Opening2: いつものカフェ

 ここはいつも天船巴が使う喫茶店。もちろん、使うというのは“お願い”にだ。

対面にいる天船巴が、フランコイズに話しかけてくる。



フランコイズ:侵蝕値上昇は9。今日は一段と侵蝕が重い、そんな風に思いながら目を伏せている。


天船巴(GM):「ごきげんようフランコイズさん。今日のコーヒーは一段と美味しいですね」


フランコイズ:「コーヒーはいいと思うけど、一緒に飲んでる相手が最悪だわ。さっさと本題に入ってよ。世間話をするために来たわけじゃないでしょ?」


天船巴(GM):「どんなに不味いご飯でも、それしか食べてなければ美味しく感じるそうですよ?」


フランコイズ:「あっそう。生憎私は自分で調理もできるからわざわざあなたとご飯を食べる理由はないけどね」


天船巴(GM):「まぁ、それしか食べられない哀れな方もいるかもしれませんがね……実はですね、折り入って“お願い”があるんですよ」


フランコイズ:「はあ……あなたが私に頼むって事は、どうせ戦闘系の任務でしょ?次はだれを殺せばいいの?」


天船巴(GM):「殺す……というのは少々不穏当ですね。先日、ある実験セルで“ヘカトンケイル”が完成したという報告がありました。貴女には、その性能試験に付き合っていただきたいのです」


フランコイズ:「……また実験体か。悪趣味ね」

 


 フランコイズは、自分の余命を大きく削るような無茶な実験をした張本人を前に、歯ぎしりをする。



フランコイズ:「まあ、仕方ないわ。あなたの庇護下にいることはFHの中で大きな意味がある。やるわよ、その性能試験とやら。どうせ断ってもやらせるんだろうけど」


天船巴(GM):「えぇ、ありがとうございます。貴女が受けてくれなかったらと少々ヒヤヒヤしていたもので……。では詳細です」


フランコイズ:苦々しげにマスターマインドから書類を受け取る。


天船巴(GM):「明日、この廃棄区画にて“ヘカトンケイル”は解放されます。人は来ないので、存分に試験を行ってください」


フランコイズ:「要するに壊れない程度に殴ればいいんでしょ?」


天船巴(GM):「そういうことです。では、良い報告を待っていますよ」


フランコイズ:「ええ……私はもう行くわ。用が済んだならあなたと1秒たりとも一緒にいたくない。」



 コーヒーを飲み干したフランコイズは、カップを乱暴にソーサーに戻し立ち上がる。

「お代は私が持ちますね」

 気にせず微笑む天船巴を振り返りもせず、店を出たフランコイズは呟く。

「…本当に、悪趣味なこと」

 憎悪で握りしめた書類は、握りしめた所から砂に還る。それはフランコイズ自身の体から立ち上る砂と合わさり、一条の煙のように見えた。

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