アラサー腐女子が異世界に行ったら男になっていた件。

雪美

第1章 1話 ここはどこ?私は、、、男?!

 心地よい風に肌を撫でられ、私は閉じていた目を開ける。


 ずいぶん長く眠っていたような感覚があり、体全体がしびれており、目はぼーっとして焦点が定まらず、脳細胞が起きていない。


「……ん。あれ…私いつの間に寝てたんだろう……」

 とろんと眠気の残った声でつぶやく。


 だが、先ほどからそよそよと風に頬を撫でられている感覚に、私の頭は次第にはっきりとしてきた。


 とてつもなく違和感を感じる。


 なぜなら、、、あたり一面、大草原だったからだ。


「え……」


 見渡す限り、緑一色。自分は夢でも見ているのではないかと、軽く頬をつねるが痛いだけだった。


 そもそも、なぜ自分がここにいるのかが理解ができずにいた。


 困惑する頭の中で、今日の出来事を振り返った。



 今日は確か、ある本の発売日で自転車で本屋に向かっていた。だが、もう少しで着くところで対向車線の車が、なぜかこちらに走ってきた。そして、接触した、、、ような気がする。というかその辺の記憶が曖昧で、よく覚えていない。


───でも、どこも痛くないんだよなぁ……あれ?もしかして私、死んだ……??


 記憶を振りかえると衝撃的な事実にたどり着き、頭の中で、ガーンっと効果音が鳴る。


───てことは……ここ、天国? 地獄ではないよねぇ、だって綺麗な所だし!

 なんてとんちんかんな事を考え、自分が死んだことはどうでもよくなっていた。


 とりあえず、何かしらないかと立ち上がった時だった。


 なんだか自分の体に違和感を感じた。いつもあるものがないような気がする、そして余計なものがついている気がする。


 いやな予感に顔を下に向けた。


「……?!な、無い……。私の胸が……」

 思わず、胸に手を当てる。それなりにあった胸がぺたんこに、というかもともと無かったかのようにすっきりとしていた。


 そして……


「!!!!!!!!!」

 股間に手を当てると、普段ないものがそこにあった。


「な、な、なんじゃこれーーーーーーーー!!!」


 私の今までに出したことがないくらいの大声が、雷のように響いた。

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