竜の卵
美作為朝
英雄。
今では、存在そのものが当たり前になりその数、存在が
しかし、私がグランドス大陸の西岸を約6年をかけて歩き、調べ上げ、獣も鳥も寄り付かぬ
ときは、クマラートス<
なにせ、文献資料はなく、大波により大飛沫が飛び散り相当波で激しく洗われた、岩に刻まれた、古代ランリック文字を証拠に語る怪しげな老人がこの話の大元なのだから。
私も、その古代ランリック文字が刻まれている岸壁にある岩をそれこそ、躰に縄を結え身を岸壁より
その岩に刻みこまれた数字は、しっかと、3028と記してあり、
これだけは、自信をもって言える。
この岸壁そのものも、
その厳海湾に住む老人の名は、ヘルム・ブレイダス、またの名を<
幼いころ、ビラルーク戦役の蛮族アマリア族の竜騎士による空襲をこの
さぞ立派な旗士殿である。
その後は、自由旗士として、各地の戦役を転戦。つまり傭兵となったらしい。欲しいものは、大体奪い手に入れられたと豪語しており、相当の暴れものだったらしい。
中年になり若いころのように躰の自由が効かなくなると、故郷、厳海湾に恩賞と略奪品とわずかばかりの名誉と勇猛とそれよりかなり多くの虚偽とともに帰還し、妻を娶り二男一女を設けたと話す。
自由旗士をしていた時代の話は、妻女や子息には一切していないというより出来ないということである。
この老人が、話してくれたことを、ここに記したい。
これが、
その男は、当然のごとく、グランドス大陸の西部、"
(ちなみに私は、厳海湾を訪れたときは、時間はかかったが、この広大な岩礁地帯を大きく南に迂回した)
まず最初にこの男がこの集落の外れで倒れているのを地元の子供がかくれんぼをしている最中に見つけた、あまりに臭く、汚いので、
それと、言葉らしきものをこの
「うーのあまご」と。
この男、容貌は、古グレイン征服族に近かった。
高い上背にピンクの肌に緑の目、髪は金色の黄金色だったらしいが、それは、手当てをしながら身の回りを整えてやって始めてわかったことだ。
男は、恐ろしく日焼けをし飢え乾き痩せ細り歯もかなり失っていた。
男は、片言の共通語しか最初話せなかったが、たった三週間の滞在ですぐに言葉に不自由しなくなった。
暴れたり、声を荒げたりすることもなく、大変穏やかで、施された手当てに見合うだけの労働も
この男の名は、ドラグ。我らがよく知る、英雄ドラグである。住民が幾度尋ねても、ドラグとしか答えなかった。
ドラグは、もちろん、目的を持ってこの厳海湾にやってきていた。
そう、「うーのあまご」竜の卵を得るために。
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