六回裏の攻防 8
三反崎の内野ゴロの間に1点を奪ったレッドスターズ。ホームへの送球がフィルダースチョイスとなり、無死一塁でさらに攻撃は続く。
ここで森国は三番の真木に送りバントを指示。真木はきっちりとバントを決め、一死一塁とした。
打席には四番フランケルが入る。
ダイヤモンズにとって、一番の誤算がまさにこの時だった。
大八木の心の糸。それは、先ほどのフィルダースチョイスでプツリと切れてしまっていた。もちろん本人には自覚はない。いつも通りに投げるのだが、心の片隅のもう一人の自分が突然表舞台に出てくるかのように、不注意な時間が明らかに増えるのだ。
分かりやすい表現なら「ボーッとする」と言えば良いだろうか。
大八木はいつも通りのフォームで、いつものように直球を投げ込む。投げた瞬間に「ハッ」っと我に帰った時にはもう遅い。
一閃。
ど真ん中の棒球と化した白球を、フランケルはピンポン球のようにレフトスタンドへと運んだ。
そして、ダイヤモンズは投手交代を選択。
大八木は、不用意な一球を心から悔やみながらマウンドを降りたのである。
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