林間学校⑥

誰もいない部屋で寝間着に着替えた俺は大浴場に向かい、そこで体を洗い流した後露天風呂に向かった。


露天風呂からは女子の声がかなり聞こえていた。露天風呂だけで20人くらいはいるだろうか。俺は露天風呂でまったり湯に浸かっていると、大浴場にいた女子生徒が続々と露天風呂に入ってきた。ひょっとしてクラス全員いる?


「女湯、騒がしいぞ~」


俺は女湯にいるであろう女子生徒に一言言った。


「今の声渡辺くん?これから女子全員集まってガールズトーク始めるの」


声の主は平野先生だった。山口先生もいる。


「あー、そうですか。僕には関係ない話ですよねー」


と俺は言ったが、平野先生はその話を聞いていなかった。そして平野先生は初っ端からこんなことを言ってきた。


「みんな、渡辺くんについてどう思っているの?」


俺はとっさに平野先生にこう言った。


「なんで本人いる時にこんな話出すんですか!」


すると平野先生は、


「だって本人がいる時にしか話せないでしょ?」


何言ってるんですか先生。そして俺はこう返す。


「でも今じゃなくてもいいでしょ!せめて明日の朝食か帰りのバスで話してください」


「だって今思いついたことだから・・・」


平野先生はこう言ってきた。しかし女子が俺についてどう思っているか気になる。結局俺は立入禁止のスペースに身を乗り出した。


「まぁ、優しいよね。ルックスもいいし」


「でも口はちょっと乱暴な気がするけどね」


「いわゆるツンデレって奴かな?根は悪くないと思うわ」


俺の印象について話す女性生徒は順番に、植田さん、桜井さん、野村さん。


「えー、では渡辺くんが異性として本当に好きな人は手を挙げてください」


平野先生がこんなことを言ってきた。


「・・・5人か。まぁそんなものだよな」


どうやら俺はクラスの女子生徒、8人に1人に好かれているらしい。


「じゃあ相川さん、今から渡辺くんに告って。私から見て相川さんが一番相性がいいと思ったから」


「ちょっと先生、私たち4人にはチャンスがないってことですか?酷いですよ~」


は?先生、これ以上はちょっと・・・その瞬間、俺は顔が紅潮し、心臓もバクバクしてきた。




「渡辺くん!いや優斗くん!私は入学式で知り合って以来、ずっとあなたのことが大好きです!世界中の誰よりも愛しています!よかったら付き合ってください!」




相川さんは俺に向かってこう話してきた。




「ありがとう。でも相川、これ以上はやめろ!お前はアイドルだろ!しかも現在、第一線で活躍しているアイドル。アイドルといえば夢を売る職業だろ!仮に今、俺と付き合っているのがバレたらどうなるか。自分から身を滅ぼすつもりか?とりあえず今はダメだ!」




俺はとっさにこう叫び、身を乗り出し立ち上がった。その瞬間、全裸の女性40数人が俺の眼前に表れた。


「あ・・・」




俺はその後、のぼせたのか気を失い女湯の方に落ちていったらしい。

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