18/10/4 お義父さん(課題:怒っている人10枚)

『お義父さん』


人物

高野幹夫(52)アヤの父

須藤康太(24)アヤの恋人

高野アヤ(22)OL

高野美代(45)アヤの母



〇高野家・居間

 高野幹夫(52)が茶を飲んでいる。

 壁の時計の針をみる。

 九時一五分。

 ぶこつな湯呑をテーブルに乱暴に置く。

高野「かあさん、茶」

美代の声「はいはい」

 高野美代(45)がヤカンから茶を注ぐ。   

 高野、新聞を広げ、神妙そうな表情。

 新聞の端からチラリと壁の時計をのぞき見る。九時一六分。

 新聞をテーブルに叩きつける。

 テーブルが揺れ、湯呑から飛沫がとぶ。

高野「遅いっ!」



〇道

 赤信号で停止している車。



〇同・車内

 高野アヤ(22)が運転席でハンドルを握っている。

 左手の薬指に指輪。

アヤ「もうっ、こんなときに!」

 ハンドルをたたく。

 助手席で、須藤康太(24)が電動シェイバーで無精ひげをそっている。

 よれよれのシャツで、目は虚ろ。

須藤「アヤちゃーん、どう?」

アヤ「後ろに新品のシャツとジャケットある から着替えて」

 携帯電話の着信音。

 アヤがバッグから携帯をとりだす。

アヤ「あ、お母さん? もうすぐ着くから。 うん、大丈夫。平気」

 須藤、書類の束をとりだし、ぱらぱら   めくり始める。なにかの設計図。

須藤「うん、うん……」

 須藤、しきりに頷く。

アヤ「ねぇ。先に着替えて!」

 須藤がもぞもぞと着替え始める。

アヤ「お父さん、どう?」

 クラクションが鳴る。

アヤ「やば」

 信号機、青になっている。

アヤ「ごめんいったん切るね」

 走り出す車。


〇高野家・居間

 固定電話に受話器を戻す美代。

美代「もうすぐ着くそうよ」

高野「そうか」

 懐に手を入れて、もぞもぞと探る。


〇高野家・前

 乗用車が家の前に止まる。


〇高野家・玄関

 玄関の前で高野が腕をくんで仁王立ち   している。アヤと須藤やってくる。

アヤ「お父さん、遅れちゃってごめんね。ち ょっと色々あって……」

 高野、須藤を睨みつける。

高野「今日は大事な話があるそうだな?」

須藤「はぁ」

美代「康太君、いらっしゃい。さ、あがって」

須藤「お義父さん」

 高野、怪訝な表情で須藤を見る。

須藤「アヤさんとの結婚をゆるしていただな いでしょうか?」

アヤ「ちょ、ちょっと、このタイミングで?」

 二人に背中を見せたまま高野固まる。

 時間をかけて振り返る高野。

 わなわなと震え、顔が真っ赤に染まっ   ている。

高野「帰れ!」

 高野、須藤をつきとばす。

高野「帰れーーっ!」

須藤「……」

アヤ「お父さん、いちど落ち着いて。ね?」

高野「いいか! 結婚は絶対に許さんぞ」

 高野が家に入り、扉を閉める。

 玄関に残される須藤とアヤ。


〇同・高野の部屋

 高野が部屋に入ってくる。

 部屋に飾ってあるツボをにらみつける。

 高野、ツボを床に叩きつけて、割る。

 割る。割る。

高野「アヤ、なんであんな男!」

 高野、懐から懐紙の手紙を取りだす。

 『新郎 須藤康太殿』と書かれている。

 高野、手紙を破ろうとする。


〇フラッシュ

 アヤ(5)。アヤ(9)。


〇同・高野の部屋

 手紙を破ろうとして固まっている高野。

高野「……」

 懐に手紙を戻し、目頭を押さえ呻く。


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久しぶりにかきました


2018/10/4indo

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indoシナリオ課題集(2017/4~) indo @nido1211

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