかけ持ちする事に関して。

 彼女の場合は音楽ゲームがメインで、ARゲームは始めたばかり。しかし、初見プレイの結果は一部でタイミングミスもあったのだが、スコアは理論値の次に高いスコアである。

「ARゲームがイースポーツになれば、格闘ゲームやFPSのような盛り上がりも期待できる。その一方で、別の懸念もあるかもしれないけど」

 長門は音ゲーマーではあるのだが、廃課金等の様にお金を湯水のごとく使うプレイヤーではない。イースポーツ化すれば、賞金でゲームをプレイする事も可能になるだろう。

 一時期はプロゲーマーも注目されていた業界なのだが、あまりにも多くのゲーマーが出現すると言う事が意味するのは――。

「多くの人間が集まれば、色々なトラブルが起こるのは避けられない。ネット炎上も、その一つか」

 長門が懸念しているのはネット炎上勢だけではない、有名税という存在を別の意味で悪用しようとする勢力、タダ乗り便乗等の様な物を何とかしようと言う事だった。



 長門は音楽ゲームの技術に関しては、かなりの物を持っている。

 ARゲームのプレイヤーで例えると、中堅位の実力はあるかもしれない。

【あの動きは……ARゲームの動きとは違う】

【ミュージックオブスパーダがARゲームで求められる技術とは違う物を求めている】

【どう考えても、あれだけ機敏な動きはARゲームを数回プレイしただけでトライできる物ではない】

【まるで、別のゲームでの技術を披露しているみたいだ】

【つまり……ミュージックオブスパーダは、ARゲームとは根本的な部分が違うのか】

【システムはARゲームだが、実際に求められるのは音楽ゲームでの技術だろうな】

 つぶやきの方でも、長門のプレイを中継している関係があって盛り上がっているように思える。

 長門はプレイ後にスタッフへ何かを尋ねていた。システム的な事よりも、動画についての説明かもしれない。

「動画に関してですが、プレイ直後に動画が投稿される訳ではありません。投稿予約の状況によって、数日かかる場合も――」

「そうですか。特に急ぐ訳ではないので」

 そして、長門の方は近くのコンビニへと足を運び、そこでスポーツドリンクとドーナツを購入する。腹ごしらえと言ったところか。

 長門はチョコレートのかかったドーナツを口にしながら、ARガジェットで他プレイヤーの動画を確認する。

 手が汚れた状態でガジェットに触れると、故障する可能性もある為に手を拭いてから端末に触れているのだが。

「ARゲーム出身のプレイヤーが音楽ゲームに進出したとしても、このレベルでは……」

 長門が思ったのは、複数ジャンルのゲームをかけ持ちする事に関して。

 彼女の場合は音楽ゲームがメインで、ARゲームは始めたばかり。しかし、初見プレイの結果は一部でタイミングミスもあったのだが、スコアは理論値の次に高いスコアである。

「ARゲームがイースポーツになれば、格闘ゲームやFPSのような盛り上がりも期待できる。その一方で、別の懸念もあるかもしれないけど」

 長門は音ゲーマーではあるのだが、廃課金等の様にお金を湯水のごとく使うプレイヤーではない。イースポーツ化すれば、賞金でゲームをプレイする事も可能になるだろう。

 一時期はプロゲーマーも注目されていた業界なのだが、あまりにも多くのゲーマーが出現すると言う事が意味するのは――。

「多くの人間が集まれば、色々なトラブルが起こるのは避けられない。ネット炎上も、その一つか」

 長門が懸念しているのはネット炎上勢だけではない、有名税という存在を別の意味で悪用しようとする勢力、タダ乗り便乗等の様な物を何とかしようと言う事だった。



 5月18日、タダ乗り便乗勢力がミュージックオブスパーダに姿を見せ始め、理論値を次々と叩きだす案件がつぶやかれたのは、この辺りである。

「理論値をたくさん出せれば、いずれは大金が入ってくる環境になるだろう」

「そうすれば、推しアイドルのCDを大量に購入し、CDランキングを独占する事も可能だ」

「このダークガジェットさえあれば、それが実現――」

 しかし、こうした理論値が大量に出てくる環境、それがダークガジェットと言う外部ツールを使用した物と判明するのは、わずか数時間後だった。

「お前達か。外部ツールで荒稼ぎをしようと言う超有名アイドルファンは――」

 ダークガジェットを使用したプレイヤーの目の前に現れたのは、バウンティハンターだった。しかも、ビスマルク等の様な名前の知られているハンターではなく……。

「超有名アイドルファン、お前達の行おうとしているのは業務妨害に他ならない!」

 その後、ダークガジェットを使った超有名アイドルファンはバウンティハンターとガジェットバトルをする事になったが、10秒も立たないうちに降伏をする事になった。

 その理由は、ダークガジェットが動かなかった事による物らしい。おそらくは、外部ツールを遮断するシステムが即時構築されたのだろう。

 ダークガジェットの話題は即座につぶやきで拡散し、運営が取り締まる事になったのだが……外部ツールによる被害は今までにもあった。

 しかし、それらは業務妨害と運営が判断しなかった事に他ならない。営業妨害と判断するようになったのは、ARゲームがイースポーツ化し、賞金が出るようになった事も理由になるだろう。

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