相川真奈の日常①

ゴールデンウィークもすっかり終わった5月中旬。私、相川真奈あいかわまなはすっかり元の日常に戻っていた。


ゴールデンウィークが終わってから、学校は直後の月曜しか行けていない。火曜日からは仕事漬けだ。例として火曜日から金曜日までしてきた仕事を挙げてみる。


火曜日・・・午前はグラビア撮影、午後は新しいCMの撮影

水曜日・・・終日テレビ(赤坂ガールズの冠番組)の収録

木曜日・・・終日テレビドラマの撮影(7月放送開始予定)

金曜日・・・午前はラジオ(4月から始まった私がMCの冠番組)の収録、午後は雑誌のインタビュー


しかし、2週間後には中間テスト。高校最初のテストだけど、どうするべきなのか・・・

とりあえず土曜日と日曜日の新曲の発売イベントが終わったら仕事は一旦セーブするつもりだ。




金曜日の夕方、私はラジオの収録と雑誌のインタビューが終わると、事務所に向かった。時刻は6時を回ったくらいか。


「私、好きな人ができました」


私は事務所の社長にこう言った。すると、


「そうか」


と社長は言った。そして、


「しかし相川、確かにお前には高校生になったら恋愛は自己責任だと言った。事実お前より年上のメンバー数人は彼氏がいる。しかしそれは交際がバレたら何かしらの責任を取らなければならないということ。仮に交際がバレたら、研究生を含めた赤坂ガールズのメンバー約50人に迷惑がかかるだろう。そして、お前がデビューしてからの2年半の歳月も無駄になるだろう。特にお前の場合は清純派のイメージで売っているんだから相当のダメージは覚悟しろ」


と社長は言ってきた。そして私は、


「実は言うと、2週間前に告白しました。フラれましたけど。でも私が初めて好きになった男性なんです。それにその男性、今は好きな女性がいないみたいなんで、私はまだ諦めるつもりはありません。まぁ、その男性は高校の同級生なんですけど・・・」


と言った。そして、


「しかし、お前の高校は女子校じゃなかったか?」


「いや、どういうわけか男子もいるんです」


「なるほど・・・まぁ恋愛頑張れよ」


私と社長のやりとりは約1時間にわたって続いた。




そして私は社長との話を終え、事務所の一室(仕事が続くと寮には戻らずここで泊まる)で優斗にLINEを送った。




「土曜日の夕方6時に、渋谷駅のハチ公口に来てください」

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