第18話 猫がいない
最近では、室内温度が30℃を超える日もあり、冷房を使わなければやっていられないという日も多くなった。そうすると、なぜか猫がいなくなる。
寒い時期には、私の膝の上で丸くなり、パソコンで作業中にはすぐ近くに置いてある籠ベッドの中で眠るほどにべったりと過ごしてきたのに、夏が近づくにつれて、うちの猫は行方不明になる。
と、書きかけて保存してあった18話。
すっかり忘れ去られていたお話だ。
いまさらながら書き進めてみることにする。
うちの猫は、クーラーが苦手なのである。
クーラーが稼働すると猫はクーラーのない部屋へ逃げて行ってしまう。ひんやりクールマットの寝床も用意したけれどほとんど使わない。猫が暑さに弱いと聞いていたけれど、うちの猫は違うらしい。
やがて私の夢の一人暮らし期間は終わりを迎えた。夫の単身赴任が終わって地元へ戻り、単身赴任手当がなくなったので私は夫が待つ地元へ帰ることになった。
日にちはあっという間に過ぎ、秋ももう終わり。
うちの猫は暑さには強いけれど寒さにはめっぽう弱い。
少し肌寒くなってきたかなと思う頃から布団に潜り込むようになり、膝の上でくつろぐ時間が増えた。
最近、うちの猫がいなくなる時はたいてい襖が少し空いている。何度言っても押し入れに潜り込む。
押し入れなんて何が楽しいのやら。暗くて狭いところが好きだというけれど、駄目よと何度教えても潜り込む。
でも、押し入れに入らない日もある。これも猫の気分なのだろうか。不思議だ。
朝晩がずいぶんと冷えるようになったので、パソコン机の下にパネルヒーターを設置した。温かいと知っているのですぐに潜り込んでくる。
私の足と猫で満員になっているパネルヒーターの中には幸せがいっぱいだ。
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