変人探偵と生意気少女

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第1話 邂逅

「ちょっとぉ!もう家を誰かに貸したってどう言うことよ!先に契約してたのは私でしょ!?」


オークの大家に対して声を荒げているのは、ロッティ・スプリント。

彼女は短髪のきれいな白髪にぱっちりとした目、一見男の子の様に見えるスラッとした体つきが特徴的な、いかにも気が強そうな顔をした少女である。

そんな彼女が声を荒げている理由は-


「だーかーらぁ!その家はもう私が先に借りたの!そのS.Hさんとやらには悪いけど、もうお金も払ったんだから私の家よ!」


「そう言われてもねぇ。もう借しちまったもんはしょうがねぇですよ‥‥

それに、そのお客さん、貸し賃をあんたの2倍払ったんだから」


ロッティは頭を抱えた。そういえばオークってこんなやつばっかだったと。


「あぁでも、そのお客さん、この借家を一人で占領するには少しもったいないと言って、手頃な同居人を探していたようだったけどなぁ」


オークのその一言を聞いて、ロッティはしめた!という顔をしてこう言った。


「それって私でも大丈夫よね!?」


「え、ああ。聞いてみない限りはわからねぇっすけど、でもいいんすか?あんたみたいな小さい娘が男と一つ屋根の下って‥‥‥襲われちゃうかもしれねぇっすよ?」


ロッティの耳には、オークの声はあまり届かなかった。とにかく住む所が手に入るという事実だけがあればよかった。


「そんなのどうってことないわよ!

その男の人は、私と一緒に住めるということに感謝すべきだけどね!」


どこからその自信が沸いてくるのかはわからないが、確かにロッティは可愛いか可愛くないかでいえば、確実に可愛いの部類に入るぐらいの美少女だった


「そうですかい?それならいいんすけど。じゃあ、明日、俺が交渉してきやすよ」


「そんなの待ってらんないわよ!今から私が直々に交渉してくるわ!」


「へ、へぇ。じゃあお気をつけて。」


オークの言ったその言葉は恐らくロッティには聞こえていないだろう。

オークがお辞儀をして顔をあげると、もう彼女は店を飛び出したあとだった

ーーーー


「え~と、確かあの家はこの路地を右に曲がってぇ」


オークの店を出たあと、彼女は大急ぎで借家に駆けていった


「こっちの方に‥‥‥あっ!あった!」


「なんだろこの看板?S.H‥‥タンテージムショ‥‥‥?」


ロッティが借家につくと、家のドアのところに『S.H探偵事務所』と書かれた看板が吊るされてあった


「タンテーってなんだろ?そういう仕事なのかな~?」


ロッティが看板に書いてあった聞き慣れない言葉に戸惑っていると、その家のドアが『ギィィ』と音をたてて開かれ、そこからいかにも神経質そうな顔をした長身の男が出てきた


「何だね、君は?人の家の前で騒ぐのはよしてもらえないか」


家から出てきた男は、ロッティに向かってそう言い放った


「あ、ごめんなさい!それと‥‥あの‥‥あなた、手頃な同居人を探しているんですよね?その同居人‥‥私でも大丈夫‥‥ですか?」


「む。確かに私は同居人を探しているが‥‥‥君がか?見て分かると思うが私は男だぞ。君みたいな少女と一緒に暮らす‥‥‥というのは、少々難しいことだと思うが‥‥」


この男も、あのオークも、やはりロッティの様な少女と一緒に暮らすのには抵抗があるようだ。この男も見るからに嫌そうな顔をしている


「大丈夫ですよ!裸見られたりお風呂覗かれたりしなければ、私全然気にしませんから!」


「むぅ。私に歪んだ性癖はないが、周りからの目というのもある‥‥」


「ならばこうしよう。君が私の助手になる‥‥というのはどうかね?」


そういって男はロッティに提案を持ちかけてきた。もちろん、ロッティの答えは‥‥‥


「なります!助手にでも何でも!だからお願いします!この家に住ませてください!」


ロッティは男に深々とお辞儀をしながらそう言った


「ふむ、君の気持ちはよく分かった。では、君を私の助手として認めよう。今日から君は私の助手だ、よろしく頼むよ」


男はロッティの申し出を素直に引き受けた。それほど助手が欲しかったのだろう


「では、家に入ろうじゃないか。君の名前、私の名前、君に教えなくてはならないこと、私が知らなくてはならないこと、色々教えてくれたまえ」


「はい!これからよろしくお願いします!」


ロッティは男と共に家に入っていった‥‥‥

ーーーー


キャラ紹介

ロッティ・スプリント

髪の色:白

髪型:ショートボブ

目の色:青

身体的な特徴:胸が小さく、全体的にスマートな体形。男に間違えられることもある。














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