過去からの贈り物~夢のかけら~

湖村史生

第1話 始まり

       古びた喫茶店

       店内には様々な形のオルゴールが並んでいる

       そこへ、一人の女性未来みくが入ってくる。

       未来は慣れた様子で店内のオルゴールを物色すると、

       そのうちの一つを手に取りいつものテーブルへと腰掛けた。

       すると店主の老女が、未来にコーヒーを運んでくる。



老 女  いらっしゃい。

     今日、選んだオルゴールはそれ?

     今夜こそ、巡りあえると良いわね。



       未来、小さく頷く

       老女、未来からオルゴールを受け取ると、別のテーブルに腰掛け

       オルゴールの蓋を開けようとして手を止めた。



老 女  でもね…もし巡り会えなくても、何か起こりそうな予感がするわ…

未 来  何か?

老 女  そう、何か…ね…

     あなたにも、良いきっかけになると良いわね

未 来  ありがとうございます。



        老女、一瞬女性に笑顔を浮かべた後、ゆっくりとオルゴールの

        蓋を開く。

        未来は祈るような気持ちで、老女がオルゴールを開けるのを見る

        と、ゆっくりとドアを見詰める。

        オルゴールの音楽は止まり、未来、悲しそうに項垂れる。




老 女  残念だけど…駄目だったみたいね



        未来は悲しそうに頷き、老女からオルゴールを受け取ると、

        帰り支度を済ませ、老女に一礼して帰ろうとする。


老 女  待って!



        老女の声に、未来が驚いて振り向く



老 女  ねぇ…今夜は月が綺麗だわ…

     ゆっくりしていかない?



        未来、窓から空を見上げて少し考えた後、頷くと席に再び戻る。

        老女、未来の姿を見て微笑んだ後、オルゴールを手にして

        センターへゆっくり移動する


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