この授業で学んだこと

 この講義で、私がいちばん感銘した概念が『文体』です。

 文体というものに対して、"意識的に"読書をするようになれました。


 私は今まで文体というものをあまり意識したことがなく、個性的な文章をかく著者の文章に対しては『この人の文章は特徴があるなあ』と思うことはあっても、文体そのものを深く意識したことはありませんでした。

 内容(プロット)さえ理解できれば、それをどう書こうが大して差はないだろう、となんとなく読んでいたのです。

 この辺りは、シナリオライティングの『棒のように書け(個性をださず、誰が見ても誤解しない文章でかけ)』という意識が私にはあり、それを小説にも適用して考えていたからです。


 文体の話ですが、文体そのものが内容(テーマ)とイコールであることが望ましい、という話を授業でたびたび聞いています。

 ある種、文体の極地である、文体自体が内容であり、一字一句動かせない、という境地の作品、課題『反悲劇』には読んだときに強烈なインパクトを私の頭に残していきました。

 なるほど、これが文体かと。


 文体についての、私なりの理解ですが、文体というのは、作品のテーマ・色を表わすものだと考えました。

 たとえばコメディ作品なら、その文体は軽快な語り口調であるべきだと思うし、ホラー作品なら、陰鬱な雰囲気を感じ取れなければならず、青春物語なら、若者の瑞々しい感性を感じるような文体でなければならない、というように。


 つまり文体というのは、作品全体の雰囲気作りをするもので、これは映画でいうところの音楽、BGMに相当するものだと私は考えました。

 ホラー映画では怖いBGMが流れるところを、小説では怖い文体で雰囲気をだす、というような。


 よって、文体というのは、作品のジャンルを表わすものであり、そのジャンルの特色を、最大限活かすような文体を"意識的に"選択することが、良い小説をかくのに必要だと考えるようになりました。


 文体を学習するうえで、講義の後半で毎回行っている書写が役に立ちました。

 自分が好きな作品を個人的に書写してみて、気づくことが数多くありました。


 今後は、小説を書くさいに、内容に相応しい文体を吟味することから始めてみようと思いました。

 先生の授業は実りが多い学習の場となりました。

 御礼を申し上げます。

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