第二話
*『アダバナノスミカ』
本編
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♪一つ謳えばわらしべの〜
──遠くで唄が聴こえる。誰かが歌っているのだろうか?
♪悲鳴が聞こえて血肉舞い〜
──…………
♪二つ踊れば
──コレ……普通の童歌じゃない……ッ!?
♪泣き声聞こえて骨折れて〜
──段々近付いて、来る……ッ!
♪三つ
段々その不気味な唄声は近づいて来る。俺は慌てて読んでいた本を閉じると脇に抱えて一番見付かりにくそうな場所に身を隠す。
♪逃げ惑う姿に狂喜して〜
ギィ……ッ
一瞬遅れで部屋の扉が開く。そこに立っていたのは夕陽に照らされてキラキラと光を反射する白銀の長髪と悲しそうに細められながらも、拒絶と憎悪、そして狂喜の色が色濃く浮かび上がった深紅の瞳。俺はその人に目を奪われた。いや正確には──
「おやおやァ? 人間臭いぞォ? だァれか鼠を入れたなァ?」
「ッ!」
歌を歌っていた麗人の額には──真っ赤な鮮血に染め上げられた──深蒼の、角が三本並んで生えていた。
──居たんだ……あの咄は本当の事で、鬼になってしまった『鬼の子』は実在したんだ……
♪トントン拍子の仇討ち〜
彼はあの不気味な歌を歌いながら外に出た。美貌の鬼子は不気味な歌を歌い、外を歩く。
──今日
♪憎いモノにゃあ容赦せぬ〜
鬼の子だった彼だって、
「──……そこに居るんだな、鼠ちゃん?」
「!」
──気付かれた……ッ!
外に出ていたハズの鬼はいつの間にか俺の目の前に居て。
──あ、これは死亡フラグ立った。
俺は鬼を見てそう、感じた。……ハズだった。
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