中間試験①
ゴールデンウィークが終わった月曜日。寮、そしてクラスは元の日常に戻ろうとしていた。珍しく今日は全員揃っている。
「みなさーん、ゴールデンウィークはどうでしたか?体は怠けていませんか?」
朝のホームルームで平野先生がこう言う。そして、
「さて、ゴールデンウィークも終わり、月末には中間試験があります。試験一週間前からは部活動と授業後のレッスンを休止します。早いうちに勉強を行うように。また教科ごとになりますが、期末との合計点が平均点の半分未満の場合は赤点とみなし、夏休みに補習と追試を行います」
とまで言ってきた。
中間試験ねぇ・・・俺はこれでも中学時代は3年間ずっと学年トップレベルを維持していた。しかし、他のクラスメイトはいかにも勉強ができなさそうな生徒が何人かいる。特に芸能活動やってる生徒は・・・
そしてその日の授業後、俺は平野先生に呼び出され職員室に向かった。
「渡辺くん、今から言っておくけどテスト一週間前になったら学習指導の方よろしくね」
「は!?何でですか?」
「あなた入試の成績、ほぼ満点で男子枠の全受験者中トップだったのよ?それにうちの生徒、高校の勉強についてまだ不十分な生徒が多いし。特に芸能活動をしている生徒は・・・」
平野先生はこれまで数回やってきた漢字テストの成績をまとめたデータを見せてきた。出した漢字は小中学生レベルの漢字とのこと。俺はここまですべて満点だが、数人の生徒を除いてはあまりよくない成績だ。
「そうですか。しかし杉浦さんや瀬戸さんもここまですべて満点なのに、何で俺だけ・・・」
「いざとなったら2人にも頼むわよ。でもそれが男の子のお仕事でしょ」
「はぁ・・・」
そして寮に戻ったあと、俺は杉浦さんと瀬戸さんを呼び出した。
杉浦「・・・何の用かしら?」
瀬戸「渡辺くんが私を呼び出すなんて珍しいわね」
・・・2人とも背高いな。俺以上じゃねぇのか?
「お前ら勉強できるだろ。だから俺とともに来週からテストの指導をしてほしい。他のクラスメイトはいかにも勉強ができなさそうだし、芸能活動をやってる生徒は特に・・・」
よく考えたらこの2人にちゃんと話すの初めてかも。そして2人は、
杉浦「そう。わかったわ」
瀬戸「こう見えて勉強を教えるのは得意よ」
と返事をしてくれた。
そして一週間後、学校はテスト週間を迎える。
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