Endind3: 喫茶店

GM:というわけで、フランコイズよ。


フランコイズ:え、何?


GM:取りあえずアッシュとの対面を切り抜けて、竜胆とも別れた後だ……アッシュの部下だという女が、今後の処遇を話す為にUGN本部近くの喫茶店で話がしたいと言ってきた。


竜胆:あっ。


フランコイズ:警戒もせずのこのこ出ていこうかしら。


GM:さて、女は言う。



「まったく…残り少ない人生ですよ?貴女は何故私を裏切るなんていう愚かな選択をしたのですか?」

口調は丁寧なれど、相手の心を見透かし蔑んでいるような嫌な口調。声は違っても、それは紛れもない“マスターマインド”の物だった。



フランコイズ:「ッ……!」後ろ手にハンドアックスを生成する。

「残り少ない人生だからこそ、よ。決まってるでしょ?」


天船巴(GM):「ところで……今ここでこの私と戦おうとしたら、貴女はどういう立場になるか分かりますか?」


フランコイズ:「……性悪。」それがわかっているから手を出せない。


天船巴(GM):「まぁ、私も鬼ではありませんからね。“ヘカトンケイル”を倒した駒ですから、少しぐらいはご褒美をあげようかなとは思います」


フランコイズ:「アンタにもらう褒美なんて……!」


天船巴(GM):「まぁ、UGNへの修学旅行ぐらいは許してあげましょう。だからキチンとレポートを書いて、現地での課題をこなす事。分かりましたね?」


フランコイズ:「……そんなこと、するわけないでしょ。」


天船巴(GM):「あら? いいのですか? あぁそうだ。貴女のお気に入りの……えっと、竜胆君でしたね。今度は彼をどんな任務に行かせてあげましょうかねぇ」



「……この、性悪が」


フランコイズがむりやり捻り出したその言葉は、実質相手の提案を飲んだのと変わらない。


「えぇ、褒め言葉をありがとうございます。」


アッシュの部下であるはずの女エージェントは、フランコイズの分まで勘定を済ませ、喫茶店を去っていく。


「……褒めてないっての!」


フランコイズは怒りに任せハンドアックスを床に向かって投げつける。音も無く砂となって崩れたそれを見て、彼女はなんとか自分を落ち着かせた。



フランコイズ:「……まあ、いいわ。あの性悪から逃れられなかったのはこの際どうだっていい。私は幸守と一緒にいられるならそれでいいわ」

 そう呟いて喫茶店を後にする。




 昨日と違う今日。今日と違う明日。

 変貌してしまった世界に生きる、彼らの上の空はいつも曇っている。

 ――だが、その上の青空を想う事は出来るのだ。

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チルドレン・イン・ヴァイオレット Jorge @Jorge

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